弊誌はアフィリエイト広告を利用しています。

ソフトバンクとガッチリ組んだシャオミに飛躍はあるか?キャリア「独占」の是非

 XiaomiとSoftBankは東京都内にて共同で記者会見を開催、新型スマートフォン「Xiaomi 12T Pro」を正式発表しました。

 本機はSoftBankが「独占」するものの、あくまでMNOとして。ドコモやau、楽天モバイルでは出ませんが、「公開(オープン)市場」向けのSIMフリーモデルがMVNOや家電量販店で同時に販売されます。

 通信と端末の分離が進むなか、キャリアはどうコミットすべきなのでしょうか。その答えが現在のSoftBankの「独占」にあるのかもしれません。

 これまでXiaomiといえば2010年創業以来スマートフォンを作り続け、総合家電メーカーに成長。日本市場に参入してから3年の若いメーカーながら、ユーザーの意見もキャッチアップし技術力もあり、良い製品を作っています。

 しかし日本におけるブランド力、認知度はそこまで高いとは言えません。同じく中国メーカーでも、日本市場での存在感を高めることに成功できたOPPOとは対照的です。

販売数ではなくユーザー動向のメイン利用機調査だがXiaomiはまだ高いとは言えない。2022年4月21日~4月24日MMD研究所調査

 昨年までのOPPOは芸能人の指原莉乃でプロモーションしてうまく認知度を拡大、依然として国内市場の販路で強い影響力を持つキャリアにうまく食い込むことができていました。

2021年のXiaomi 11Tではkokiでプロモーション、街中で見かけることもあったがテレビCMには至らず

 こうしたXiaomiの日本における弱点を、補える可能性を持つのがSoftBankへのXiaomi 12T Pro投入です。

 XiaomiのSteven Wang氏はSoftBankと積極提携している背景として、情報革命を掲げるSoftBankとXiaomiの近似性を挙げます。SoftBankから投入のRedmi Note 9TやRedmi Note 10Tは、日本市場での成功に不可欠なFeliCaに対応。今回のXiaomi 12T ProもまたFeliCa対応となっています。

 今回、Xiaomi 12T Proは「神ジューデン」なる宣伝文句で売り出します。わずか19分で充電できる神ジューデン、キャッチーですよね。

 これはSoftBankが主導するもの。芸能人の吉沢亮、杉咲花を起用したテレビCMも放映します。Xiaomiのブランド認知に足りなかったプロモーション部分を、キャリアとの提携で補うというわけです。

たった19分で充電できる「神ジューデン」を連呼する強烈なCMを打つ。左からXiaomi東アジア担当統括部長兼Xiaomi Japan CEOのSteven Wang氏、SoftBank常務執行役員の菅野圭吾氏

ちなみにau/UQ取り扱いのRedmi Note 10 JEも今年テレビCMを放映

 分離プラン導入後の現在においても、依然として大手キャリアの販路は強い影響力を持っています。CMとあわせて、リテラシーの高い層だけではない、一般層へのさらなる拡大においても好影響が期待できそうです。

 ちなみに神ジューデンの定義は「充電時間20分以下」とのこと。

 筆者としては、Xiaomi 12T Proが凄いのは「電池持ちは容量を増やせば解決するが、通常なら大容量5000mAhは充電に時間がかかる、しかし120W急速充電ならすぐに終わらせられる」という点にあると考えていますが、そういった少し小難しくなる部分はあえて端折っているのが神ジューデンの定義。裏を返すと、急速充電の性能がもう少し低くて電池容量が少ないミッドレンジのスマホでも、神ジューデンを謳う機種は出てくる可能性があるとも言えそうです。

 なお発表会質疑応答によれば、今後他メーカーからも神ジューデン対応スマホが登場することをSoftBank菅野氏は示唆しています。第2弾は来年以降で協議中。

 急速充電にはまだまだ進化の余地があり、「カップヌードルのように(充電時間3分や5分といった次元に)一緒に持っていけないかとStevenとも話している(菅野氏)」とのこと。今後、神ジューデン対応機種としてさらに強力なモデルがXiaomiから出てくることにも期待したいところ。

