Huaweiが昨年10月に日本発売したスマートウォッチ「HUAWEI Watch GT 2 Pro」。筆者はデザインに一目惚れし予約購入しました。それ以来現在まで8ヶ月以上愛用しているので、長期使用レビューをお届けします。
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デザイン
スマートウォッチを毎日使う上で何より重要なのはデザインだと思っています。ほぼ24時間身につけ、他のガジェットよりも他人の目に触れることが圧倒的に多いので、妥協できないポイント。
HUAWEI Watch GTシリーズは丸型で、一般的な腕時計のようなデザインが特徴です。GT 2 Proはシャンパンゴールドのような色のボディ。
側面はヘアライン加工、竜頭のようなボタンはスピン加工。素晴らしい高級感です。派手すぎないデザインで、ずっと使っていても飽きません。
ディスプレイは1.39インチの有機EL。454×454ピクセル・326ppiと非常に高解像度で、とても綺麗です。自動明るさ調整機能によりどこでも適切な明るさで、視野角もかなり広め。明るい屋外でも見えます。ベゼルとディスプレイが平らなため、間にゴミがたまることはありません。
46mmサイズと結構大きめなので、筆者のように腕が細いと少し違和感があるかも知れません。フィット感は全く問題なく快適です。
バンドは2種類
バンド(ベルト)はネビュラグレイの革製クラシックバンドとナイトブラックのスポーツバンドの2種類。クラシックバンドモデルにもスポーツバンドは付属します。バンドによって印象が変わりますね。どちらのバンドもボディとのつなぎ目に隙間がないのが素敵。
クラシックバンドを着けるとさすが革製だけあってめちゃくちゃ上質。他のスマートウォッチとは一線を画しています。定価において、スポーツバンドのみのモデルとの差額は4400円と中々のお値段。安いスマートバンドが買えてしまいます。
スポーツバンドもかなり質感が高いです。一般的なシリコン素材ではなくフルオロエラストマーという素材。個人差がありますが筆者の場合は汗をかいても痒くなりません。驚いたのが耐久性の高さです。長期間使っていてもほとんど劣化しません。ただ、若干ホコリがつきやすいのは気になるところ。
どちらのバンドも良いのですが、クラシックバンドは革製なので扱いが慎重になり運動には向きません。本体部分の色とバンドのブラックの組み合わせが気に入り、最近はスポーツバンドを使っています。また、汎用品の幅22mmの腕時計バンドもつけられるので、Amazon等で探せば無限大に楽しめます。
耐久性の高い造り
ボディは高価な素材として知られるチタン製。軽さに優れているとはいえ、スポーツバンドと合わせて約83gあります。ただ、着ければ重いと感じません。なおクラシックバンドの場合は約68g。
フェイスはサファイアガラス。一般的なスマートウォッチでも傷防止コーティングがされていますが、それでも使っていると結構ぶつけるので小傷がつくことも。それに対して本製品もデスクなどに何度もぶつけていますが、傷が全然ついていません。正直他製品と大差ないだろうと思っていたので驚きです。見た目を損なう保護フィルムは不要ですね。
また、背面までこだわりセラミック素材となっています。確かにツルツルで滑らか。汗をかいても不快感がなく、汚れてもサッと拭けば簡単に綺麗になります。
5ATM防水なので水回りはもちろん水泳も大丈夫(入浴は不可)。水を排出する機能もあります。高級感のある見た目とは対照的に、耐久性も防水性もあって気を遣わずに使えます。
充電・バッテリー
スマートウォッチとしては珍しく、ワイヤレス充電に対応しています。他のワイヤレス充電対応スマホやワイヤレスイヤホンと同様に充電できるので、めちゃくちゃラク。
外出先や旅行途中でバッテリー残量が無くなった場合、他製品なら専用充電器を持ち歩いていなければ詰みますが、本製品はワイヤレス給電(逆充電)対応のスマホからでも充電できます。筆者はワイヤレス給電対応のHUAWEI P40 Proを使っており、ウォッチを充電し忘れていた時に何度か助けられました。
もちろん専用充電器(無線充電クレードル)が付属しており、ワイヤレス充電器が無くても大丈夫。マグネットで簡単にくっつきます。向きは関係なし。
バッテリー持ちもかなり優秀。各種計測オンでワークアウトを数回した場合、公称14日間となっています。ただ、購入当初でワークアウトをしなくても14日はギリギリという印象でした。8ヶ月毎日使った現在、1日あたりのバッテリー消費は約8%(各種計測オン、ワークアウト0回、常時表示オフ)。残量10%で充電を促す通知が来るので、11日ほどで充電しています。
Huaweiの最大27Wワイヤレス充電器では1時間で20%から90%まで充電できたので、もし充電し忘れていても10分ほど充電すればその日は大丈夫そうで安心。バッテリーが長く持つ上にワイヤレス充電に対応しているため、充電・バッテリーはストレスゼロです。この上なく快適。
