一般社団法人東京ビエンナーレとソフトバンク株式会社は、様々なアーティストの参加するARアートを共同開発、国際芸術祭「東京ビエンナーレ2020/2021」で展示すると発表。報道関係者向けに説明しました。
特別協賛のソフトバンクは、新生活様式の時代の街をより楽しくする新しい文化体験を提供するといいます。丸の内、有楽町/神田エリア等の鑑賞ポイントを、ソフトバンクの「AR SQUARE」アプリを通じて見ることで、日常的な東京の風景を「見慣れぬ景色」に変えます。開催は7月10日から。作品観覧にはチケットが必要、一部作品は無料。
東京駅前の行幸通りでは、国土交通省の3D都市モデルプロジェクト「PLATEAU」のデータを駆使した「進撃の巨人」ARアート作品(鑑賞無料)も出現します。作品詳細は現時点では未開示ですが、作品には開発者ユニットAR三兄弟なりの解釈が加えられた表現になっているとのこと。
東京ビエンナーレ総合ディレクターの中村政人氏によると、芸術を体験する場所として、欧州にはカッセルやミュースターの彫刻展など街の文化とともに見せる舞台があるが、東京では行政的バランスや自治する町内会など関係者の層が複雑であり、今回の50ヶ所の会場で70のプロジェクトは走る東京ビエンナーレは開催に苦労したといいます。
芸術は「気付き」を誘発する力があり、街の歴史や道中での経験、それらが関係しあって空間を知覚し発想を得て、自らが面白さや美しさを発見する瞬間がある。芸術にはリレーショナルアート、ソーシャルエンゲージアート、コミュニティーアート、色んな切り口があるものの、AR体験はどの切り口にも接続しやすい美点がある。今後を占う先験的な実験がなされる、今年はAR元年になるのではないかと分析しました。
AR三兄弟のアーティスト川田十夢氏は「これまでARで12年ほど活動しており、技術進化が5Gなどの通信インフラあってこそで、作品を織りなす骨格になっている」といいます。
ソフトバンク大塚哲治氏は「無限の広がりのある芸術で、新しい層にARと5Gの楽しみ、驚きを届けたい。化学反応を体験してもらいたい」、東京ビエンナーレプログラムディレクター宮本武典氏は「アートは美をつくる技術、AR採用は自然。ソフトバンクがオルタナティブを取り込んでくれたことに歓迎」と語りました。
AR三兄弟の「都市と経験のスケール」(鑑賞無料)。会場は大手町パークビルディングと東京駅前エリア。様々な人間の動きとフォルムをデジタル化して配置。ARは拡大縮小できるため、等身大でも楽しめるし、倍にして大相撲にしても面白いとのこと。
椿昇氏の「TOKYO BUDDHA」。会場は新有楽町ビル。椿昇氏は遠隔で登壇、作品作りにあたり、言葉に縛られがちな現代美術だが、アートは複雑な外部情報を処理するいい舞台であり、できるだけナンセンスを大事にしている、新技術は表現を拡大でき、挑戦できることが嬉しいと語りました。
山縣良和氏の「Small Mountain in Tokyo」。幼少期から山に囲まれて育った山縣氏は、東京にも山があればと着想を語り、江戸時代初期まではあった東京の神田山をARで再出現させる作品に。同氏は遠隔で登壇、日本だと歴史が動けば「山が動く」というが、新しい歴史が始まるポイントになればと作品に願いを込めているようです。
会期は2021年7月10日(土)〜9月5日(日)。