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モトローラ「moto g8 / g8 power」レビュー。廉価スマホに新風

 SIMフリーAndroidスマートフォン「moto g8」「moto g8 power」が、日本で5月4日以降発売します。

 今回、Motorola Mobility Japanより実機を貸与していただいたため、レビューを上梓させていただきます。

 レビューの動画版はこちら

外観

 フロントカメラはパンチホールで、今風。2020年の各社旗艦級モデルがこぞって採用しているデザイントレンドです。

 美しいデザイン。背面のMロゴは指紋認証センサーとなっています。認証精度に問題はなく快適に利用できます。

 moto g8とmoto g8 powerは、デザインや寸法、重量がよく似ています。どちらも持った感じはそれほど変わりません。

(左:moto g8 power, 右:moto g8)

 底部はスピーカーグリルとUSB Type-C端子。

 両機種ともイヤホンジャックを備えます。

性能

 moto g8 / g8 powerはSnapdragon 665を搭載したスマートフォン。SDM660と比べればDSP / ISPが変更され、AI処理も強化されたSoCとなります。3D性能はともかくCPU性能はミッドレンジとしては秀でているので、日常的な利用においては快適に使用できます。実行メモリは4GB、ストレージ容量は64GB。

 moto g8 / g8 powerのスペック上の最大の差異が、解像度と電池容量。moto g8 powerはFHD+解像度のディスプレイを搭載し、電池容量5000mAh。一方、moto g8は電池容量4000mAhとしながらも解像度をHD+に抑えたモデル。

 ちなみにmoto g7は、SoCは上位モデルよりは控えめでFHD+ディスプレイを搭載、電池容量は3000mAhだったので、ちょっと地味でしたが、ここにきてmoto g8は解像度を割り切った上で4000mAhへと増量したことで、格安スマホ市場の中でも際立つ個性を手に入れました。2万円台前半のモデルとしては尖ってます。

通信

 低価格モデルながらも、しっかり4キャリアの4G、DSDVに対応。グローバル機で定番のSoftBank回線や格安SIMでおなじみのドコモ回線だけでなく、auや楽天モバイルでも利用可能。4社網のデータ通信はもちろんのこと、楽天モバイルにて標準通話アプリとRakuten Linkでの通話も可能でした。

  • 4G:B1 / B2 / B3 / B4 / B5 / B7 / B8 / B18 / B19 / B20 / B26 / B28 / B38 / B40 / B41
  • 3G:B1 / B2 / B4 / B5 / B8 / B19
  • 2G:850MHz / 900MHz / 1800MHz / 1900MHz

 価格帯を考えるとやや仕方ありませんが、Wi-Fi通信は2.4GHz帯のみで、5GHz帯には非対応となっているのは個人的には残念。

電池持ち

 電池容量が大きくなるほど充電に時間がかかりますが、g8 powerは最大18W急速充電対応となっています。

 気になる電池持ちですが、両機種ともに非常に良いです。それなりにヘビーに使っていても終日持ちます。

 テスト結果は以下の通り。第2世代iPhone SEは電池容量1821mAhと少ないものの、小さい画面サイズと省電力化の進んだA13チップの恩恵により、この容量の割には健闘。しかしながら電池容量の大きいmoto g8 / powerには到底かないません。

Amazon Prime ビデオ 連続3時間動画再生(Wi-Fi, 最大輝度)

  • moto g8:残量67%
  • 第2世代 iPhone SE:残量53%

連続5時間PCMark バッテリーテスト(Wi-Fi, 最大輝度)

  • moto g8 power:残量65%
  • moto g8:残量59%
  • Galaxy S20 5G:残量53%

解像度

 解像度の差異は、テキストの文字を読んでいるときにわかります。HD+のmoto g8では、文字の周囲がちょっと滲んでしまいます。文字が読めなくなるといったことはありませんが、フォントサイズを小さくして運用する人には気になると思いますので、そういう人は高解像度のmoto g8 powerがおすすめ。

 価格としてはmoto g8の方が安いので、フォントサイズ大で運用しても問題が全く生じない、親世代などにはmoto g8はおすすめしやすいのではないかと思います。

 SoCが同一で解像度が違うということは、動作感も低解像度のg8が理屈上は有利なはず。しかしその違いを感じることは極めてまれ。普通にブラウジングしていても差は感じません。強いて言うなら、長いWebページを超高速スクロールした時に、高解像度のg8 powerのほうがレンダリングが追いつかず白画面で表示されている瞬間が、ほんの一瞬あるかなぁ程度。ベンチマークテストの結果でも、数値上大きな差異は見られません。もはや重箱の隅であり、ほぼ差がないといっても過言ではありません。