操作性
腕を上げれば自動でディスプレイがオンになります。上からスワイプするとコントロールセンターのようなものが開き、下からスワイプすると通知一覧が表示され、左右にスワイプでお気に入り機能を順に見ることができます。
右上のボタンを押すとメニュー一覧が表示。右下のボタンを押すと設定した機能をすぐに起動できます。前の画面に戻るときは左から右にスワイプ。このようにシンプルで分かりやすい操作方法となっています。スマホ(EMUI)と似たアイコンも採用されていて見分けやすく、初めてでも安心。
購入当初は動作がモッサリしていると感じたのですが、今は感じません。アップデートで改善されたのか、十分サクサク動作します。また、他製品と比べて文字サイズが大きめのように思います。これなら離れていても読めますね。
スマホアプリ
アプリは「HUAWEI Health」(ヘルスケア)を使用します。AppStore・Google Playストア・AppGalleryからインストール可能(記事の画像はAppGallery版)。長年提供されているアプリなので、とても洗練されている印象です。現在のデザインはHarmonyOSに合わせたもの。
画面下部にタブが表示され、トップ画面では計測した情報がひと目で分かるようになっています。各情報をタップすれば詳細を確認できます。
「運動」タブで、ウォッチを操作せずにワークアウト計測を始めることもできます。「デバイス」タブではウォッチの設定が可能。こちらもシンプルで分かりやすい。
Androidアプリについて
Google Playストア版はAppGallery版と比べて機能が少なくアップデートが遅いという欠点があります。そのため、Huawei以外のAndroidスマホでもAppGallery版を利用した方がより便利に活用できます。
AppGallery版をインストールするには、まずHuawei公式サイトからAppGalleryをapkでインストール。画面に従ってHMS Coreもインストールします。GMSに影響することはありません。その後AppGalleryからHUAWEI HealthをインストールすればOK。
なお、apkファイルをインストール可能な状態のままスマートフォンを運用することはセキュリティ上の危険性を生じます。操作が完了したら必ず「提供元が不明のアプリのインストール」を「許可しない」に戻して下さい。
※よく分からなければPlayストア版で大丈夫です。また、HuaweiスマホであればAppGallery版がプリインストールされています。
基本機能はバッチリ
一部、iOSでは非対応の機能やHuaweiスマホ限定の機能があります。
一般的なスマートウォッチに搭載されている機能はほぼ網羅しています。心拍数、血中酸素レベル、睡眠、ストレスを常時計測可能(睡眠は昼寝も対応)。流行りの血中酸素にも対応しているのは嬉しいですね。発売当初は日本では使えなかったのですが、認可を取得したためかファームウェアアップデートで解放されました。日本ユーザーを重視する姿勢が伺えます。なお医療目的では使えません。
通知、ワークアウト(運動計測)、天気情報、ストップウォッチ、タイマー、アラーム、デバイスを探す機能等もちろんあります。
個人的に気に入っているのがアラーム機能。振動だけにすれば自分以外は起こさないので、家族と一緒に寝ていても大丈夫。日中も周りにバレずにアラームをかけられるので仮眠にも適しているかも知れません。さらに「スマートアラーム」という、設定した時刻が近づいたら浅い睡眠の時に起こしてくれる便利機能もあります。
通知はアプリを一つ一つオン・オフ設定可能。通知が来たら振動だけでなく音も鳴らせます(オフに設定可能)。
それだけでなく、音楽を本体に保存して内蔵スピーカーで再生したり、通話をしたり、Bluetoothイヤホンを接続したりすることも可能。スマホの連絡先と同期して発信することもできますが、スマホと接続している必要があるので、スマホが近くにある状態でわざわざウォッチで通話する必要性が分からず一度も使っていません。
リモートシャッターはEMUI 8.1以上のHuaweiスマホ限定の模様。機種を問わず使える製品もあるので惜しいところ。
発売から数ヶ月後、ウォッチをパスコード(PIN)でロックする機能が追加されました。操作しようとするとパスコード入力画面になります。その他にも1時間ごとの天気予報が24時間先まで見られるようになったり、一部表示が改善されたりするなど、アップデートでどんどん進化しているのも嬉しいポイント。
ワークアウト
ワークアウトはなんと100種類以上あります。運動していることを検知すると記録を提案する機能も。もちろん本製品はGPSが搭載されています。「屋外ウォーキング」中の画面はこんな感じ。心拍数やペース等が分かりやすく表示されます。
