「VAIOは良いけど、人におすすめできるモデルがない……」を解消する、次世代のスタンダード!
VAIO株式会社は、新ラインナップの新機種「VAIO F14(法人向け:VAIO Pro BK)」「VAIO F16(法人向け:VAIO Pro BM)」を正式発表しました。価格は13万1800円から。受注開始日/発売日/最速お届け日は2023年6月予定。
堅実な法人向けモデルが好評なVAIO。高い付加価値を求める人向けのブランドとなっていますが、言い換えると、まだまだ一部の人のためのPCに留まってしまっているとも言える状況。この価値を、より多くの顧客に届けたいといいます。
しかし安かろう悪かろうの製品はVAIOの役割ではない。そんな課題に挑戦したのが今回の新製品。「『普通のPCだね』という反応があると思うが、褒め言葉。『最高の普通』のPCを、熱い想いで作った」(VAIO株式会社開発本部プロダクトセンター長 黒崎大輔氏)。
従来のPCはスペック表で選ばれていたところを、現在は「心地よさ・デザイン・ちょうどよさ・コスパ・タイパ(時間対効果)」といった要因で選ばれるようになっているといいます。さらに「エッセンシャル消費(本質的に必要なものを買う)」という新概念も。
こうした背景を踏まえて、Windows PCの定番というものが確立しきれていなかった中、今回の製品の主題は「新しいスタンダードを作る、愛される定番を作る」に。スペックだけではない価値のあるブランドであるVAIOだからこそ作れる、ただ便利なだけではなない愛着の持てる、あえて「普通のPC」の新定番に挑戦するといいます。
愛される定番を作るにあたって、「変化する生活への対応(大画面・Web会議などのコミュニケーション)」「PCの『当たり前』の見直し(古い端子や光学ドライブ内蔵の切り捨て、全数国内検査の安心感など守るべき価値)」「VAIOが培った価値継承」といった3点から、企画を練り込みました。A4ノートという歴史的惰性にとらわれない製品に。
まず目を引くのがそのデザイン。個人向け本体色はサテンゴールド・ネイビーブルー・ウォームホワイト。法人向けはダークメタルグレー。どの色も標準モデルとは思えないほど綺麗です。
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VAIO F14 ネイビーブルー
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VAIO F14 ネイビーブルー 天板
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左: VAIO F14 ウォームホワイト, 右: 筆者のVAIO Z
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VAIO F14 サテンゴールド。壁紙のデザインテーマは、筐体の美しいアウトラインをモチーフに。色ごとに合わせた壁紙を初期設定
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VAIO F16 ウォームホワイト
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VAIO F16 ネイビーブルー
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VAIO F16 サテンゴールド
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手前:VAIO Pro BM(16型)、奥:VAIO Pro BK(14型)。法人向けはダークメタルグレーのみ
もはや画面が品質の悪い機種はスタンダードになりえない。コンパクトな筐体に一回り大きな画面を搭載。VAIO F14は13.3型ワイドよりも大型の画面面積の14.0型に。そしてVAIO F16では、比率16:10の縦長16.0型ワイド液晶(WUXGA 1920×1200)に。15.6型の既存モデルと比べて幅をほとんど変えずに、縦方向に大型化に成功。情報表示量が増加しています。
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左がVAIO F16、右がVAIO S15。上下のベゼルを切り詰めることで大画面化しているのがわかる。色合いの違いは画質補正ではなくパネルの色温度の違い。さすがにダイナミックレンジはS15の方が広い。
モバイル可能なコンパクト設計に。重量はVAIO F14は1.34kg、VAIO F16は1.65kg。サイズ感の近い、軽量化競争の激しくない海外モバイルノートPC程度の重量には収めています。「より携帯性を重視、軽量を求める場合はVAIO SXシリーズ」といった具合に、うまく棲み分けができています。
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家で光学メディアも良い画面で楽しめるVAIO S15(一番左), 圧倒的な携帯性で外に持ち運べるVAIO SX12(一番右)。標準機のVAIO Fが登場したことでラインナップの住み分け・整理がより進んだと言える
標準モデルながらも昨今のVAIOの特徴である画面180度開閉もしっかり継承。会議室や喫茶店などで対面するシチュエーションでもばっちり。ショートカットキーでコンテンツを回転させることも可能。
