ゲーマー以外もノッチ・パンチホールの呪縛から解放だ!
ZTE、nubia、RedMagic端末の国内販売を行う正規代理店Fastlaneより、RedMagic 10 Airをお借りしたのでレビューします。ゲーミングスマホのRedMagicらしい機種でありつつ、ゲーミングをややマイルドに、軽量化して非ゲーマーでも手に取りたくなる魅力溢れる機種に仕上がっており、価格はなんと8万4800円から。
6.8インチ画面。UDC(画面下カメラ)により、ノッチもパンチホールも存在せず、93.7%占有のベゼルレス仕様が最高にイカしてます。画面下インカメラは16MPで、カメラ画質は悪いですが、フルディスプレイの没入感と格好良さの前では極めてどうでもいい問題です。

高駆動・低輝度など特定条件下ではインカメラが目立つことも。
RedMagic 10 Proは冷却ファンを搭載することで8.9mmの厚みになっていましたが、RedMagic 10 Airはファンを廃して薄さ7.85mm、重さ205gのスリムさを実現。

左からiPhone 16 Pro、RedMagic 10 Air、OPPO Find N5
背面はアンチグレア処理を施した AGガラスで指紋が付きにくく、とてもスベスベした質感で抜群の高級感。筐体は防塵防滴はIP54で、通勤中の小雨程度なら問題なく使えます。
よくあるゲーミングを謳うデスクトップPC・周辺機器のピカピカ光らせるゲーミング要素、筆者は嫌いですが、皆さんはどうですか?この機体はゲーミングをそれほど感じさせないデザインですっきりしていて、ゲーマー以外にも良いのではないかと思います。ただ、好きな人は好きな要素なので、カメラ突起にLEDが仕込まれてることは申し添えておきます。
画面はBOE Q9+ AMOLEDで解像度1116×2480 px、最大輝度は1600 nits、リフレッシュレートは120 Hzです。タッチサンプリングは常時960Hz、瞬時2000 Hzなので激しいフリック操作にも遅延なく応答。2160Hzの高周波PWM調光を採用しているため長時間の利用でも目が疲れにくい恩恵があります。
プロセッサはSnapdragon 8 Eliteではなく、Snapdragon 8 Gen 3です。メモリはLPDDR5X、ストレージはUFS 4.0です。放熱ファンこそ廃したものの、9層構造のICE-X冷却・6100 mm²の大型VCプレートを搭載。原神を最高画質設定で遊んでもフレームレートの低下なく遊べます。
ささやかにL/Rショルダートリガーセンサーは継続搭載。横持ち時に1:1の重量バランスを狙ったという設計が功を奏して持ちやすいです。アクションゲームやFPSのAim/射撃で役立ちます。
ソフトウェアはAndroid 15ベースのREDMAGIC OS 10です。OS2回、セキュリティ3年間のアップデート保証とのこと。
カメラは2眼構成。メインカメラは5000万画素の広角(OmniVision OV50E 1/1.55型、OIS搭載)。
ご飯もわりと美味しそうに撮れるスマホカメラらしい塩梅です。
夜景はアルゴリズム処理とOISによって手持ちでもブレにくいです。
5000万画素の超広角(OmniVision OV50D 1/2.88型)は、到底高品位な仕様とは言えませんが、画角が一般的なスマートフォンよりもやや広く、迫力のある画が撮れるので、本機の意外な妙味だと思います。実際、画質はともかく使っていて非常に楽しいものでした。
超広角でも周囲に光源のある夜景ならば案外粘ります。
撮像素子の余裕の無さを上手くアルゴリズム処理で補っているので、さらなる低照度や、安定しない状況ではボロが出ます。なのでエスカレーターに乗ってる時の夜景は失敗してしまい、特に周辺部のディテールは破綻していますが、雰囲気は掴めると思います。
ZTE機らしいカラーフィルターも使えます。画質は落ちますし、「刷新」「むちゃ」フィルターなど誤訳は残っていますが、適宜使い分ける分には楽しめると思います。