下からスワイプすれば歩数や消費カロリーなど他の情報が表示できます。横にスワイプすると音楽再生コントロール画面や天気に加え「来た道を戻る」機能もあります。これはマップこそ表示されないものの、GPSで記録したルートに沿って進めば迷った時でも帰還するのを助けてくれるというもの。
計測後はHuawei Healthアプリで記録を確認できます。ルートや心拍数の変化、歩数等たくさんのデータが見れて面白いです。
アプリ内マップはHuawei独自のPetalマップが使用されています。GPS精度は、拡大すると若干ズレたり蛇行したりしている時がありますが、どこを通ったのかは問題なく分かります。
また、本製品は「スキー」にも対応しているのがポイントのようなので、スキー場に行って実際に試してみました。速度や最大傾斜等が確認できます。
GPSが搭載されているだけでなく、ウォッチ本体に音楽を保存できスピーカーかワイヤレスイヤホンで聴けるので、音楽を聴きたい場合も含め運動時にスマホを持っている必要がありません。スマホをポケットに入れながら走ると邪魔なので、結構ありがたいです。
超豊富な文字盤
最初から文字盤は豊富に用意されているほか、アプリで好きな文字盤をダウンロードできます。ユーザーが作成して公開することも可能なので、数十個どころじゃなさそう。Huaweiはスマートウォッチ世界シェア2位なので本当にたくさんあり、中には有料のものも。デジタル表示のものもありますが、丸型なのでアナログのデザインが多め。
好きな写真を設定することもできます。アプリから時計表示をカスタマイズ可能。さらに一部のHuaweiスマホなら、「HUAWEI Share OneHop」という機能でウォッチにかざすだけで写真を転送できます。これなら撮った写真をすぐに設定できますね。
HUAWEI Share OneHop、カッコいい
(画面の波線は撮影上の問題) pic.twitter.com/aLXNU2cd00— どろモバ|ガジェットブログ (@doro_moba) June 5, 2021
本体にたくさん文字盤デザインや写真を保存して置けるので、気分転換に文字盤を変更したい時もすぐに行えます。長押しで変更可能。
常時表示
有機ELを生かした常時表示にも対応しています。表示デザインは新たにダウンロードすることはできず、用意されている6種類の中から選ぶことになります。通常の表示より暗く、屋内では問題ないものの明るい屋外ではデジタル表示でないと視認性は厳しい印象。
常時表示をオンにするとバッテリー持続時間は短くなり、秒針は表示されません。また、「持ち上げて起動(画面オン)」がオフになり、使うにはボタンを押す必要があります。常時表示オンかつ持ち上げて起動もオンで使うことができないのは残念。
常時表示ではない通常の表示を5分間または10分間つけっぱなしにしておくこともできます。頻繁に時刻を確認したい時に便利。
アプリ追加
Apple WatchやGalaxy Watch、Wear OS等と異なり外部アプリの追加はできないはずでしたが、実はHUAWEI Watch GT 2 Proはアプリを追加できます。今のところGT 2 Proのみ対応のようで、公式サイトにも載っておらず購入してから気づきました。なお先述のAppGallery版HUAWEI Healthのみ対応なので、iPhoneは不可。
デバイス設定に「アプリ」という項目があり、そこからインストールできます。記事執筆時点では19個。徐々に増えてきています。多くは簡単なゲームやワークアウト系。スマホアプリと連携しTo Doリストを表示できるものや、SMS履歴の閲覧・返信が行えるもの、目的地までのルートを指示してくれるもの等、本格的なアプリもあります。
筆者が使っているのは電卓アプリ。小さい画面でも意外と使えて便利です。
欠点
ソフトウェア面で少し不満が。「通知の鳴動制限」をオンにすると「持ち上げて起動」もオフになるのですが、通知だけオフにできるようにして欲しいです。また、「通知の鳴動制限」をオンにしても音楽再生やワークアウト時の音量設定はそのままなので注意が必要。音量設定は統一して欲しいです。
欲を言えばToDoアプリやApple WatchやAmazfit等で可能な家族・友達とのデータ共有機能もあったらいいなと思います。
その他に目立った欠点はなく、完成度は高い印象。
総評
デザインが本当に素晴らしく、見るとちょっと気分が上がります。そしてバッテリー残量を気にするストレスがない上に、ワイヤレスで簡単充電。それでいて機能はしっかり揃っており、アップデートで追加されることも。
あまり高機能を求めず、「腕時計らしさ」や「使いやすさ」を追求したスマートウォッチだと感じます。スマートウォッチの中では高価ですが、ワイヤレス充電対応やチタン素材採用を考えるとむしろ安価。しかも発売から時間が経っているので値下がりしています。
快適に使えてデザインも機能も大満足。本当に気に入っており、おすすめです。