据え置き型のBluetoothレシーバー兼トランスミッター兼USB DACの「Fiio BTA30」を購入しました。何がなんだかわからないと思うので、早速解説してレビューしていきます。
どんなもの?
「Fiio BTA30」は、スマホをペアリングして手持ちの有線スピーカーを使ったり、PCやゲーム機などのデバイスを接続し、ワイヤレスヘッドホンやスピーカーを使ったり。さらには高性能なDAC機能も備えているので、高音質なデータを再生することもできます。
入力端子としてUSB(Type-C)、同軸(コアキシャル)、光デジタル(S/PDIF)に対応しています。出力端子には同軸(Inputと兼用)、光デジタル(出力専用端子あり)、RCAに対応しています。
BluetoothのコーデックはLDAC、aptX HD、aptX LL、aptX、AAC、SBCに対応しています。つまり、PCに繋げればワイヤレスでハイレゾ音源を再生することができちゃいます。
以前Shanling M0を紹介しましたが、その時に記事をツイートしていたユーザさんより「BTA30が発表されたのでそれもいいかも」と指摘を頂いたので購入し、試してみることに。
開封
ポイントが溜まっていたこともあり、ヨドバシカメラで購入。ほぼ無料でした。
付属品は簡易説明書、RCAケーブル、USB Type-A to Type-Cケーブル、防振クッション。
本体はこちら。上部にはFiio、ハイレゾ、ワイヤレスハイレゾのロゴがあります。
正面には左から電源ボタン、ペアリングボタン、MODEボタン、ボリュームがあります。
背面には左からRCA端子、光デジタルアウトプット、コアキシャルイン・アウト兼用、光デジタルインプット、アンテナ(着脱可)、USB Type-C端子があります。
以前紹介したShanling M0と比較すると結構大きめ。とはいえ、据え置き想定のデバイスと携帯デバイスを比べるのはずるいですね。スマホとノートパソコンを比較するようなものです。
接続
ではPCと接続していきます。付属しているUSBケーブルを使って、背面にあるUSB Type-Cポートからつないでいきます。PCと接続するだけで自動的に使えるようになります。ドライバを別途インストールしなくて良いのは楽ちんですね。
MODEをTXに変更し、使いたいワイヤレスヘッドホンやスピーカーをペアリングモードにします。その後、BTA30のPAIRボタンを3秒以上長押しします。数秒待つと自動的にペアリングされます。ペアリングに成功すると、BTA30のPAIRのLEDが点滅し、コーデックに応じた色になります。LDACなら白、aptXなら紫、aptX HDなら黄、aptX LLなら緑、SBCなら青と一発でわかります。
さてここで問題が。LDAC対応のヘッドホン(WH-1000XM4)を使っているのに何故かSBCでつながっています。特に設定は間違えていないのですがなぜでしょう。
実はBTA30、USB接続でオーディオ出力をするとLDACは使えないという仕様です。TXモードでLDACを使うにはコアキシャル、光デジタルで入力する必要があります。この仕様は製品ページの中央付近に書いてあるのですが、仕様ページには書いていないので、思わず見落としてしまいますね。
PCにコアキシャルや光デジタル端子があれば、そこから出力すればOKですが、筆者のPCにはそのような端子はなく、どうしたものか……と思いましたが、ググってみるとUSBから光デジタル・コアキシャルに変換するコンバーターがあるようです。
つまり、PC→コンバーター→BTA30→WH-1000XM4と繋げるとLDACで利用できるようです。いや~~なんかスゴイ無駄なことしてる気がしてきましたが、ロマンを求めてLDAC。最後までやるしかないですね。
BTA30の仕様を再確認していきます。光デジタル入力では最大96KHz/24bit。コアキシャルでは最大192KHz/24bit、DSD64にも対応します。これならコアキシャルで繋ぐ方が良さそうですね。
ということで改めて揃えたのはUSBから光デジタル・コアキシャルに変換するFX-D03J、Amazonベーシックのコアキシャルケーブルを用意しました。
FX-AUDIO- FX-D03J USBバスパワー駆動DDC USB接続でOPTICAL・COAXIALデジタル出力を増設
Amazonベーシック 同軸デジタルオーディオケーブル 1.2m
FX-D03JはUSBオーディオを光デジタルまたはコアキシャル(こちらも一応デジタル信号)に変換してくれるスグレモノ。
FX-D03JをPCに接続して、PC側で設定を変更します。ここで失敗したな、と思ったのがFX-D03Jでは最大で96KHz/24bitが最大になっていたということ。正直LDACを使うにあた、これより上は不要ですが、コアキシャルにした意味がなかったな~~と思っていたこともあります。(LDACは96KHz/24bitが最大)
設定したらコアキシャルケーブルをBTA30に接続します。BTA30は電源をUSBから供給する仕組みなので、パソコンとはつないだままでOK、または別途電源に繋ぐ必要があります。
そして再度WH-1000XM4とペアリングすると……無事LDACで利用することができました。サウンドも途切れることなく、快適に使えます。
