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Xreal Oneレビュー。ケーブル1本で生産爆アゲ「空中モニター」を日常に

 挿せば即モニターが空中に浮かぶ!

 空間ディスプレイことグラス端末「Xreal One」を購入して長らく使ってきたのでレビューします。

 なお筆者はNreal Airを購入して、他社の類似のグラスも使った上で、こうした製品の常用を断念しました。

全然合わなかった Nreal Air

 しかし本機はまさに待ち望んでいた機種そのもので、外出時は大体持ち歩いてるレベルで気に入っています。

 専用アプリのインストールも複雑なペアリングも要りません。USB Type-C一本で、空中に画面が出現します。

 よく宣伝で「140インチの大画面があらわれます!」みたいなの、正直あれは誇大広告に近いですね。そんな遠くに出てる感じは全然ないですよ。実際は「あ、前方の近いとこに20インチ台のモニターが出てくる感じね」が正解だと思います。それでも視界を占有する面積が広く、大きな作業領域が展開できることには変わりはありません。

 さて、座って前方を向いていても、もたれても、視界の目の前に画面がついてくる体験は素晴らしいです。

 実はこの画面がついてくる、というのがキモなんですよね。Nreal Air等では、頭の動きにあわせて目の前にぴったり画面が、正確無比に表示されます。これが非常に気持ち悪い。あくまで画面表示機能のある眼鏡に過ぎなかったって感じです。

 ところがXreal Oneは、そのような不自然で不快な体験とは無縁です。画面が頭の前方に合わせるよう、そっとささやかについてくる。ちょっと余裕を持って遅延し、滑らかなアニメーションで、スッと寄ってきます。これが最高に気持ちいい。この滑らかな微調整がずっと続いてくれます。

 あくまでXreal Oneは、純粋なAR機能を用いていません。グラス内部に搭載した独自チップ「XREAL X1」と、ジャイロスコープと加速度センサーを組み合わせた6軸IMUによって、非常に高次元の3DoF画面表示体験を実現しているのです。贅沢ですね。

 こんな贅沢な構成のおかげで、これまではただの画面表示機能のあるつまらないグラスを、「まるで空中に浮かぶモニターの小型投影機」へと、一気に昇華させることができたのです。ベタ惚れです。Xreal Hubという充電必須・電池持続時間の短い外部機器を別途用意したり、専用アプリをインストールしたりしなくとも、グラスとノートPCかスマホがあればこれができてしまうのだから、マジで最高です。

 ちなみに遅延というのは、目の前に持ってくる追従のことだけです。画面表示の応答遅延は約3ミリ秒と良好。実際、遅延はまるで気になりません。

 映像は0.68インチMicro-OLEDパネル(片眼1920×1080ピクセル)を120Hzで駆動し、最大600ニット相当の輝度を確保します。Nreal Airよりも輝度が向上して見やすく快適になってます。映画の暗部も潰れず、映像視聴にも高いポテンシャルを持っています。色域はAdobe RGB比で93%を謳うだけあって、あくまでOLEDなのでさらなる長期利用時にはわかりませんが、今のところは筆者の求める写真現像程度になら大きな問題はなく使えています。

 ちなみにこの画面をカメラで撮影するのは難儀で、スマホカメラでかろうじて焦点があわせられたかと思いきや色収差が起きたりで汚く見えますが、実際の画面は鮮明そのものです。

 装着感は個人差がかなり大きい部分だと思いますが、筆者はNreal Airをつけていると耳の付け根が痛くなるので全く使ってられませんでした。

 ところがXreal One装着感も良好。重量82gで軽量フレーム。バランスが良いのもあるのか、とにかく疲れずに使い続けられます。特に大きいのが素材の変更で、Nreal Airでは硬質プラ素材が柔らかいTPE系素材に変更、また重心を鼻側に寄せているためか耳への負担が軽減されているように感じます。付属品のUSB‑C ケーブルはシリコン&長さ1.5 mで柔らかく、しかも軽いので、引っ張られる感じも少ないです。Nreal Airで、こりゃ無理だ!と筆者のように感じた人でも、再度試してみる価値はあるかと思います。ただ重ね重ね言いますが、顔や耳の形状には個人差が大きく、あくまで筆者の感想です。

 なおX1チップが常時稼働するため、フレーム上部は長時間の高負荷時に発熱しているのが指で触ると感じられると思います。ただし、この熱が装着中に顔に伝わってくることはないため、前述の耳への不快のほとんどない装着感と相まって、長時間使い続けやすいです。映画一本観たり、1, 2時間ほど作業するのはお手の物です。

 音響はBose監修のオープンスピーカー方式です。耳をふさがないので、周囲の音も入るのがいいんですよね。自然な聴き心地です。映画を観るのも存分に楽しめます。ちなみにカフェでは音量を控えめにすると隣席への音漏れは気にならないかと思います。

 オープン方式ってことは、音質悪いだろと思うでしょうが、これが案外いいですよ。こういう開放型って大体低音が抜けやすいですからね。そこがしっかり厚みのある音で聴き取れるのは感心しました。Nreal Airよりも高音質です。

 マイクも意外と健闘してますので、周囲の状況にもよるとは思いますが通話もかなり問題なく可能です。

 表示モードは頭の動きに合わせて画面が付いて来る「フローティング」、空間にピタリと固定する「固定」、横長のシネスコ比率になる「ワイド」の3種類です。筆者が絶賛したのはフローティングです。

 ちなみに横長のワイドもなかなか素晴らしいです。MacBookをつなぐと、ちょうどモニターを2枚並べたような解像度になってくれます。このワイドモニターが空中に浮かび、追従ではなく空間に固定されるのです。これが素晴らしい。

