Android 12の開発者向けプレビュー公開。注目ポイントを紹介 すまほん!!

 Googleは、Android OSの次期バージョン「Android 12」のDeveloper Preview(開発者向けプレビュー)の第1弾を、Pixel 3/3 XL、Pixel 3a/3a XL、Pixel 4/4 XL、Pixel 4a、Pixel 4a 5G、Pixel 5向けに公開しました。

 Android 12には、互換性のあるメディア変換やリッチコンテンツの挿入といった、優れたユーザー体験を構築するための新しいツールの提供や、プライバシー保護の追加、パフォーマンスの最適化などが含まれています。

 Developer Previewという名の通り、開発者を対象とした内容が主ですが、その中でも特にユーザーとの関連が深いと筆者が思うものをピックアップし、以下紹介していきます。

Android 12 Developer Previewの注目ポイント

通知UIの変更

 1つ目は通知UIの変更について。Android 11以前のアプリは、独自の外観を持つカスタム通知を、通知領域全体を利用して提供することができましたが、これがユーザーの混乱や端末との互換性問題などの原因に。

 Android 12では、カスタム通知において通知領域全体が使用されなくなり、代わりに標準のテンプレートが適用されるようになりました。これにより、すべての通知が視覚的な一貫性を持ち、ユーザーにとってより見やすいものになるといいます。

 以下の画像が、Android 12におけるカスタム通知のレンダリング。以前リークされたものとほぼ同一であることがわかります。

Android 12のカスタム通知

リークされたAndroid 12の通知シェード 画像出典:XDA-Developers

互換性のあるメディアへの変換

 2つ目は互換性のあるメディアへの変換について。

 現在、HEVCという動画圧縮形式が普及しつつあります。これは、従来のAVCという形式に比べて、品質を保ちながらより小さなサイズに圧縮できるというもの。カメラアプリでは採用が進んでいますが、ギャラリーアプリが対応していなければ、せっかく撮影した映像も再生することができません。

 そこで互換性のあるメディアへの変換が活躍。この機能を使用すると、HEVCに対応していないアプリでも、HEVC映像をAVC映像に自動で変換し再生することが可能になります。

 ただし、映像と端末のスペックによっては変換に時間がかかり(1080p、30fpsの1分間の映像をPixel 4で変換する場合の所要時間が約9秒)、GoogleはアプリのHEVC対応を強く推奨。デフォルトでは無効であり、アプリ開発者が明示的に有効化しないと利用できないなどの点からも、あくまで応急処置的な機能だと考えられます。

AVIF画像のサポート

 3つ目はAVIF画像のサポートについて。AVIFは新しい画像圧縮形式であり、HEVCと同様に従来の形式と比較して高品質・高圧縮なもの。Android 12ではこの形式をサポート。

同程度の容量のAVIF画像とJPEG画像の比較デモのスクリーンショット (左:AVIF 右:JPEG) 画像出典:JakeArchibald

 前述のHEVC対応強化と合わせ、将来的にはストレージをより多く使えるようになるかもしれません。

リッチコンテンツの挿入

 4つ目はリッチコンテンツの挿入について。画像や動画のようなリッチコンテンツをアプリが簡単に受信できるようにするために、クリップボードやキーボード、ドラッグアンドドロップなど、あらゆる場所からコンテンツを受け入れることができる新しい統合APIを導入。アプリが対応すれば、以下のような操作が可能になるようです。

音声と連動した触覚効果

 5つ目は音声と連動した触覚効果について。Android 12のアプリでは、音声に合わせてバイブレーターを振動させることが可能に。振動の強さや周波数も音声に連動するため、より没入度の高いオーディオ体験やゲームを提供できるとしています。

 例としては、通話アプリでの着信音と連動した触覚による発信者の識別や、レースゲームでの凸凹した道を走る感覚の再現などが挙げられています。既視感を覚えた方もいると思いますが、どうしてもXperiaのダイナミックバイブレーションを思い出してしまいますね。

ジェスチャー操作のための没入モードAPI改善

 最後はジェスチャー操作のための没入モードAPIの改善について。Androidでアプリを全画面表示にする方法には、以下の3つのオプションが存在しています。

  • 観賞モード:動画を視聴するときなど、ユーザーが画面を頻繁に操作しない場合
  • 没入モード:ゲームをプレイするときや書籍を読むときなど、ユーザーが画面を頻繁に操作する場合
  • アプリ優先型没入モード:多数のスワイプ操作が必要なゲームや描画アプリなど、ユーザーが画面の端からスワイプする必要がある場合

 Android 11以前で、全画面表示からジェスチャー操作をしたり通知シェードを引き出したりする場合には、どのオプションにおいても画面のタップや端からのスワイプなどの1クッションが必要でした。

 Android 12では、「観賞モード」「没入モード」で追加のアクションが不要になり、1度のアクションで操作を完結できるように。「アプリ優先型没入モード」は変更されていないため、誤操作が気になるアプリでも安心です。

 以上で紹介した機能は、あくまで開発者向けに公開されたもの。アップデートすれば、すべてのアプリですぐに利用可能になるというわけではなく、開発者の対応次第である点には注意したいところです。

 なお、今後のリリース予定は以下の通り。

  • Android 12 Developer Preview 1:2月
  • Android 12 Developer Preview 2:3月
  • Android 12 Developer Preview 3:4月
  • Android 12 Beta 1:5月
  • Android 12 Beta 2:6月
  • Android 12 Beta 3:7月
  • Android 12 Beta 4(安定ビルド):Q3 2020

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