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巨大画面は正義!Galaxy Tab S8 Ultra レビュー

  

 海外で既に発売されており、国内でも販売がアナウンスされた巨大タブ「Galaxy Tab S8 Ultra」を購入し、しばらく使用してみたので、レビューします。

 前モデルの「無印/+」から、今モデルで新たに登場したのがこの「Ultra」モデル。

 「ノートPCかよ!」とツッコミたくもなる14.6インチの超巨大画面を搭載しています。

外観:デカすぎ!

 箱はかなり薄くなっています。段ボールを開封しながら箱の大きさと薄さに驚きました。Tab S8|S8+は3色展開になっているのに対し、Tab S8 Ultraは「グラファイト」1色のみの展開となっています。なお、国内では、全てグラファイト1色のみの展開です。

 同梱物はシンプルに、Sペン、Type-Cケーブル、クイックスタートガイド、SIMピンのみ。Type-Cケーブルはかなりの長さがあり、便利です。

 やはりこの端末で一番目を惹くのがその大きさ。14.6インチというノートPCの部類でも大きい画面サイズを搭載しており、上部に小さなノッチを搭載しています。ベゼルも細く、画面サイズの割には小さい筐体サイズとなっています。横画面での使用の際はノッチはほとんど気になりませんが、縦画面での使用になると気になるときもあります。

Galaxy Tab S8 Ultraと、Galaxy Tab S8、Galaxy S22 Ultra、iPhone12 mini。その巨大さに驚く。

ディスプレイ・オーディオ

 この巨大ディスプレイは有機ELで、映画等の視聴でも黒が美しく見えます。ピクセル密度自体はスマートフォン等と比較するとそこまで高くはないものの、一般的なフルHD画質のノートPCよりは高い解像度(WQXGA+、2960×1848)を持っています。これだけ大きい画面ですから、荒く見えるほど近くから見ることは少ないと思います。

 ディスプレイは16:10のアスペクト比であるため、16:9の動画や更に横長の動画を見たりする際に上部の切り欠きが気になったりすることはありません。また、横にした際に左右についているDolby Atomos対応・AKGチューニングのスピーカーからは、とても立体感があり、迫力ある音響を楽しむことができました。映画の視聴時の没入感が素晴らしかったです。

 iPad Proは4:3のアスペクト比でどうしても動画視聴時に上下が余ってしまいがちですが、Galaxy Tabではその部分が少なく、ディスプレイサイズいっぱいに表示できるため、コンテンツに集中しやすく、画面の無駄が少なくなっているように感じました。

16:10の画面で、ほぼ全画面表示で視聴できる。(動画:TOKYO GIRL)

 もちろん、フリーサイズのマルチウィンドウにも対応しており、複数のアプリを画面効率よく使用することが可能です。

指紋認証+顔認証

 ディスプレイには画面内指紋認証を搭載。指紋認証の精度に不満はありませんが、ディスプレイの中央右側(縦画面だと中央下部)にあるため、特に縦画面にした際に押しにくく感じます。

 また、キーボードとSペンのみで使用している中でも指紋がついてしまうというデメリットもあるため、スマホの画面内指紋認証とは異なり使い勝手が良いというわけではありません。

 個人的には、Galaxy Tab S8(無印)と同様に側面に配置した方が便利だったと感じています。

 とはいえ、そこそこ早い顔認証も使用できるので併用すれば非常に便利に使えます。

Sペン

 Galaxyのハイエンドタブレットということもあり、筆圧検知やエアコマンドなどに対応したSペンももちろん使用可能。巨大タブレットということもあり、無印モデルでも紹介した「CLIP STUDIO PAINT」のコンパニオンモードでの創作がより捗ります。

 Sペン自体も豊富な機能を搭載しています。エアコマンド機能では、画面に近づけてボタンをクリックするだけで画面上にメニューが現れ、かざして翻訳のような機能や、使うときだけウィンドウを最大画面にできる「小窓表示」機能も。

 エアアクション機能ではペンだけでタブレットの操作が可能になります。

 巨大ディスプレイを生かして、細かなイラストを描いたり、ノートを取ったりするのも非常に便利。筆者も以前まではGalaxy Tab S7の11インチディスプレイで満足しており、14.6インチは流石に大きすぎるのではないかと思っていましたが、実際に使ってみるとノートを取るときにいちいち拡大したり、表示領域を移動したりしていたことがバカらしく感じるほど、この巨大ディスプレイが気に入ってしまいました。