これまでの製品もそうであったように、今作も様々な箇所に他の日本メーカーの部品を利用。冷却ファンはNidec製、バッテリーはTDK株式会社製といった具合に、特に大切な箇所ほど信頼できる日本メーカー部品を採用。
キーボードは旗艦のVAIO Z譲り。筆者は普段からVAIO Zを使用していますが、UV硬化塗装による耐指紋、防汚処理、消えにくいレーザー刻印はもちろん、キーの感触や打鍵感に到るまで、見事にほぼ同等で素晴らしい。
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キートップ質感はシルキー。アイボリーな色合いも良い。ひとつひとつのキーがわずかに皿状にくぼんでおり指先にフィットしやすい
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左がVAIO F14, 右がVAIO Z。筐体設計が異なるため打鍵音はわずかにVAIO Zとは違う。普及モデルでも旗艦の技術をふんだんに利用している点に感心
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VAIO F16はテンキーあり
画面周辺ベゼル部分は底部と共通素材。パームレストは一枚板のアルミ合金製。細かいヘアラインで美しさを演出、質感も高めています。表面は指紋がやや目立つ感じですが、傷に強い表面処理によって長期利用でも輝きを変えずに維持できるといいます。チルトアップヒンジも健在で、適度な傾斜で打鍵しやすいです。
天板はつるっとひかえめな光沢ですが、指紋はそれほど目立たず好印象。
環境配慮設計は当然に取り組むべき課題であり、これまでもやっていたところとしつつ、本作では環境負荷の高い塗装工程を削減するために、製品体裁面の約50%を無塗装化。底部全体に再生材を使用したとのこと。リサイクル素材を使うと安っぽくなりそうなところですが、底部の質感は一瞬シボ加工をも思わせるような手触りでマット、指紋もつかず非常に良好。個人的に大いに気に入りました。
異なる素材ながらも統一性のある調色を実現しているのはお見事。
また、これも環境配慮の一環で包装材を紙の封筒に変更。マニュアルを電子化するなど同梱物を削減しています。保証書やマニュアルがVAIO IDによる製品登録でVAIO Owner Siteから参照可能。紙の説明書の選択も可能とのこと。
PC初心者も想定。同梱の案内書に書かれたQRコードから電子版のマニュアルを閲覧可能に。そして新機能「VAIO User Guide Utility」により、最初のセットアップをよりわかりやすく丁寧に。画面のDPIや充電関連機能などを設定できます。
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左側にユーザーガイドが開かれて、各設定項目を開くと設定ウィンドウが右側に配置される仕様で、非常にわかりやすい
NUMLOCKやCAPSLOCKをシステムトレイの中のアイコンから有効/無効の状態を表示可能であることを示し、ここから切り替えたりタスクバーに直接表示できるようにしたりといったことを説明してくれることには感心しました。
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「あれ、大文字小文字が切り替えられなくなっちゃった……どうしたらいいの?」はPC初心者あるあるネタ。この辺が非常に親切
さらに使い始めてから三週間すると、壁紙を変更しませんか、などの新しい提案もしてくれるそうです。確かに、各カラーごとに合った壁紙を初回起動時に設定済みなのに、初回起動時から壁紙の変更をいきなり勧めてくるのはおかしいですからね。こういった使い始めた後にフォローすべき点は後から提案。細かい部分までよく練られています。
持った時の指の配置まで計算してデザインするなどこだわった、オリジナルの丸っこい無線マウスはなんと付属品。各本体カラーに合わせています。他社の付属品といえばどこから拾ってきたかわからないような謎の安マウスだったりするなか、ちょっと嬉しいポイントです。
60gと軽量。Bluetoothで2系統、USBドングルを加えて3系統のため複数端末利用も可能。
もちろん本社工場で一台一台、最終確認したものだけ出荷する通称「安曇野フィニッシュ」も実施。
VAIO F14は過酷なテストもクリア。通常の落下や輻射、振動、摩擦試験といった共通品質試験、それに加えてモバイル機向けに行っている76cm 6面落下試験、150kgf加圧振動試験、本体ひねり試験、ペン挟み試験、輸送振動テスト、キーボード水かけ試験などといった過酷なテストもクリアしています。
第13世代インテルCoreプロセッサ(i7-1355U/i5-1334U/i3-1315U)を搭載。将来のソフトウェアアップデートにも長く対応し、快適に利用可能。
VAIO F14向けには覗き見防止フィルターも。
ビデオ会議通話などを少しでも長く行うための新機能「バッテリー節約設定」を搭載。CPUのパフォーマンスを独自方式で制限、CPUとファン動作を「静かさ優先」、輝度を制限、Windowsのバッテリー節約機能を常時ONとすることで、Teamsでのビデオ会議で実測約10%程度駆動時間を延長することができたといいます。
設計上こだわったのがインカメラ。画面を見やすい角度に傾けた時、できるだけ中心に顔がうつるようカメラを約5度傾けて配置したといいます。インカメラはHDで画素ピッチ1.4μm。画質処理も強化しており、TNR搭載で時間軸方向のノイズリダクション処理を行い、低ノイズとくっきり鮮明な画質を両立。やや暗い環境でも綺麗に写します。
