中国vivoは中国国内でカメラフラグシップスマートフォンの「vivo X100 Ultra」を発表しました。
1型最新SONYセンサーのLYT-900とジンバル級の手振れ補正の広角カメラや、2億画素の大型センサーを搭載した光学3.7倍ズーム望遠カメラを搭載。SoCにはSnapdragon 8 Gen 3を採用し、1TBモデルは衛星通信に対応しています。
Index
デザイン
vivo X100 UltraはX100/X100 Proと同様に背面中央に大きな円形のカメラバンプがあり、その周りにリングがあるデザイン。
カメラがより大きく分厚いためにリングは二段構造になっており、その側面は時計のようなギザギザとした加工で高級感があります。
従来のXシリーズ同様ZEISSロゴとXtreme Imaginationの文字があり、右上のカメラのような円のスペースにはULTRAの文字が刻印。
背面素材はガラスで、カラバリはチタン、グレイ、ホワイトの3色。
新しい艶消し加工により美しい外観と質感をもたらしています。また、側面は切り込みがあり、フレームの金属感を引き立てています。
ディスプレイ
ディスプレイにはSamsung製のE7発光素材のWQHD+の6.78型有機ELディスプレイを採用。1-120HzのLTPO可変リフレッシュレート、3000nitのピーク輝度のスペックでDolby VisionのHDR表示にも対応しています。
さらに、自社開発の色彩管理技術によりDCI-P3やsRGBの色域を100%復元できるといいます。
パフォーマンス
SoCにはQualcomm Snapdragon 8 Gen 3を搭載。SoCのパフォーマンスを最大化するために新たな3Dベイパーチャンバーの冷却構造を採用しました。
二層の循環熱放散システムにより放熱効率が大幅に向上し、温度制御アルゴリズムと合わせて安定した正確な温度制御を保証するとのこと。
通信面も強化されており、信号強度と低周波通信品質の改善により、WiFiと携帯電話ネットワークのインターネット速度を高めています。
受信・送信の双方向の衛星通信に対応したモデルも存在。ネットワークのない場所での通話・テキストメッセージ・位置情報の共有を行えます。
また、自社開発ブルーオーシャンバッテリーを搭載し、カメラの大型化によるスペースに制限の中でも5500mAhの大容量で80W有線急速充電に対応。半固体電池の低温放電性能のおかげで厳しい寒さの環境でも駆動することができるようです。
防水・防塵規格は従来のIP68に加えてIP69規格も取得し、水没だけでなく高温・高圧のスチームジェット洗浄の試験にも合格した仕様になっています。
このほか、超音波指紋認証、強化されたスピーカー・マイク、通話時の音漏れ防止設計、そしてスムーズなUIと様々なAI機能を有するOriginOS 4.0を搭載しています。
カメラ
vivo Blue Imageとvivo V3+チップ
vivoは今回自社のイメージングブランドとしてvivo BlueImageを正式発表。vivoが独自に開発した画像技術を表しています。
vivoはカメラにおいてソフトウェアとハードウェアの統合設計を重要な技術コンセプトとして共有。アルゴリズムと画像処理チップ、イメージセンサーが相互にマッチするように自社開発・共同開発をしていくとのこと。
そのうえで、X100 Ultraへの独自開発6nm AI-ISPのvivo V3+の搭載を発表。画像・動画処理の高度化に伴い、複雑化するリアルタイム処理のアルゴリズムに必要な膨大な計算を行い、消費電力を大幅に削減できるといいます。
また、ZEISSとの共同開発契約も再締結。画像分野だけでなく3DARヘルステクノロジーやその他の方向でも深く協力し、将来のテクノロジーの無限の可能性を共同で探求していくそうです。
センサー、手振れ補正、レンズコーティングを刷新した広角カメラ
広角カメラのセンサーには最新のSONY製1型センサーのLYT-900を搭載。電荷信号の変換比率の異なる2つのゲインの画像を同時に出力し合成するLYT-900のDCG-HDR機能により、4K 60fpsのHDR動画撮影を対応しました。
さらに、レンズの独自の光学調整に基づく画像補正技術である「精度ジャンプテクノロジー」により画像周辺部の収差を補正し、20%鮮明度を高めています。
ZEISS T*コーティングも強化され、GLCコーティングと呼ばれるレンズ加工を業界で初めて採用。可視光の平均反射率を一眼レンズレベルの0.2%以下に抑制し、フレア・ゴーストとぼやけの問題を解決したとのこと。
これまでのコーティングも併用することでvivo史上最強のT*コーティングになっているといいます。
センサーの大型化に伴って問題となる手振れ補正も強化され、ハードウェアで1.5°、電子手振れ補正を含めて2°のブレ角度を高精度に検出。CIPA規格準拠で4.5段の手振れ補正機能と合わせて、動画・夜景撮影に効果のあるジンバル級の手ぶれ補正を実現しています。
夜景撮影においてはAI学習に基づいたシーン認識により、見た目と雰囲気を向上させて作品レベルの夜景を撮れるといいます。
業界最大で最高の画素数・レンズ・手振れ補正を備える最強望遠カメラ
X100 Ultraの目玉となるのは光学3.7倍の2億画素望遠ペリスコープカメラ。Samsungと共同開発の1/1.4型センサーのISOCELL HP9と望遠ながら明るいf/2.67のレンズを搭載し、望遠カメラとして業界最大のセンサーサイズと有効口径を実現しました。