 なおXiaomiのハイエンド端末としては、コスパハイエンドの「T」シリーズよりも上位の旗艦級モデルも存在します。こうした機種を遅れずに日本で出せるかという点についてSteven氏は、あくまで市場のため選ぶことができれば、消費者に利便性があればと述べるに留めつつ、仮に出るとしても、基本的にFeliCa等のカスタマイズが必要のためグローバル市場からは1、2ヶ月は遅れると説明しました。

左からXiaomi 12S 中国版, Xiaomi 12T Pro

 Xiaomi 12Tの難点は価格。価格は14万3280円。新トクするサポートで半額になるとはいえ高いです。

 これについては、従来Xiaomiを認知してきた層には大きな問題にはならないでしょう。より安価な公開市場向けSIMフリー版を購入するだけだからです。リテラシーの低い層が買うキャリア版はサポート料込で高く、公開市場版ではより適正に近い価格で販売されるという了解があります。事実、公開市場版のメーカー希望小売価格は10万9800円となっているほか、MVNOでは9万円台。ちなみにMNPで7万円台になる場合も。

MVNO/家電量販店等を販路とする公開市場モデルが増えてきたものの、大手キャリア/サブブランドは依然として強く国内市場全体の約9割程度を占めているものとみられる。とはいえ公開市場で評価されることは、製品の磨き上げや大手キャリア/サブブランドでの取り扱い拡大に繋がり得るため、重要な位置付けと言うこともできる

 これまで日本のキャリアは長らくメーカーを下請けのようにして端末を作らせて、一括で大量に買い付け、バラ撒くというビジネスモデルでやってきました。あくまでキャリアが主、メーカーが従。

 しかしスマートフォンの時代に突入し、世界ではキャリアではなくメーカーが主役となり、2019年の分離プラン後は日本でも状況は変化しています。

 分離プラン導入後、特に理想的に思えるのがSoftBankとメーカーの関係です。シャープとライカの提携を後押ししてメーカーのカメラ画質を段違いのレベルへと引き上げ、バルミューダと京セラをマッチングさせ、モトローラが折り畳みスマホで挑戦するなど、SoftBankの「独占」の例が続々と出てきています。メーカーまたはブランドを立てて、キャリアはあくまで支援に回る形です。

「独占」謳うrazr 5G、BALMUDA Phone、Xiaomi 12T Proは軒並み公開市場向けに並行して発売

シャープはAQUOS sense7 plusとLeitz Phoneを公開市場未投入

 こうした「独占」が増えているということは成功していると見ていいのか?SoftBankの菅野氏は、日本市場で挑戦したいメーカーと提携することで成立しており、「たまに失敗もある」と認めつつも、ほぼほぼ成功であると評価しました。

第1弾こそ煮え切らない出来だったバルミューダの第2弾や、あっと驚く新規参入も大いに期待したい

 「独占」には賛否両論があります。厳しいほどSoftBankが売り捌く動機が生まれますが、ユーザーとしては選択肢が限られます。熱心なユーザーの間では、海外に既にあるモデルを国内完全独占するドコモのHuawei P20/30 Proのような形は批判も出ますが、公開市場でも出てくる分には問題ありません。

 特に今回のXiaomi 12T Pro「独占」では、あくまで「MNOとして」の緩い独占となり、MVNOでも展開。これならメーカーや異業種ブランドにチャンスが生まれ、キャリアの販路や宣伝力を使ってメーカーは飛躍の好機が到来、消費者も選べる三方良しであり、今後も定期的に続く試みであって欲しいと思えます。他キャリアも見習うべき部分があるでしょう。

国内メーカーが直販での発売を大幅に遅らせることがあるのはドコモへの配慮という見方もある。KDDIやSoftBank、楽天モバイルは寛容

 なおSoftBankの親会社ソフトバンクグループは投資会社でもありますが、今後伸びそうな挑戦を応援するという観点で投資に近い側面もあります。SoftBankの端末価格は他社や公開市場よりも割高であることが少なくないですが、それもあって実はSoftBankは端末販売事業でも大きな収益をあげています。

 キャリアと組んだ上でキャッチーなプロモーションを打ちつつ、ユーザーへの選択肢もしっかり用意するXiaomiのさらなる飛躍に期待したいところです。

 Xiaomi 12T Proは12月14日から予約受付開始、12月16日発売です。

SoftBankの最新端末をチェック。[AD]
SoftBankオンラインショップ
すまほん!!を購読しませんか?

Twitterでも最新更新を配信・通知しています

フォローする 再度表示しない