8月13日、サムスン電子が中国天津の携帯電話工場の操業停止を検討していると、韓国各紙が一斉に報じました。販売低迷や労働コストの上昇が理由だそうです。
サムスン電子は約5年前まで中国の携帯電話機市場で20%のシェアを占めていましたが、中国国内ブランドの成長や、サムスン製品の爆発事件などを受けて、今年は1%未満にまで下落しています。
エレクトロニック・タイムズによれば、天津工場の生産量は年間3,600万台、恵州は7,200万台、ベトナムの2カ所の工場は合計2億4,000万台と、既に中国から東南アジアやインドへと生産拠点の主軸を移しているようです。
サムスン電子はロイターに対し13日、天津事業の今後については何も決まっていないと明らかにしたうえで、「スマートフォン市場全体が成長鈍化によって難局に直面している。サムスン電子の天津通信事業は競争力と効率性を高める活動に注力することを目指す」と述べたそうで、撤退について明言は避けたものの、含みを持たせた言い回しがされています。
中国鳳凰網科技が14日午前にサムスン天津工場で労働者に直撃インタビューしたところ、「閉鎖なんて聞いてないよ!」との返事があったそうです。
なお、その労働者の若い男性が言うに、「普通の労働者は流動性が高く、ここの工場がダメなら他所へ行けばいいので、工場が閉鎖になるかはあまり関係がない、給料さえ保障されればいい」とのことです。「待遇は悪くない」そうですが、なかなかドライですね。
また、他の3名のサムスン職員、付近の小売店主もそろって「工場は正常に運営されており、閉鎖されるようには見えない」と答えたそうで、いまのところ平静を保っているようです。
とはいえ、中国市場でのサムスンのシェアは既に壊滅状態、中国の労働コストも上昇していることから、サムスンが中国国内で工場操業を継続する意義は乏しいのは事実。
既にサムスンと華為、小米、OVなど中国勢との主戦場は、中国市場から欧州、東南アジアなどのグローバル市場へと遷っており、天津工場撤退自体は、それ自体に大きな意味はないようにも思えます。
サムスンは中国国内でブランドショップを大規模に展開しており、この販売チャネルを今後も維持するのかどうかが気にかかります。