スペック

 単体での重量は726g、純正のBook Cover Keyboardを付けると1385g

 そう、単体では非常に軽いですが、Book Cover Keyboardを付けて使用するとなると、かなりの重量になってしまいます。

 アーマーアルミニウムを背面や側面に採用しており、軽量で薄く、かつ曲げ圧力にも強い構造となっています。

 Snapdragon 8 Gen 1を搭載していることもあり、高性能な処理を必要とするアプリを使っていると、ノッチの下あたりに発熱を感じる時もあります。

 Galaxy Tab S8 Ultraは、1万1200mAhの大容量バッテリーを搭載しており、約2時間のPrime Videoでの映画視聴(輝度音量ともに50%程度)で10%ほどのバッテリーを使用しました。このことを考えると、電池はかなり長持ちしそうです。

 GeekBench、3DMarks、AnTuTuの結果は以下の通りです。画面サイズ、解像度を考えても妥当なスペックでしょう。

カメラ

アウトカメラ

 他のGalaxy Tab S8シリーズと同じく、超広角カメラと広角カメラの2つを搭載。タブレットでアウトカメラを使う機会は限られており、本端末に搭載されているのもあくまでおまけ程度という印象。

 LiDARのようなセンサーも搭載されていないため、AR的用途での活用にもあまり期待できません。この辺りはiPadに圧倒的に分があります。

超広角カメラ

インカメラ

 ノッチを付けてまで搭載したこのインカメラ。顔認証に使うこともできるほか、ZOOMなどのビデオ会議でも使用することがあり、気になるポイントです。

 カメラ構成は広角レンズと超広角レンズになっており、人を認識して自動でカメラを切り替えることもできます。画質自体はとてもいいというわけではなく、ざらざらした質感が目立ちました。しかし、ビデオ通話等に使える独自の機能もあり、それなりに使いやすくなっています。

「足枷」となるAndroid OS

 暫く触ってきて、Galaxy Tab S8シリーズの最大の弱点は、言ってしまえば「Android OSであること」だと感じました。

 例えば、同一アプリの複数起動を含めたマルチタスクの制限(Chrome、Galaxy Notesなど一部アプリしか対応していない)、アプリのスマホ向け最適化によるタブレットでの使いづらさなどが挙げられます。キーボードを接続してもタッチベースのUIであることは変わらず、マウス操作での使いづらさもあります。

 さらにはillustratorやPhotoshopのようなクリエイター向けアプリが存在しないことも残念なポイントです。「CLIP STUDIO PAINT」や「Luma Fusion(今年中にAndroid版を配信予定)」など、サムスンとしてもGalaxy Tab普及のために各ソフトウェアメーカーと連携してAndroid向けアプリを開発してはいるものの、まだまだiPadの圧倒的地位を強く脅かすものではありません

 この辺りの使い勝手は、数年前と比較すると少しずつ改善されており、今年後半に配信予定のタブレット向けAndroid OS、「Android 12L」でしっかりと改善されればいいなと思います。

総評:デカい!でもそれがいい!

 筆者は、今作のモデルで「Galaxy Tab S8」と「Galaxy Tab S8 Ultra」の2機種を購入しましたが、「Galaxy Tab S8」の方をメインで使用することを考えていました。しかし、実際に両機種を使ってみると、思いのほかGalaxy Tab S8 Ultraの巨大画面の便利さに惹き込まれ、こちらをメインで使うようになりました。

 ベゼルがかなり細いので、14.6インチの画面でも13インチクラスのノートPCと同じサイズに収まり、持ち運びもそこまで苦労することはありません。キーボードの完成度はいまいちですが、“巨大画面を簡単に持ち運べる”というコンセプトを感じた、素晴らしい一台でした。

 「Galaxy Tab S8」の記事では、端末に依らないソフトウェアの部分も詳しく記載しておりますので、併せてご覧ください。今回紹介したGalaxy Tab S8 Ultraは6月23日に国内発売が予定されています。Amazonや量販店オンラインストア等で購入可能で、価格はAmazonで14万1800円です。

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