iOS向け非公式アプリストア「Cydia」の開発チームは、Appleが反競争的にApp Store以外のサードパーティー製アプリストアを排除しているとして、同社を独占禁止法違反の疑いで提訴しました。
そもそも「Cydia」とは、iOSデバイス向けの非公式アプリストアの中でもトップクラスの人気を誇るアプリストアです。通常ユーザーが利用できない機能を利用可能にし、システムを改変できる「脱獄」状態にすることで利用することができます。
iOSデバイスを脱獄状態にすると、Appleから認可されていないアプリを使用したり、機能の制限を解除することができますが、通常アクセスできない場所にアクセスできるようになることから、同時にセキュリティー上の危険性も発生します。
現在でも脱獄を行いシステムを改変するユーザーは多く存在します。しかし、Appleのライセンス契約や利用規約には完全に違反しているほか、脱獄自体に違法性はなくても、有料で販売されているアプリを無料でインストールしたり、ゲームのチートなど違法性の高いものも実行可能になります。そのため、AppleはiOS端末で脱獄が行えないように対策を行ってきました。
今回の訴訟で「Cydia」開発チームは、「Appleのアプリ配信に対する違法な独占がなければユーザー・開発者がそれぞれダウンロード、配信する場所を自由に選択できる」と主張。
これに対してAppleの広報担当FredSainz氏は、自社が独占的であることを否定した上で、「ウイルス等を誤ってダウンロードすることにより、顧客のプライバシーが侵害されることを防ぐ必要がある」として、サードパーティー製アプリストアの禁止を正当化しています。
Appleは、これまでにもApp Storeをめぐって、多くの訴訟や独占禁止法に関する捜査に直面しています。現在進行中のEpic Gamesとの裁判では、特にApp Storeの手数料30%中抜きが大きな問題とされていますが、最終的にはサードパーティー製アプリストアの許可を求めています。
今回のCydiaによる裁判がどのような方向に向かうのかは不明ですが、これによって同社への捜査がさらに拡大することも予想されます。