都市夜景などに向きそうな、あえて色収差をかけるサイバーパンクフィルター

フィルムフィルターのほか、SIGMAのティールアンドオレンジを彷彿させるグリーン・オレンジフィルターも悪くない
国内版は現在シャッター音を消せない仕様になっていますが、開発チームにアップデートでの改善を要望中とのこと。ZTE nubia Z70 Ultraもアップデートで消せるようになってましたね。
中華端末はしょっちゅう西側への現地化をサボっており、AOSP準拠の電源ボタンカメラ二度押しによるカメラ即時起動ができないのがしばしば弱点となっています。
ところが最近のZTE端末はnubia Z70 Ultraに続き、実は本機も赤色の物理ショートカットボタン(Magic Key)長押しでのカメラ即時起動に対応しており、非常に大きな好感を持ちます。
これはゲームスペース起動を主に見据えたボタンなのですが、設定画面からカメラに割当が可能なのです。ちょうどiPhoneのアクションボタンを意識していると言えるでしょう。起動直後の撮影モードは静止画と動画を選べます。
いくら良いカメラ、楽しいカメラを搭載していても、撮影音がうるさい、カメラ起動にまごつくというだけで美点が大きく損なわれます。そういった問題にZTEのFastlane担当機は比較的よく対応を努力する傾向にあるので、今後も頑張ってほしいです。
では、ボタンをカメラに割り当てたら、ゲームスペース起動はどうするのか?といった問題は、まず先にゲームスペースを一旦起動し、その設定からゲームスペースをホーム画面に置くことができるので、それを済ませておくのが肝要です。ボタンからはカメラ、ホーム画面からゲームスペースを利用できます。
ゲーム関連のUIは機能過多で煩雑、さらに翻訳も雑なので使いにくいと思いますが、歯応えのあるスルメ系なので噛むほど味がすると思います。面白い機能も詰まってるので、色々使ってみて下さい。フレーム補間機能を有効にすると60fpsのタイトルでもMEMC(フレーム補間)での120fps表示になります。あくまでささやかな効果で、特段に圧倒的に滑らかというわけにもいきませんが、これは当然です。たとえば映像のフレーム補間は既に先の時系列のフレームが存在しており、多少の遅延も許容されるので、余裕をもって前後のフレームから贅沢な映像の補完処理が可能です。これに対し、ゲームは先の時系列が存在せず、現在のフレームから生成する必要があり、ゲームプレイに支障が出ないよう遅延が許容されないからです。未だにAndroid版で120fpsに非対応の原神などのタイトルでの気休めとしておすすめです。
NFC(Type-A/B)を備えますがFeliCaには非対応です。
生体認証は画面内指紋認証。出始めからしばらくのZTE機は画面内指紋認証が不安定で、アップデートで安定していくことが多いのですが、テスト当初から画面内指紋認証の動作は安定しているように感じました。顔認証と併用できるのもあって、不満なくロック解除できています。
4Dバイブ実現を謳うX軸リニアモーターは手応えがあり、日常利用における「快」、高級感にも貢献します。立ち上がりも俊敏なので、ゲームプレイにおいて射撃のリコイルやエンジンの振動を手のひらで体感することができます。
デュアルスピーカーは非常に大音量で、音場と音像定位は良いです。これは迫力を確保し、イヤホンがない状況でも敵の位置を概ね捕捉しやすいといった特性から多くのゲームのプレイに向いています。ただ解像感の低さ、歪み、わずかに刺さる歯擦音といった観点から、声優の前面に出たストーリーパートや、フルボイスの物語に浸りたいノベルゲームなどは相性がそこまで良くないと感じるものも出てくるかもしれません。
容量6000mAh電池でたっぷり使えて、充電はそれに見合う有線急速充電80W。スペック表は以下の通り。
REDMAGIC 10 Air | |
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OS | Android 15 (REDMAGIC OS 10) |
SoC | Snapdragon 8 Gen 3 + Red Core 3 |
メモリ | 12 GB / 16 GB LPDDR5X |
容量 | 256 GB / 512 GB UFS 4.0 |
画面 | 6.8 インチ AMOLED (1116 × 2480) 120 Hz |
リアカメラ | 5000 万画素 (OIS) + 5000 万画素 超広角/マクロ |
フロント | 1600 万画素 UDC |
電池 | 6000 mAh / 80 W 急速充電 (バイパス対応) |
寸法 | 164.3 × 76.6 × 7.85 mm |
重量 | 205 g |
冷却 | ICE-X 9 層 VC 6 100 mm² |
防塵防水 | IP54 |
その他 | 520 Hz ショルダートリガー、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4 |
価格 | 12 GB+256 GB:8万4800円 16 GB+512 GB:10万9800円 |
おサイフケータイ非対応でSnapdragon 8 Gen 3という点がネックですが、おかげで価格は8万4800円からというミッドハイ以上ハイエンド以下の値付けなのは注目に値します。RedMagicシリーズをゲーミングスマホというより、フルディスプレイ・大容量電池のクールなスマホとして普段使いしたかったユーザーにとっては非常に魅力的な機種となっています。
国内公式ストアではTwilight(白)とHailstone(黒)を予約受付中。国内正規品には1年間の保証付き。12 GBモデルが8万4800円、16 GBモデルが10万9800円です。6月下旬にはFlare(オレンジ)も追加されます。ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか?