総務省は、非回線契約者に対して端末の単体販売を拒否している実態を、覆面調査の実施により明らかにしました。
調査はMNO3社の販売代理店にて実施。期間は2020年12月から2021年2月までの間。
調査の結果、一部店舗において端末単体販売拒否や、端末購入サポートプログラムの提供拒否が確認され、さらに回線契約を条件とする2万円上限を超える疑いのある利益提供が提示される事案もあったといいます。実態、不適切な説明の例は以下の通り。
非回線契約者への端末販売拒否(上記①及び②) 事案においてなされた説明の例
・ この事業者では非回線契約者に対して端末を販売していない(端末の購入には回線契約が必要)
・ この店舗/量販店では非回線契約者に対して端末を販売していない(端末の購入には回線契約が必要)
・ システム上、非回線契約者に対して端末を販売することができない
・ (オンラインでは販売をしているが、)実店舗では、非回線契約者に対して端末を販売していない
・ (この事業者又はこの店舗の)方針やルール上、非回線契約者に端末を販売することができない
総務省の移動端末設備の円滑な流通利用の確保に関するガイドラインは、回線契約を伴わない端末単体販売やそのSIMロック解除について定めており、各店舗でキャリア販売スマートフォンを移動機物品販売による単体購入ができるようになっている、はずです。
また、改正電気通信事業法では、通信契約と端末のセット販売における2万円の値引き上限を定めています。これを超えて値引く割引額は、回線とのセット販売を条件としない値引きである必要があります。(たとえば楽天モバイルは2万円を超えて値引きをできていますが、これは端末非購入の契約ユーザーにも還元を行っているためですね)
ということは、2万円を超える値引きをしているにも関わらず、超過額をセット販売以外のユーザーに還元していないだとか、端末返上により2万円以上の還元をしている端末購入サポートプログラムを非回線契約の端末単体購入者に提供していないだとか、そういった実態があると、法律上の問題が生じてくるというわけですね。
たとえばソフトバンクは端末購入サポートプログラム「半額サポート+」を提供。SoftBankは発表会や弊誌による電話取材に回答、回線契約の有無を問わず全販路で単体販売、プログラムも利用できると見解を述べており、規制潜脱ではないという建て付けでした。KDDIも「かえとくプログラム」の名称で類似サービスを提供。
しかし電気通信事業法改正と総務省の省令によって通信と端末の分離が定められ、値引き上限は総額2万円となるはず。それ以上の額の残債免除である上に、あれだけ問題視された4年縛りのような形ですし、今回のプログラムは普通に考えたらおかしいですよね。
これについてソフトバンク代表取締役副社長を務める榛葉淳氏は、当該規制は通信と端末のバンドルの場合で、回線契約の必要がなければ適用されないとの見解を示し、これは総務省に照会済みである主旨を述べていました。
では、ソフトバンクにはオンライン、ショップ、家電量販店、サブブランドのY!mobileといった各販路があるが、どういった販路において端末単体販売を行うのか?という点について、弊媒体編集部から広報への電話取材では「基本的にソフトバンクブランドの端末を販売している全販路(ソフトバンク広報)」との回答。
総務省アクションプランもあるように、こうした非回線契約者の端末購入の販売実態がないなどの規制潜脱に繋がる行為を防ぐ覆面調査と是正要請は引き続き実施するとしています。