カメラ部分もさらに細く。ベゼルレス化に成功しています。VAIO S15やVAIO Zとくらべても額縁が細くなっている力の入れよう。羨ましい。
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左:VAIO F14, 右:VAIO Z
さらに物理プライバシーシャッターもしっかり備えています。有効無効の状態がわかりやすいです。あわせてアンテナモジュールも通信性能を確保しつつも薄型化して狭額縁に貢献。
ビームフォーミング技術に加えてAIノイズキャンセリングも導入。騒音を除去しつつ、PCの画面の前にいる人の声だけを拾うように。キーボードの打鍵音も見事に消してくれます。人の声はわずかに加工感は出るものの及第点。他社と比較しても優秀な成果を発揮します。さらに相手の音声からの騒音を消して声を聞き取りやすくする機能も。
Windows Helloに対応。顔認証や電源ボタン一体型指紋認証に対応します。
本体前面に大口径ステレオスピーカーを搭載。VAIO独自に最適化したDolby Audioでビデオ会議の音声を聞き取りやすくするだけではなく、動画や音楽再生も高音質で再生できるといいます。
Fn+Tabでマイクミュートの切替が可能。マイク状態の有効無効は、画面上のインジケーターから確認も可能。
内部は、各基盤にシンプルに接続。組やすさはもちろん、品質やメンテナンス性にも貢献。冷却は側面配置。吸気と排気を明確に分けて冷却効率を向上。フィンが斜面でホコリが流れていくため長期に性能を維持できるといいます。
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VAIO F14 分解。実はF16と同一基板
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VAIO F16 ヒートパイプが長くなっているが性能に支障はなしとのこと。より大型のスピーカー搭載
特にVAIO F16は電池周りの固定部も凝っています。これは落下時にも重量のあるバッテリーを支えるための設計の工夫です。
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USB Type-C端子はPower Delivery受給電のほか、DP Alt Modeによる映像出力もしっかり対応。ボトムがフラットになることからLANコネクタも新規設計
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イヤホンジャックとmicroSDカードスロットも備える
VAIOの考える「定番」とは何か。世の中の値頃感ある製品は、しばしば手を抜いているのではと感じる製品が多いところ、VAIO F14/16は決して手を抜かずデメリットにならない割り切りを探し、価値とコストのバランスを考えたとのこと。静音キーボードやアルミパームレストなど、コストをかける部分にはコストをかけています。
特に顕著なのが、安っぽさの全くないデザインや色でしょう。1機種あたりで見れば、各面で画一的ではなく異なる素材で豪華にしていますが、4機種で見れば、ガンメタとネイビーブルー、ホワイトとサテンゴールドで共通化を図ることでコストを抑制。ただ安い素材を使うのではなく、知恵を絞っています。
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底部。質感もいい
それでいうと、底部の型番やシリアルナンバーを記載したシールも見逃せません。安っぽかったり、使っているうちに汚れてきたりと良いことがないのですが、本機ではなんとシールではなく、レーザー刻印。こちらの方が高級感があります。
しかしシールよりもコストは抑制。紙のシールを用いないことで環境配慮にもなっていて高級感もある、「全方良し」の神仕様に。
細かい部分まで発想、着想が良い。コストをかけるべき部分にはかけ、コストダウン箇所も知恵を絞って職人技を用いる。一見すると「普通のPC」ですが、実際にはVAIOらしいこだわりが満載の製品に仕上がっています。
VAIO FL15は確かに安かったけど、「普段使ってるから良いよ!」からおすすめするモデルとは、ちょっと違うなと思っていたんですよね。重いし、子供に買い与えるお家用だったかなと思います。
おそらく弊誌読者は主にハイエンドスマホを使っていると思うのですが、「使ってるけど良いよ」と人に勧めるとなると、せめてミッドレンジやミッドハイ以上だと思うんですよね。ラインナップの中位帯以上なら、各社がハイエンドモデルで培った良さや技術が降りてきているし、お手頃価格です。足し算引き算の妙を感じるクラス。これが2万円台の格安帯になると、随所に見える「粗」から、人に勧める気はあまり起きません。相手が一般人、初心者ともなれば尚更です。
そんなスマホの「人にお勧めし得るまんなか」あたりを狙ってきたモデルと言えば、VAIO F14/16の位置付けはわかりやすいのではないかと思います。
これまでVAIO Zで培ってきた技術や良さもビシバシ感じますし、色やデザインはZ以上に人に勧めやすいです。いくらZが良くても、流石に他人におすすめできる値段ではありませんからね。
ラインナップの強化されたVAIOのさらなる躍進に期待したいところです。
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