iOS向け非公式アプリストアとして圧倒的な知名度を誇る、「Cydia」。同ストアの開発チームが2020年にAppleに対して起こした裁判に、大きな動きがあったようです。
ロイター通信によると、裁判の判決をめぐってCydia側が控訴、Appleはこれを不服として控訴の棄却を裁判所に求めていました。裁判官のゴンザレス・ロジャーズ氏は、Appleの請求を退け、再度Appleに対して訴訟を起こすことを認めました。
2020年の訴訟では、Cydia側が「Appleのアプリ配信に対する違法な独占がなければユーザー・開発者がそれぞれダウンロード、配信する場所を自由に選択できる」と主張した上で、損害賠償やサードパーティー製アプリストアの許可などを求めました。当初の判決では、米国の独占禁止法で認められている4年間の時効を過ぎているとして、Cydia側が敗訴。
その後、Cydia側の弁護士は、訴えの内容の一部を変更。2018年から2021年までにAppleが行った変更が、サードパーティ製アプリを排除するものだとして、再度訴えを起こしていました。Apple側は、この訴えの棄却を求めていましたが、ロジャーズ・ゴンザレス氏はCydiaの控訴を承認。
この決定に関して、Appleは6月中旬までに何らかの回答をする必要がありますが、ロイター通信による取材に対してはコメントしませんでした。
近年は、各国で大手IT企業による優位性を利用した独占禁止法に関する調査の動きが強まっており、Appleは大きくそのあおりを受けています。また、Appleに対する各企業からの訴訟も数多く起こされています。ほとんどの場合、Appleは「ユーザー安全のため」の一点張りですが、その言い訳にも限界が訪れています。
また、これら一連の裁判において裁判官を務めているゴンザレス・ロジャーズ氏は、AppleとEpicGamesの「フォートナイト」をめぐる裁判においても裁判官を務めており、独占禁止法に関する裁判に数多く携わっています。この人物は、今後のAppleの独占禁止法抵触に関する一連の動きのキーパーソンとも言えそうです。