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パナソニック「中国をイノベーション基地に」

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 一時は全社員の肝臓を売っても足りない額の赤字を計上したものの、日本勢の中では唯一健闘しているといっていい総合家電メーカー、パナソニック。中国現地法人の総裁が、「将来、松下は中国をグループのイノベーション基地として、さらに多くの製品とビジネスモデルを中国で生み出す」との考えを示したと、中国共産党機関紙・人民日報系の国際系メディア、「環球網」が伝えました。

 なお、中国では「Panasonic」ではなく、今でも「松下電器」の社名が使用されています。

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 その理由として、「Panasonic」という響きは中国語で「怕拿索尼客」、「ソニーの客をとるのが怖い」という意味になるからとの説もありますが、そう聞こえてしまうのは事実なので、たぶん本当だと勝手に思っています。

 そんなわけで、この記事では基本的に「松下」と表記することにします。

 今年、創業100周年を迎えた松下。社長津賀一宏は最近の講話でパナソニックの今後100年の最重要市場は中国だと繰り返し強調しているそうですが、松下電器機電(中国)有限公司の総裁殷志明は環球網の取材に対し、「将来、松下は中国をグループのイノベーション基地として、さらに多くの製品とビジネスモデルを中国で生み出す、即ち社がよく取り上げているBorn in Chinaだ。中国で誕生した製品、サービスは将来全世界へ輸出され、これがおそらく松下が今後の100年、歩んでいく道になるだろう」と答えたといいます。

 そもそも、松下電器機電(中国)有限公司の総裁は中国人なんですね。

 また殷志明は、グループの総方向にもとづき、松下機電は中国を「新製品、新サービス、新ビジネスモデルが孵化する中心」にする。この目標に鑑み、松下機電も多くの改革をしており、例えば中国に応用研究開発センターを設立したと述べたそうです。

 殷志明は“Born in China”のローカル戦略を強調し続けており、また、中国で生産された製品は、必ず全世界へ輸出できると考えているそうです。松下機電は以前、中国に研究開発センターを設けておらず、技術規格など中国市場で問題が発生すると、いちいち日本へ問い合わせなければならず、時間の浪費になっていたといいます。

 中国に研究開発センターが設立されたことによって、製品リリースの速度が向上するほか、さらに「研究開発―製造―販売」が一気通貫でできるようになり、製品の「Born in China」が実現したとしています。

 例としては、松下が新エネルギー自動車方面で多くの革新技術と製品を持っていますが、中国は新エネルギー自動車の発展が最も速い市場の一つであり、もし日本のモデルをそのまま中国へ持ち込んだ場合、中国のユーザーの需要に追い付かないといいます。

 グローバル化の趨勢下に、松下が中国で研究開発・製造した製品は、中国の最も早い発展リズムによって、その他の市場にソリューションを提供し、また、商業提携パートナーをグローバル規模で展開することで、世界へと歩みだすと、殷志明は考えているそうです。

 なお、環球網が殷志明を紹介するところによれば、「若くて有能」というのが松下内部での評価。殷志明は松下電器機電(中国)有限公司初の中国人総裁であり、松下機電は全グループの営業販売額の半分を占めており、ここからも如何に重責を担っているかがわかるといいます。また、自分の優秀な能力に対し、殷志明は非常に謙虚であり、これまでの奮闘や心得について語ることなく、これまでに経験した2回のターニングポイントについて語ったそうです。

 殷志明は2001年に松下グループ入社、2年目に松下は創業以来初めての赤字に直面しました。「創業80数年の企業が初めての赤字を出したことで、私は当時、内心慌てた印象を強く持っています」「しかし中村社長の改革後、会社は2006年に100億ドルのキャッシュフローを生み出しました。2012年、松下などがプラズマテレビの投資に失敗した後、津賀社長は改革措置をとり、松下は活力を取り戻したのです」。スーツに松下百年記念の徽章をつけた殷志明が微笑を浮かべながら、誇らしげに語る様子からは、ベテラン社員による企業への帰属感が感じられたそうです。

 殷志明は松下の成功要因を不断の改革と修復能力にあるとしており、「一つの大企業は、経営の過程において必ず危機に直面する。危機を前にして、この会社は強大な自己修復能力を見せ、私は非常に偉大な会社だと感じており、またこれは松下が百年企業たりえた非常に重要な原因である」と述べたといいます。

 優秀な中国人の人材を中国現地法人の社長に抜擢するパナソニックからは、たしかに古い慣習にとらわれない姿勢が感じられます。ただ、中国人が差配し、中国で研究開発し、中国が最重要市場となると、いったいどこの企業なのだか、わかりませんね。これも時代への対応なのでしょうか。

情報元环球网
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