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Meze 109 Proレビュー。最高峰の「芳醇」音質

 Meze Audioというメーカーはご存知ですか?

 個性的なデザインの変わり種イヤホン・ヘッドホンを多数リリースしているルーマニアの音響メーカーで、筆者は有線イヤホン「ADVAR」を試聴した時の色めき立つ楽器の響きや、Meze Classics99の緩い響きに感銘を受けて、良いメーカーだなと感じていました。

 そんなMeze Audioの中でも筆者が特に惹かれたのが有線ヘッドホン「Meze 109 Pro」。一聴の価値があるヘッドホンです。購入して使っているのでレビューしていきます。

 Meze 109 Proは、木製のハウジングを採用しており、その美しさは目を引くものがあります。ヘッドバンド部が上下して適合、自然で頭部を優しく包んでくれ、装着感は非常に良好です。

 使用上流機器はFiiO M15S。ヘッドホンといえば駆動力を要求する機器も少なくありません。本機は上流環境(ヘッドホンに音を流す手前までの機器)の影響は受けるものの、40Ωと能率は可もなく不可もなく。一応スマートフォン等での再生も視野には入りますが、もちろん上流機器はより良いに越したことはありません。筆者はFiiO M15SでMeze 109 Proを使用する時、デスクトップモード、Ultra Highゲイン、音量30弱~40弱で運用することが多いです。

利用上流機器は主にFiiO M15S

 なお4.4mmバランス接続にリケーブルして使用。購入時、ケーブルは蓼科(銅)と霧降(銀)とで迷いましたが、蓼科を選択。

 ちなみにオーディオマニア界隈では「銀は煌びやか、銅は柔らかく音場が広い」などという言説が実しやかに囁かれています。どこまで本当かはさておき、科学的には電気抵抗値が低く電気信号損失が少ない方が理想的で、銀の方がわずかに優れています。このほか、抵抗計算を考えると過度に長過ぎるのもいけませんし、端子部分の劣化等も影響します。耐久性や取り回しの良さもあります。リケーブルの効果を過信する必要はありませんが、リケーブル自体は有意なものです。実際の製品を試せる環境にDAPを持ち込んで聴き比べて、好きだと思った製品を直感的に選んだらそれで良いのだと思います。閑話休題。

 さて、本機を購入して最初に聴いたのが『エリーゼのために』でしたが、ピアノの響き余韻を楽しむ曲にはどっぷり浸れるなと強く認識しました。Meze 109 Proは全体的に優しい音色で、開放型特有のヌケの良さもあり、柔らかい余韻がやみつきになります。音像は細くなく、ただ音に躍動感があるのが良いです。楽器の響きが元気に鳴ってくれます。音場は同じく木製のSIVGA 023にはひけをとりません。

 低域は、ズシンとくる重さがあります。開放型なので特に期待もしていなかった低域は、非常にしっかりと量感があり、解像感も確保していて好印象。その柔らかい余韻は聴き手を魅了します。Classics99のボワ付いた低域と比べると、低域の量感や解像感の向上が目覚ましいほど顕著です。HD660S2の方が低域の量感は多く解像感が優れているかと思います。

 中域に関しては、量感があり、非常に艶やかで生々しい音が特徴です。ボーカルや楽器の色気が感じられ、特にジャズなどのジャンルではその魅力が際立ちます。

 高域は明瞭感があり、粒が強調される感じ。金属系の楽器の響きが強調されます。ジャズを聴けばシンバルの音がしっかり鳴り響き、聴き入ってしまいます。静かに鳴る高音楽器、シンバルクラッシュは適度に強く伸びて素晴らしい。ヴァイオリンの音色は滑らかで生々しいです。

 しかし高音域の鋭い音で刺さりがち。ボーカルによっても歯擦音が刺さってしまうことのある難しい塩梅で、楽曲を選ぶ印象です。

 誤解を恐れずに言えば、これは特化型で「変なヘッドホン」だと思います。分析的と言うには個性的すぎて、しかしリスニング向けとしては特徴的な高域が刺さって曲を選びます。

 とはいえ現代的な楽曲も再発見があります。[Alexandros]の『閃光』を聴けば低域の量感、厚みを改めて認識させられ響きの余韻を楽しめます。川井憲次『謡1-Making of Cyborg』では低域の和太鼓の生々しさがたまらないです。高音域の楽器の響きも格別に合っており、ゆったりとしたペースもあって本機の真骨頂かもしれません。

 川井憲次の楽曲は本機にとにかく合いますね。豊かな低音域と余韻ある中域がほとんどの曲にぴったり。映画「イノセンス」のサウンドトラックは特に最高で、怪しくおどろおどろしい重低音、雄大な楽曲に相応しい音場、随所に鳴る高音域のエッセンス、全てが素晴らしく聴き入れます。解像度に優れたSIVGA 023では硬い印象を受けた部分も心地よく響きます。

 同じくMezeのClassics99は、とても緩い感じがアコースティック、レトロな楽曲には合うとも言えますし、低域も量感があり独特で聴き入ってしまいそう……と思いきや、ひとたび低域に情報量が必要な楽曲に出くわすたび、解像感分離感の無さに愕然とする時もあり、そうした弱点を順当に解消し、より高水準にまとめたヘッドホンが109 Proなのだと思います。Classics99からの乗り換え先としても素晴らしいヘッドホンだと思います。

 筆者は試せていませんが、上流機器側で真空管アンプ等を用いて、緩めの音にすれば、やや刺さりやすい高域をマイルドにでき、本機の良さも活かして伸ばせるのかもしれません。いつか試してみたいですね。

 個人的には高い解像感と価格性能比に優れたSIVGA 023を気に入っているのですが、音場や低域に物足りなさを感じていたので、本機は個人的にはスマッシュヒット。全てのジャンルの音楽に対して万能とは言えませんが、特にアコースティックな楽曲やジャズにおいてその真価を発揮、芳醇な美音を楽しめます。オーディオ愛好家にとって面白い選択肢となってくれるでしょう。

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