ホンダの米国法人は、来月発表する新型アコードのインフォテイメントシステムに、Android Automotive OS改め「Google built-in」を導入することを発表しました。
Android Automotive OSはAndroidをベースとした車載用システム。名称の似ているAndroid Autoや、同様のApple CarPlayは「カーナビ(ディスプレイオーディオ)とスマホをつなぎ、スマホで処理を行ってナビで表示する」ものである一方、Automotive OSは完全にそれ単体で動作するもの。
Android Autoでは、Googleアシスタントを用いて着信したメッセージに返信するとか、Spotify等で音楽を再生するといったことができますが、Automotive OS搭載車ではエアコンの温度を変更するといった自動車側の操作も可能となり、ユーザビリティは完全にAndroid Automotive OSが上回ります。
気になるのは「Google built-in」という名称ですが、The VergeがGoogleに問い合わせたところ、これはGoogle MapやGoogle Playを利用するために必要な「Google Automotive Services(GAS)」をサポートするAutomotive OS搭載車が名乗れるブランドであるとのこと。
例えば、スマホであればGMS搭載端末は「Android搭載」と名乗り、HuaweiやAmazon製のGMS非対応デバイスはGoogle Playが利用できないことを示していますが、GAS対応/非対応の自動車が入り混じるAutomotive OSはユーザーにとってGoogle Map等が利用できるのか分かりづらく、今回の「Google built-in」はそれを明確に示すための試みであるということでしょう。
なお、Google built-inはアコードの最上位機種「Accord Touring」のみ搭載されるようで、ホンダ史上最大の12.3インチセンタータッチパネルや10.2インチのデジタルメーターのほか、6インチのヘッドアップディスプレイを採用。OTAアップデートに対応しており、継続的な快適性の向上が期待できます。
日本市場ではVOLVOがAutomotive OS搭載車を販売中ですが、ホンダがほかの自動車にAutomotive OSを展開する予定があるかどうかは不明。日系メーカーではルノー・日産・三菱アライアンスがGoogleとの連携を表明していますが、トヨタはAutomotive OSに競合する独自OSの「Arene(アリーン)」を開発中。
トヨタと並ぶ販売規模のフォルクスワーゲンも独自に「VW.OS」を開発しているほか、Apple CarPlayもより高度な連携を実現するアップデートを予定。
個人的にはAndroid Autoの機能性にやや不満を抱いているので、こういった次世代車載システムが早く普及してほしいと思っているのですが、車載システムのシェア争いはなかなか決着がつかなさそうです。