販売台数ではAppleを抜き去り、機能面でもいち早くトリプルレンズカメラを実装するなど、勢いのある中国メーカー華為。「世界的ブランド」となったといって問題ないでしょうが、Appleとの実力の差は、どんなものなのか?中国智電網での論評をご紹介します。
業界影響力でAppleは華為を遥かにしのぐ
Appleは膨大なサプライチェーンを抱えており、製品ラインが非常に複雑なことから、同社は外部のサプライヤーによる大量のサポートを必要としており、現在36社がAppleからの発注に相当依存しているといいます。これらの企業は少なくとも10%の営業収入をAppleに依存しているとか。
なお、チップの大手Qualcommも10%の営業収入をAppleに依存しており、両社は長年緊密な提携関係にあったものの、今では特許問題で法律紛争に陥っており、QualcommはAppleとの提携の前途について、悲観的な態度を示していると言います。その理由として、AppleはIntelだけでも自社の需要を満たせると考えており、全面的にIntelのソリューションを採用、Qualcommへの依頼から徹底的に離脱したそうです。
Appleは世界的に著名な消費電子製品小売り企業であり、市場価値は1兆ドルを突破、初の兆超え企業となり、営業収入、利潤、研究開発能力のどれをとっても、国際的に影響力があり、Appleは影響力で華為を遥かに凌ぐ、と判定しています。
研究開発能力では華為が既にAppleを追い抜く
研究開発能力で、華為は過小評価されており、システムとチップ、他の面でも、Appleは明らかに後れを取っており、また、Appleはシステムとチップを握っているだけに過ぎないのに対し、華為は60%の部品を自社生産しており、Samsungを除いてこれほど自主性のあるメーカーは存在しないといいます。
デザイン工芸からみても、今の華為はAppleと甲乙つけがたいといいます。例えば最近リリースされたMate 20シリーズは、軽薄性にすぐれ、更にカメラもAppleのように突出したデザインになっていないと指摘します。
また、厳格な定義からいえば、Appleと華為は同じ業界の企業ではない、といいます。Appleの本業は消費電子製品であり、華為は通信基地であって、スマホやパソコンなどは華為の付属製品にすぎず、通信技術、電信設備などの点で、華為はAppleと勝負にならないほどの差をつけているとしています。
華為は毎年1,000億元、営業収入の14%以上を研究開発に投入、これは世界でも上位に入っており、単独の研究開発でみれば、華為は既にAppleを追い抜いているといいます。一方、Appleはサプライチェーンの一部分であり、組立は鴻海、チップは台湾のTSMC、ディスプレイの一部はSamsungの供給を仰いでいます。
Appleの方がソフト・ハードウェアの結合に注力
Windows95の出現により、パソコンが爆発的に普及し始めた、というのはよく知られているところ。これをもってソフトウェアあってのハードウェア、という見方もできるわけですが、Appleのジョブズだけが、ハードとソフトを結合させました。閉鎖的なシステムはAppleに独占的な立場を与え、Appleの地位は揺るぎないものとなったと指摘します。
華為は基地局など技術はとても強い一方で、Apple社はとくにソフト・ハードウェアの結合に注力しており、これがソフトウェアのユーザー体験でAppleに劣る理由だといいます。
以上、総合的にはAppleに軍配が上がるようですが、業界全体への影響力で、華為がAppleを凌ぐ日は来るのでしょうか。最後のソフトウェアばかりは、何があってもAppleの地位は揺るぎそうもありませんね。いずれにしても、Appleの独特な立ち位置は、他にとって代わるところがないように見えます。