OPPO、自社製チップ開発「マリアナ計画」発動か すまほん!!

 華為(Huawei)は5G通信技術、小米(Xiaomi)はIoTエコシステム……優位点を作り出そうとしのぎを削る中国の各スマホメーカーですが、このほどOPPOは内部文書でチップ自主開発を含む「マリアナ計画」をぶち上げ、核心技術の構築に本腰を入れる構えを見せていると、中国「36氪」が報じました。

OPPO「マリアナ計画」

チップ自主開発

 「36氪」によれば、2月16日夜、OPPOのCEO特別助理は内部文書「核心技術構築に対する若干の思考」を発表、当該文書ではソフトウェア開発、クラウド、チップを三大計画と位置づけ、チップ開発の「マリアナ(马里亚纳)計画」について触れられているとのこと。

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 「マリアナ」とは世界で最も深い海溝「マリアナ海溝」からとったもので、OPPOはこれにより「高級チップ」という最も難しいことを表現しているといいます。「36氪」の調べによると、マリアナ計画は内部の単独プロジェクトとして位置づけられ、製品企画高級総監(部長級)は姜波。マリアナ計画は昨年既に開始され、11月には内部文書に出現、しかし全社に通知されたのはこれが初めてだそうです。

 この計画はOPPOのチップTMG(技術委員会)が技術面での投入を保証。チップ技術委員会は昨年10月に正式発足、前グループ技術委員会の一部として、内外の資源調整、重点プロジェクト審査などを担当。チップ技術委員会の責任者は陳岩で、チッププラットフォーム部の部長を兼任、以前はOPPO研究院のソフトウェア研究開発センター責任者を担当し、前職はクアルコムの技術総監だったとのこと。ガチなグローバル一流技術人材ですね。

 OPPOは一歩一歩、自主開発チップへの陣容を整えていたといいます。今年1月、チップ技術委員会が実施した人事では、realmeと一加の技術スタッフもチップ技術委員会の専門家チームに加えられ、「チップ開発」は「欧加集団(OPPO、realmeと一加)」による今後の重要な方向性の一つとして位置づけられていることが見て取れる、といいます。

 また、OPPOのチップ開発への動きは、他にも11月には始まっていたそうです。OPPOは欧州連盟知的財産局に「OPPO M1」の商標を申請、この製品はただのCPUですが、補助演算チップでもあるとか。更にれに先立ち、OPPOは既に比較的成熟したチップを電源管理チップとして開発、VOOC高速充電に使用していたといいます。

研究開発の課題

 昨年12月の未来科技大会では、OPPOはこれまでの低調なやり方を一新し、久しく姿を見せなかったOPPO CEO陳明永が出現し、今後3年間で500億元を研究開発に投入すると呼号。このうち、チップにも少なくないカネを投じるはずだ、とか。ちなみに、この研究開発への投資についての解説記事はこちら

 しかし問題はここにあり、これまでのOPPOは「軽量級」のやりかたに慣れており、チップ業界の投入コストの高さと不確定性は、OPPOのやり方に反すると指摘。これは、以前紹介した記事と同じ分析ですね。

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 「36氪」によると、小米が自社チップ「澎湃(Surge)」を作るのも、vivoとSamsungが「オリオン座」で提携しているのも、どれもスマホメーカーの最終目標はいずれもシステムSoCチップにあることが見て取れる。もしSoCを作るならば、短期間の資金投入では、成果が見えてこない。華為は海思チップに2008年から18年までの期間に投入した研究開発費用は総額4,800億元(約8兆円)に上り、2019年には1,200億元(約2兆円)を投入。クアルコムの2017年の研究開発費用は30億ドル以上、台湾MediaTekの年間研究開発予算も15億ドル以上。OPPOが3年間で500億元投入するというのは、全額をチップの研究開発に投入したところで、チップ業界では平均水準に過ぎない、といいます。

 なんだか日本勢の存在感がないの、当たり前に見える数字が並びますね。ちょっとこの費用を投入できそうな会社が思いつきません。

高高度爆撃の弱点補完

 「36氪」が取材したOPPOのベテラン職員によると、チップを開発するのは、「やむにやまれず」だそうです。「マリアナ計画」内部文書の背景にあるのは、OPPO自身の「差異化ニーズ」であり、また、クアルコムやGoogleにもOPPOが今後思い描く「ソフトウェア・ハードウェア・サービス」の一体化の「夢」をサポートするのは困難なのも一因。「(チップ開発は)会社の端緒を改造することにある、5G端末は営業販売の入り口からエコシステムまで、これまでのやりかたとは変わってくる、全面的に過去の弱点を補わないといけない」といいます。

 OPPOの技術的な野心はチップにとどまらず、OPPOが今回社内文書で発表した3大計画には、チップの「マリアナ計画」の他にもソフトウェアプログラムと、全世界の研究者を援助する「パンタナル計画」、クラウドサービス構築の「アマゾン計画」が含まれ、それぞれ「ソフトウェア」「ハードウェア」「サービス」の大分類に対応しています。

 各技術委員会の中では、材料、無線通信など、短期間で効果が出る上に、既に蓄積のあるものは第一期プロジェクトとされ、クラウドプラットフォーム、影像、AI等、チップ、材料等は、いずれも第二期プロジェクトに組み込まれているとか。

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 OPPOがチップ、クラウドサービス、ソフトウェアを作りたがっているのは、明らかにこれまでのブランドに頼った「高高度爆撃」作戦の欠点を意識し、これまでにないほど「営業は強くても技術は弱い」というレッテルからの脱却をせまられている、と指摘します。そしてOPPO最大の難題は、現在のビジネスモデルは弾薬の供給継続には足りても、未来を投入する「大風呂敷」にはならないことだ、と〆ています。

総評

 これまで「ファッション重視」というイメージのあったOPPOが、技術開発に力を入れだしたという動きは最近表面化してきていましたが、「いばらの道」だとの見方が多いようです。

 なにより、先日ぶち上げた「研究開発に500億元投資」が、「全部をチップに投入したとしても、チップ業界では普通の金額」というのは、乾いた笑いが出てしまいます。恐ろしい世界ですね。

 しかし、研究開発は必ずしも予算で決まるものではないと、かの小米CEO雷軍もかつて熱弁していたことですし、なにより新たなチップメーカーが参入、というのは激アツ展開なので、健闘を祈りたいです。