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Xreal Eye レビュー。そこに置ける巨大モニターを持ち出そう

 既存のARグラス「Xreal One」シリーズに差し込むだけで、本格的な6DoF(6自由度)体験とカメラ撮影を可能にする小型モジュール「Xreal Eye」。わずか1万3980円で体験を強化するという、この浪漫溢れる”後付け”アップグレードは、果たして「買い」なのでしょうか?

 Xreal Eyeは、対応するARグラスのブリッジ部分に装着する、重さわずか1.35gの超小型モジュールです。

 その最大の役割は、頭の向きにしか追従しない従来の3DoF表示を、ユーザーの移動を検知して映像を空間に固定する6DoFへと進化させることにあります。この空間認識は、EyeのカメラとIMUセンサーからの情報を、内蔵する独自のX1チップで処理することで実現しています。

 「3DoFとか6DoFとか言われてもわかんねえよ」という読者向けにざっくり解説すると、空中画面がユーザーの頭についてくるのが3DoF、空中画面が部屋の特定箇所に固定されるのが6DoFです。Xrealはこれを「空間アンカー」として呼称します。けっこう的確な命名だと思います。

 実際に試してみると、部屋の中を歩き回っても巨大スクリーンが視界の同じ場所にピタッと留まり続け、まるで物理的な巨大テレビがそこにあるかのようです。

 「空間に設置した巨大な画面の裏まで回れる」という面白い効能もあります。ただ、正直なところ最初の感動が過ぎれば日常的に使うものではないかも。

 それより筆者が最も体験向上を実感したのは、喫茶店などでMacBook ProとXreal Oneを接続した際の作業時でした。通常モデルでは地磁気などの影響か、特定の場所で画面がゆっくりズレてしまいワイドモード表示が使い物にならないことがたまにありました。

 しかし、Xreal Eyeを装着すると、このズレがちょっとふわふわする程度にまで抑制され、実用範囲になったのです。「うわ、この喫茶店の席、どうにもならん、ハズレだ!ワイドモードは諦めて、眼の前にワイドじゃない画面を追従固定させるしかないなぁ……それか喫茶店出るか」と諦める事例があったので、それが解消されたのは非常に助かります。

 また、Eyeを装着すると、表示された仮想モニターに近づくことができますので、画面を最大サイズにしてグッと近づけば、気分はまさに「75インチテレビにPC接続」で、これ以上ない幸福感を味わえます。巨大モニターをどこにでも持ち出せるのは最高にクール。

 ただし、視野の狭い窓から巨大画面を覗いている感覚も同時に強調され、首や視線の移動量が増えて少し疲れるという側面もありました。

 それでも、「どこでも気分次第で超巨大画面を作れる」という利点は、本機の大きな強みです。普段、視力の問題で眼鏡を外し、少し無理してARグラスを使っているような方には、特に大きな恩恵があるかもしれません。

 もちろん弱点もあります。本機はあくまで単眼カメラでの空間認識のため、少し暗い場所では映像が細かく揺れる「ジッター」が目立つなど、低照度環境に弱い点は否めません。このあたりは、Meta Quest 3のような高価なデュアルカメラ方式のVRヘッドセットと比較すると、精度は明確に劣ります。

 また、東京都内の電車内での利用も試しましたが、画面がどんどんズレていくのを抑制し切ることはできませんでした。移動中の乗り物で空間固定モードを使いたい人は、購入は慎重に考えた方がよいでしょう。

 もう一つの魅力であるカメラ機能。単眼カメラを空間認識用ではなく、写真・動画を撮る撮像素子として使えるのです。モジュール上部のボタンを押すだけで、見たままの風景を1200万画素の写真や動画(最長60秒)として記録できます。この「見たままの視界を撮れる」手軽さはスマートフォンのカメラとは一味違い、旅行や会議でのメモ用途で非常に役立ちそうです。

Xreal Eyeで撮影。本当にカメラモジュールを付けてみただけ、まだまだ記録用といったところ。今後の画質処理の進化に期待。

 ちなみに、夜景をあえて撮影してみたところ、良くも悪くもノスタルジックな、いわゆる「平成レトロ」感のある描写となりました。また、取り込んだ動画のタイムスタンプがずれる現象も確認できましたが、これは試用したファームウェアに起因する問題かもしれません。

 既に実際に活用してみました。「両手でデバイスを操作している様子を、Xreal Eyeで撮影する」といった芸当も一人でこなせます。

 あまりなさそうなシチュエーションですが、Xreal Oneに電源供給さえすればカメラは動くので、スマホに接続せずとも「モバイルバッテリーに接続してXreal Eyeでカメラ撮影」ということもできます。

 撮影した写真や動画の転送は少し手順が必要です。PCとの有線接続時にXreal Oneの設定から「写真ビデオを伝送」を都度有効化すると、PCからストレージとして認識されます。iPhoneの場合は、純正のファイルアプリ経由でカメラロールに保存することが可能。

 総評として、Xreal Eyeは「ズレ」などの課題を感じているユーザーの体験をピンポイントで改善してくれる名脇役。そしてカメラも可能性を感じて面白い。そんなガジェットになっています。

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