スピーカー出力
BTA30にはRCA出力がついています。そのため、筆者が所有しているMSP3はXLR入力に加え、RCAも対応しているので、DACを通してスピーカーを使うことができます。
※余談ですが、2001年に発売され、2018年にファンに惜しまれつつ生産完了したMSP3。2019年にこっそり復活し、2021年1月には新型のMSP3Aが発売されました。まさか20年間モデルチェンジされなかったスピーカーが突然新型になるなんて……。僕は昨年末に買ったばかりなんですよ……。
XLRならオーディオインターフェース経由でバランス接続できますが、ワイヤレスヘッドホンに接続を変更する場合に、PC上で都度設定を変える必要がありました。
しかし、RCAで繋げばアンバランス接続にはなりますが、正面にあるBTA30のスイッチを切り替えるだけで簡単に出力を変更できるのでは?と思いRCAケーブルも用意して接続してみました。
RCAを使うには先程のコアキシャルまたは光デジタルで入力し、フロントのMODEスイッチをDACに切り替えます。そしてRCAケーブルをスピーカーに接続すると、音が再生されます。
BTA30のフロントスイッチを切り替えるだけで、ワイヤレスヘッドホンとPC用のスピーカーを瞬時に切り替えることができるようになりました。めっちゃ便利です。
アプリで設定変更
RXモード時のみスマートフォンにインストールしたアプリと接続することができます。接続すると、LEDランプの色を変えたり、オフにしたり、オーディオフィルターを適応したりすることができます。
また、TX/RXモード時に使うBluetoothコーデックを選ぶこともできます。例えばLDACではなく、aptX LLを使用したい場合はaptX LLのみ選択しておけば低遅延で使うといったことも可能です。
入力ソースの切り替え、LDACの音質、音量の固定もアプリから変更することもできます。
ただ、注意してほしいのはRXモード時のみ使えるということ。ワイヤレスヘッドホンを利用しているときにアプリで調節する場合は、RXモードに切り替えるため一度再起動され、切断されます。個人的には、頻繁に変更する項目は無いので不満は少なめ。気になる人は気になるかも。
良いところ
Bluetoothの飛びがめちゃ良くなりました。従来のShanling M0やPCのBluetoothに接続した状態で、玄関やキッチンへ行くと、ぷつぷつ途切れたり、聞くに堪えないほどの音質になることが多々ありました。しかし、BTA30では長いアンテナを採用しているおかげか、どこの部屋に行っても途切れることなく、快適に使うことができます。最高ですね。
2台同時にデバイスを接続できるというのも魅力的。深夜に2人でヘッドホンを使って映画を楽しんだり、2つのワイヤレススピーカーにつないだりすることもできます。
悪いところ
ペアリングが面倒です。スマートフォンのようにディスプレイがあり、接続先を簡単に選べたら良いのですが、タイミングをうまく合わせてペアリングモードにして……とやや面倒です。基本的には最後に接続したデバイスに接続するので、複数台のデバイスを運用していない人にはそれほど関係ないです。
また、接続解除した後に長時間(1日くらい?)空くと何故か自動で再接続されず、MODEスイッチをRXかDACに切り替えたのち再度TXに戻すとつながるということがありました。
DAC、TXモードで利用していると稀にですが、音がなくなることがありました。現状確認できている状況としては、何かしらコンテンツを再生している限り問題ないのですが、コンテンツを停止し長時間無音状態にしていると一切の入力を受け付けなくなる状態が確認できました。この場合は一度電源を落とさない限り解決しませんでした。
スマホのアプリに対応していますが、利用するには都度MODEをRXに切り替える必要があります。その他のモードでは繋がりませんでした。RXなのでそりゃそうなるよな、とは思いますが、利便性は最悪ですね。
そして先程も述べましたが、USB接続ではLDACを利用できないということ。これ一番ダメだと思います。PCからケーブル1本でサクッとLDACを利用できればものすごく楽で助かるのですが、アップデートで対応したら……良いな……。
総評
パソコンでLDACを使うならコレで決まり。据え置き型で電波の飛びも最強。ただ、デジタル出力できるPCに限るというのはちょっとハードル高し。
PCにUSBケーブル挿すだけで使えるのが理想ですが、仕様故に一度コアキシャルか光デジタル端子に変換する必要があります。PCにもともとその端子が存在すれば全く問題ないのですが、実装されているのは一部のハイエンドモデルかサウンドカードを別途用意しているユーザのみとかなり限られます。
ただそのハードルさえ超えてしまえばPCで快適なワイヤレスハイレゾ生活が謳歌できます。PCでLDACはこれでゴールでしょう。お疲れさまでした。
FiiO BTA30 【FIO-BTA30】 Bluetooth レシーバー&トランスミッター DAC機能搭載 Bluetooth5.0 LDAC/aptX HD対応
余談
上にGoogle Nest Hubを置くとちょうど良いです。