 Macだと仮想スクリーン左右切り替えが優秀なので、フローティングモードでのモニター1枚分表示でも全く問題はないのですが、ワイドモードでは、固定されたワイドモニターを、首を左右に振ることで切り替えられるので、よりシームレスに、作業効率を爆上げできます。

 筆者はノートPC程度の画面サイズなら、画面いっぱいに1枚のウィンドウを広げます。普段作業中に使うソフトやブラウザは3, 4個ぐらいになることが多いので、仮想スクリーン計3, 4枚それぞれでウィンドウを広げます。となると、1枚目から4枚目の遷移にはMacOSではタッチパッドを3回の指三本スクロール。そこから1枚目に戻ってくるだけで計6回のスクロールが必要になります。ダルい。

 これがワイドモードなら左右にウィンドウを並べるので、4ウィンドウ表示でも仮想スクリーン2枚で済んでしまいます。ということは、左右スクリーン切り替え+首を振るだけで操作が済むのですよね。これが生産性爆上げの秘訣です。この機体を買ったらぜひワイドモードを買わないと損ですね。もはやモバイルモニターいらないです。

 注意点としては、120Hzのリフレッシュレートはワイドモードでは出ないこと。あと、Windows機でワイドモードが制限されているということはないものの、機種によってはGPUやドライバなど何らかの理由でワイドモードが使えないケースもあることです。また、横長画面は全く視野に収まりきらないため、Xreal Oneの視野角50度というのは「もっと広ければな」と思う場面が出てきます。

 それと、あくまでカメラ等のセンサーではなくIMUでの位置推定からの固定なので、地磁気の影響を受ける場所や、地下鉄や新幹線などの動く車内では、画面がズレていってしまうので使えない場合があることです。こういう場合は、フローティングに切り替えて使うことになります。前述の通り、OSのスクリーン切り替え機能を使うのがいいと思います。

 こういうグラス端末が普及しそうかなと思える利便性が、プライバシー・セキュリティです。MacBookの内蔵ディスプレイ輝度を最小にして、Xreal Oneの画面だけ出力すれば、周囲の人から画面を覗き込まれる心配なく資料作成やメール確認が捗ります。

 ちなみにXreal OneはスマートフォンでもUMPCでも利用できます。動画を視聴するだけなら、スマホと接続が便利です。スマホの画面をオフにすると動画再生が止まってしまうという機種が多いなか、iPhoneが良かったです。NetflixやPrime Video視聴中に、iOSがHDCP外部表示判定し画面オフ中でもXreal Oneでの動画再生が継続されるなど、挙動が一番まともです。Androidはアプリやメーカー次第で、端末によっては画面オフで停止してしまうアプリが多く、微妙でした。

iPhoneでは画面OFF時でもNetflixとAmazon Primeの視聴をグラス側で継続可能。Androidは全般的に駄目だが、Androidを搭載したXreal Beam Proでの挙動はXrealが出しているだけあり例外

 なお携帯ゲーミングPCでも良好な動作感でした。GPD Win Miniではワイドモードこそ動きませんでしたが、SteamのPCゲームを大迫力で遊べて感動しました。ゲームパッド部分は手元を見る必要ないですし、ゲームプレイしやすいです。一方で、UMPC等の小さくて変則的なブラインドタッチしにくいキーボードの機種では、生産性用途には向きませんでした。

 総合的な組み合わせにおいては、MacBook Proとの接続が至高でした。ブラインドタッチすると、下の方を見ず、前方等をむいて楽な姿勢で作業できて最高です。筆者もお気に入りの自作キーボードを接続して使ってますが、本当に気持ちいいです。

 前述のスマホやUMPCではグラスに電力を供給し続けるため電池持ちが悪くなりますが、筆者の使っているMacBook Pro M3は電池駆動時間最強であり、筆者の作業内容ではしばしば電池持ちが良すぎるぐらいなので、多少減っても問題ありません。そもそも、Xreal Oneを繋いだからと行った電池が極端な爆速で減るということは、MacBook Proでは全然ないのですよね。だって14インチminiLEDの大型ディスプレイという電池を大幅消費するデバイスをオフにできるわけですからね。Apple製品との親和性は非常に高く、もうApple Storeで推奨機器として売っててもおかしくないなと思ってしまうほどですが、あくまでEDIDチューニング等で協力はしているものの、正式な共同開発ではないそうです。

 なおニッチで細かいところでいうと、iPhoneのキーボードケースClicksはCarPlayプロファイル を占有するため、現状Xrealと同時利用は不可となっています。これはClicks側の問題なので仕方ないですね。ちょっとやってみたかったので残念です。

 携帯性も高いですが、個人的にちょっと困ったのが持ち運びでした。ノートPCだけ入るような薄型のカバンだと、これを入れるスペースがなかったのですよね。お役御免にするには快適すぎるので、カバンにメガネケースを追加してみました。これで持ち運んで常用できています。

 実際、筆者はMacBook Pro M3のさらなる快適な環境構築のためにモバイルモニター、iPad Pro M4のSideCar、そしてVision Proに至るまで試しましたが、どれも良さがあるものの、荷物がかさばるので微妙でした。圧倒的にXreal Oneの利用頻度が高いです。

 価格6万9980円を「高い」と感じるかは、日常の作業効率と快適さにどれほど価値を置くかで決まるでしょう。視野角がもう少し広ければな、などの不満点はまだあるものの、グラス端末としては十分見やすいですし、Vision Proまで試して辿り着いた結論がこれだった筆者にとっては、全然高くなかったと感じています。

 Xreal Oneは、外出先に「もう1枚の大画面」を持ち歩きたい人にぜひ試してほしいガジェットです。利用端末との相性があるという問題はネックですが、もし条件の合う人はぜひ使いこなしてあげて欲しいですね。

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