最近のスマホは高い、かといって廉価帯では不満……そんな人の新たな選択肢に。
Galaxyブランドの中価格スマートフォン「Galaxy A53 5G」をメーカーより一定期間貸与していただいたのでレビューします。
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しっとりサラサラした最高の質感、ノイズレスなデザイン、全体として良好な外観、それでいて古の風習で刻印された旧態依然のキャリアロゴは幸いにも周囲に近い色で目立たない
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オーサムホワイト、オーサムブラック、オーサムブルーの3色展開。どれも甲乙つけがたい
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中価格スタンダードモデルながらも800nitの有機ELディスプレイを搭載。画面内指紋認証解錠速度はハイエンドから半テンポ遅れる程度の「普通」。バイブレーションが安っぽいが振動時間を短くして極力感じさせない工夫がなされている印象
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リフレッシュレート最大120Hzでは滑らかさと引き換えに電池持続時間を損なうが、大容量電池なので電池持ちは良い
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大きすぎないパンチホールだがやや目立つ
シリーズ最上位「Galaxy S22 Ultra」と同じ大容量5000mAh電池を搭載しており、120Hz駆動設定でそこそこヘビーに使っても終日余裕の電池持ち。
少し前なら5000mAh電池搭載の機種といえばかなり分厚かったのですが、ハイエンド機種を筆頭に大容量電池搭載機種が出てきて、廉価モデルでも高い実装技術でこれを収めきっているのが素晴らしい。
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大容量電池でも厚み8.1mm、重量189gに抑えていて、見た目がゴツいということもないのが好印象
ただし急速充電は25W、無線充電非対応というのは物足りない点です。
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可もなく不可もなし価格相応のスピーカー(上部とあわせステレオ)、USB Type-C、マイク、SIMスロットが並ぶ
本機の特徴は何と言ってもコストパフォーマンス。特にカメラには注目です。
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一部トレンドのフラットなカメラデザイン
最も驚いたのは後述する夜景です。カメラは日中屋外など綺麗に撮影できます。
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側面電源ボタン二度押しでカメラ起動。ハイエンド譲りのカメラ各種機能。カメラハードの弱さを補うべくHDR/夜景のような複数枚合成処理にも力が入っている
以下、広角メインカメラ。6400万画素ですが通常1600万画素程度で動作する上に光学式手ぶれ補正に対応しているので、撮影失敗はほぼありません。
ご飯も美味しそうに撮れます。
露出を落として雰囲気重視も。よく撮れているのではと思います。
超広角。画質が良いわけではありませんが価格相応。後述の通り、光量不足時は優れた画質処理で補います。
マクロ。正直使い道はあまり無いと思います。
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本機に限らずスマホのマクロカメラは「画質が悪い」「自機の影が邪魔になる」「ほぼ使い道がない」。深度測位とあわせてただの「カメラ数稼ぎ」に終始してしまいがち
よく頑張っているなと感じたのは画質処理。廉価モデルに搭載のカメラの光学性能では突破できない点を計算写真学で補います。
10倍ズーム、プレビュー時点では酷いですが、拡大すると凄さがわかります。左が1倍、右が10倍。滑らかな輪郭の鳩として描写できています。おそらく6400万画素のクロップズームと優れた画質処理の賜物だろうと推定します。
夜景でも同様に優れた画質処理が伺えます。
ナイトモードはハイエンドを彷彿させるような今風の写真がしっかり撮れます。若干暖色に寄ってはしまいましたがハイライトも抑え良好。
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煉瓦の細部を捉えつつも上品に撮れた
意外といまいちなのが最近愛用しているXiaomi 12X。Snapdragon 870搭載でQi非対応となっている以外は、上位機種とほぼ同一寸法で高級パネルの優れたモデルなのですが、夜景はなんだか今ひとつのまま。
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Xiaomi 12Xメイン広角で撮影。解像感ディテールなどハイエンドとしてみるとやや微妙。
Galaxy A53 5Gの健闘ぶりがわかるのではないかと思います。とはいえ、ここまでは光量のある夜景らしい夜景。差は出にくいです。
非ハイエンドモデルによくあるのが「メインの広角以外ダメダメ」。Galaxy A53の場合、超広角の夜景はけっこう粘ります。
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明らかに光量の少ない場所で超広角、プレビューを見る限りダメそうだが、ナイトモードはよく粘る
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超広角。そもそも光量不足しがちのミッドレンジ超広角レンズと汚いプレビューを考えると大変良く頑張っているのがわかる
メイン広角で比較。左がGalaxy A53 5G、右がXiaomi 12X。Xiaomi 12Xはパッと見は悪くないように見えるものの草木など各所のディテールが潰れてしまっており、画質処理の雑さが伺えます。
