携帯大手が展開するキャリアメールについて、MNPで他社に乗り換えた後も利用者に転送する仕組みを作ることを、総務省が要請すると時事通信や日経など各社が報じました。
キャリアメールアドレスが継続できないことによりMNPを躊躇うユーザーがいるためとのこと。総務省が今月27日にも発表する見通しの政策パッケージの中に含まれるとしています。
さて、日本国内では世界でも特殊なキャリアメールがガラケーと共に普及し、一時期コミュニケーションの中心を担っていました。その後、電話番号を持ち出して乗り換えるMNP制度が始まりますが、キャリアメールアドレスは持ち出しできませんでした。
この当時に、キャリアメールを他社ユーザーでも利用できるようなキャリアフリーのサービスにする展開を実行できていれば、競争政策上でも、顧客の利便性向上という意味でも、そしてMNOのビジネスとしても、効果的なものだったかもしれません。全盛期、登録にキャリアメールが必要なサービスは多く、本人確認された回線に紐づく固有のアドレスとして普及していたからです。
しかしキャリアメールも今や過去の遺物。スマホシフトに失敗し、筆舌に尽くし難い低品質なサービス・アプリを展開したがために、全てをLINEに持って行かれました。リッチで豊かなコミュニケーションはLINEでいいし、それ以外はSMSやフリーメールで十分。DiscordやSlack、Zoomなど、用途別に豊富なアプリ・サービスもあります。
今どき、わざわざキャリアに縛られてまで、キャリアメールを使う意味などありません。アプリの使い勝手も悪い上に迷惑メールフィルターもザルで、PCからの送信を一律弾く設定にして使うユーザーが多数。なので、せいぜいキャリアメールを使っているユーザーに届きやすいのはキャリアメールである、というぐらいしか存在意義はありません。むしろキャリアメールそのものが消滅してくれた方が、みんなキャリアメールを使うことをやめることができて助かるというわけです。
SMS、RCS、Gmailなどのメールサービス、LINEなどの各種コミュニケーションアプリが存在する今、筆者は過去の遺物であるキャリアメールを廃止すべきであると考えており、もし政策としてキャリアメールを存続する方向に誘導することになるとすれば、ややズレてしまうようにも感じます。