 解像度を考えると、開口率が異なります。たくさんのピクセルが密集している方が暗くなってしまう可能性がありますが、その差もほぼ感じられません。

 解像度が低いほど、電池駆動時間に有利な影響を与える可能性があります。moto g8とg8 powerは解像度だけでなく電池容量にも違いがあるので厳密なことは言えませんが、少なくとも容量4000mAh電池を搭載したGalaxy S20 5Gよりも長時間駆動であることを、前述のバッテリーテストでも確認しています。

ソフトウェア

 OSは出荷時Android 10。Androidエンタープライズ推奨品であることから、セキュリティーパッチ適用やバージョンアップも期待できます。プレーンなAndroid OSといったテイストなので、Pixelなどのスマートフォンに慣れた人にも違和感が少なそうです。

 着信音はMotorolaの由緒正しい「Hello, Moto」の掛け声から始まる個性的な着信音がプリセットされており、印象深いです。こちらから聞けます。

 独自機能としては、端末を保持して画面を見ている間は消灯しない機能や、三本指長押しでスクリーンショットなど多数備えています。ロック画面の通知閲覧では、スワイプで通知の消化が可能。いらない通知の破棄や、SMS返信、電話への返答といった動作をサクサク行えます。

 2連続で端末をひねってカメラを即時起動できる機能は、誤作動なども特になく、確実に使用できました。通常のAndroid端末では電源ボタン2度押しでカメラを起動できるのですが、moto g8シリーズは電源ボタン2度押しで音声アシスタントを起動できます。

 個人的に気になったのは、ジェスチャー操作の左右端からのスワイプでのバックキー動作を行った時、フィードバックがないこと。Pixel 4やAQUOS R5Gなど基本的にはバイブレーションします。そこは反応が欲しいので、設定からオンにできると嬉しいです。

オーディオビジュアル

 映画視聴時にはバックライトにより黒色が白っぽく階調が失われるものの日常的な利用全般においては特に問題のない品質を確保しており、価格帯相応の液晶ディスプレイ。

 moto g8 powerはディスプレイ上部と底部にステレオスピーカーを搭載しており、この価格帯としては迫力のある音を楽しむことができます。

(moto g8 powerはDolby Audio対応、ステレオスピーカー)

カメラ

 800万画素118度超広角+1600万画素メイン+200万画素マクロは、両機種共通。moto g8 powerはここに800万画素光学2倍望遠カメラが加わりますが、moto g8はレーザーAFとなっています。ちなみにmoto g8 powerもオートフォーカスは十分機能しており、特に不満は感じませんでした。

 被写体から2cmに寄れるマクロカメラ。花を撮影するのに良いでしょう。

 g8 powerでの通常、広角、2倍望遠。

 2倍までは非常に綺麗。5倍以上になるとやや粗も目立つものの、それでも第2世代iPhone SEよりはディテールをしっかり描けます。moto g8 powerとiPhone SEをそれぞれの最大望遠で撮影し、左右に同じ箇所を並べたもの。

(左:g8 power、右:iPhone SE)

 スローモーションやタイムラプスムービーといった定番の動画撮影機能だけではなく、独自のシネマグラフ機能を備えます。これは動画を撮影し、画面上の特定箇所だけを止めたり、特定箇所だけ動かして、変わった作品を簡単に作れるというもの。mp4もしくはGIFアニメ形式で書き出せるため、SNSでの共有が楽しくなります。

 特定色を抽出できるスポットカラー。画面上で抽出したい色をタップして閾値をバーで設定するだけ。Photoshopで行うような加工を誰でも簡単にできてしまいます。低価格帯は色気のない機種が多い中、moto g8 / g8 powerは多眼を駆使した多用途、そして独自機能による楽しさが間違いなくあります。

 以下、他機種との比較。

総評

 低価格帯の機種、大容量電池のモデルというと、分厚くデザインもイマイチな機種が多い中、普通に今のトレンドを抑えた美しい見た目なのが素晴らしい。それでいてMロゴの入った指紋認証センサーが個性的なアクセントとして効いています。

 そして構成が絶妙。日常利用に必要なCPU性能を備えたSnapdragon 665を搭載し、大容量電池を確保、それでいて消費税込みで2.5万円~3.2万円。消費者としても格安スマホ市場の中での有力な選択肢になり得るとともに、改正電気通信事業法の規制対象の事業者にとっては喉から手が出るほど欲しい、まさに即戦力でしょう。

 自分で使うならどちらにするか?解像度の関係からmoto g8 powerになるでしょうが、電池容量が大きいため安心。さらに電池容量特化モデルにありがちな処理性能の低さもないのが嬉しいところ。構成、立ち位置が面白いのはラインナップ最安を担うmoto g8で、おそらく「望遠なし」「低解像度」がネックにならない親世代に勧めたい機種です。

 国内SIMフリー市場におけるMotorolaの存在感が大きくなりそうな2機種です。

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