左がGalaxy A53 5G、右がGalaxy S22 Ultra。低照度でも上位機種同様の画作りであることが伺えます。
一応原寸大(A53、S22 Ultra)のファイルも上げておきました。確かにA53の方がディテールやノイズなど多少劣るものの、光学的に厳しく計算写真学の重要な夜景ではかなり僅差まで迫っているという事実に驚きます。
ミッドレンジで優れた夜景撮影の代償だろうと推定できるのが、夜景撮影直後に待たされる時間が長いこと。より高品位な処理を入れ込むにはハイエンドSoCの高速なISPが相当。ミッドレンジSoCには荷が重い処理をさせているのも、処理時間の長さの要因だろうと考えられます。
夜景ではここぞの1枚は撮れるがハイエンドほど高速撮影や連写はできない、と考えておくのが無難です。
Xiaomi 12XのSnapdragon 870はあくまで「廉価高性能」向けなので、ISPの性能に合わせて制限して保存時間や連写といった使い勝手を優先、Xiaomi 12 Ultraに最高画質の座をあえて譲っているのだろうと推定します。最上位最高級ではないモデルの画作りをどうするのか、各メーカーの考え方の違いが現れている点として面白いと思います。
さて、性能を確認しておきましょう。本機はExynos 1280、実行6GBメモリを搭載します。
Galaxy A53 5G | |
---|---|
OS | OneUI 4.1(Android 12ベース) |
SoC | Exynos1280 |
メモリ | 6GB |
容量 | 128GB |
画面 | 6.5型 フルHD+ 2400 x 1080 有機EL 120Hz |
カメラ | 6400万+1300万超広角+ 500万マクロ+500万深度 |
インカメラ | 3200万画素 |
電池 | 5000mAh, 25W |
寸法 | 75 x 160 x 8.1mm、189g |
性能を数値化するベンチマークテストの結果は以下の通り。
- AnTuTu v9.3.8:36万2899点
- Geekbench 5 シングルスコア:732点
- Geekbench 5 マルチスコア:1822点
- Geekbench 5 Compute(OpenCL):2575点
- Geekbench 5 Compute(Vulkun):2560点
- 3DMark for Android(v2.2 4805) Wild Life:2286点、平均13.7fps
- 3DMark for Android(v2.2 4805) Wild Life Extreme Unlimited:623点、平均3.70fps
- 3DMark for Android(v2.2 4805) Sling Shot Extreme (OpenGL ES 3.1):3488点
- 3DMark for Android(v2.2 4805) Sling Shot Extreme Unlimited (OpenGL ES 3.1):3693点
- PCMark:1万1413点
上記いずれも先行貸与実機での実測値です。
このあたりになってくると普段の動作は多くは快適。ハイエンドモデルを使い慣れた筆者から刷ると、スリープ時からのカメラ起動や、重いデータやアプリを扱う時には多少の差を感じます。ゲームは軽いものなら十分動きます。
筆者が気になったのが120Hzでのスクロール慣性。基本的に滑らかなスクロールですが、Twitterなどでたまに「いったん戻される」挙動があるのが気になりました。
うーん pic.twitter.com/AgZrUFn9jw
— すまほん!!TV (@smhntv) May 10, 2022
こうした挙動は「OS再起動直後など高負荷、発熱を強いられる場面のGalaxy S22 Ultra」でまれに確認できます。重たいOne UIとAndroid 12という条件に加えて、ハイエンドには及ばないSoCのため、S22 Ultraより遭遇頻度が高いので、「Twitterをとにかくヌルサク快適に楽しみたい!」という人は、Snapdragon 8 Gen 1を搭載するハイエンドモデル、Galaxy S22シリーズを選択すべきです。
防水防塵仕様やおサイフケータイにも対応し、指標になりがちな夜景撮影能力にも優れた一台。
おそらくGalaxyユーザーは「ハイエンドはちょっと高いが、安いモデルはダメだ、真ん中は無いのか」と考えるものの、他社機種に乗り換えると後悔します。その理由はソフトウェアの使いやすさです。
筆者は複数メーカーの機種を買って使っていますが、やはりトップレベルの使いやすさがGalaxyのOne UIです。
Androidの中でソフトウェア投資額は桁違い、iPhoneのライバルで、多機能ぶりが光ります。マルチウィンドウの使いやすさからセキュリティーフォルダーの完成度、編集機能も充実し使い勝手もいい画像アルバムアプリまで、何を取っても一流です。こうしたソフトの使いやすさに魅せられたユーザーのちょうどいい真ん中の選択肢、それがGalaxy A53 5Gです。
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国内勢がようやくAndroid 12で対応したスクロールショットなんて昔から対応済みの先進性、Android 12で使いにくくなったトグルスイッチ群もGoogleを無視して使いやすさ優先の仕様に。片手操作しやすいよう各スイッチを下部寄りに集約などもOneUI設定部分の特徴
それだけに「120Hz駆動時のTwitter等スクロール慣性の怪しさ」という最新One UIの挙動が惜しいとは思いますが、気にならない人にはおすすめですし、この点が解決された暁にはGalaxyユーザーの有力な選択候補になってくる可能性を秘めた機種だと思います。
取扱事業者はNTT docomoとKDDI(au/UQ mobile)。ドコモ版は5万9400円、KDDI版は5万9835円。発売日は2022年5月27日となっています。
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