HP9は通常のBayerと異なり、RGGBのそれぞれのピクセルが16画素分割された16in1センサー。低照度時に16画素ずつをまとめて読み出す(ビニング)ことでノイズを減らすことができる一方、2億画素出力時にはクロストークや配列の違いためにBayerより多くの情報が失われてしまいます。
そこでvivoは1画素の情報を周囲の64画素の情報から計算することで、画像を復元する独自の画像処理技術を開発。これにより、2億画素をフル活用して最も長く鮮明な望遠効果を得られるといいます。
レンズには自然ない色をフルカラーで復元し、鮮明なレンズであることを象徴するZEISS APOを冠しています。レンズには5枚のプラスチックレンズに加え、スマホの望遠カメラとしてガラスレンズを初めて採用し、蛍石レンズに匹敵するアッベ数95の超高透過で高色分散を実現しました。
ピント合わせのために移動可能なフローティング構造により、マクロ撮影に対応。2億画素を生かした20倍のデジタルズームで3.4:1の倍率で撮影することが可能です。
また、85mmのポートレート撮影においては超高解像度での撮影と瞳オートフォーカスへの対応のおかげで、人物の眼や顔まで澄んだ広告レベルの撮影を可能にしています。
2億画素望遠カメラを有効に活用できる場面として、vivoはステージ・ライブ撮影を紹介。
ステージ撮影においては、被写体が遠い上に厳しい照明条件や被写体の動き、手振れによってスマホカメラで撮影するのは困難でした。しかし、X100 Ultraの強力な望遠カメラと独自開発のアルゴリズムにより、舞台上の人物の肌や衣装の質感を鮮明かつ感動的に捉えられるとしています。
ストリートモード
新しい撮影モードとしてヒューマニティーストリートフォトモードを追加。
これにより、XperiaのPhotoProのように一眼レフの撮影体験を提供しています。
シャッタースピードやホワイトバランス、フォーカスの調整をできるだけでなく、ポートレートモードのようにソフトウェアによる絞り調整が可能。さらに、音量下げキーをダブルクリックで起動し、起動時にAFなしで焦点が合う過焦点距離に設定されるため、シャッターチャンスを逃さず撮影できます。
そのほか、シャッターボタンの変更や、ゼロシャッター遅延撮影、2つまで好みの設定のプリセット・クイック切り替えが可能。24mm・28mm・35mm・50mm・85mm・100mmの焦点距離が用意されていています。
ストリートモードの実装に合わせ、vivoの鮮明・Zeissナチュラル・質感の3つのカラーモードに加えてモノクロモードが追加。
優れたシャドウディテールとコントラスト、豊かな階調表現で繊細なグレースケールの変化を捉えることができるとのこと。
Xiaomi 14 Ultraのカメラキットのような一眼レフ風ハンドルをSmallRigと共同開発。
シャッターボタンからのストリートモード即起動やレバーによるズーム、ダイヤルのパラメータ調整やレバー・ダイヤルのカスタマイズが可能。人間工学に基づいた設計でより快適な撮影ができそうです。別売りで価格は399元(約8,600円)。
ポートレート撮影の背景の四季を生成AIによって変更するという興味深い機能も追加されています。
ビデオ撮影機能の強化
X100 Ultraでは手振れ補正などの強力なハードウェアとvivo V3+チップにより、動画撮影の幅と品質を大きく向上。
まず、X100 Proと同様に被写体の背景の被写界深度やぼかす対象自由に調整できる4Kポートレード動画撮影に対応。3D LUTの選択や、6つの映画効果の選択、レンズの切り替えをサポートしています。
4K 120fpsの高速撮影・スローモーション撮影や、Dolby Vision形式の4K 60fps HDRにも対応しました。
静止画と同様にステージ撮影にも力を入れており、ステージ撮影モードでは色、階調、鮮明度、手振れ、フォーカスの面で優れた撮影体験が可能。最大30倍まで拡大して撮影可能な上、高性能マイクを用いたオーディオズーム機能により、風や観客の音を抑えながらステージ上の指向性のある音を拾えるそうです。
加えて、別売りの専用の水中用ケースを装着することで、最大40mの深さでの潜水撮影に対応。iPhone 15シリーズのような3D動画撮影にも対応しています。
写真撮影とは異なり、動画撮影のパフォーマンスでは従来AndroidスマートフォンはiPhoneに敵わず、あまり動画撮影のために選ばれることはありませんでした。
しかし、vivoの長年の研究開発によりX100 Ultraで色の正確さと滑らかさ・フォーカスの面でiPhoneとの差を大幅に縮めた上、露出補正と鮮明度・手ぶれ補正においてはiPhoneを上回ったと主張しています。
写真撮影だけでなく動画撮影においてもvivoのイメージを定着することはできるかに注目です。
発売日・価格
「vivo X100 Ultra」は5/28に中国国内で発売開始。価格は6499元(約14万円)から。グローバル市場での発売有無は執筆時点で不明。
スペック
スペックは以下の通り。
OS | OriginOS 4 (Android 14) |
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SoC | Qualcomm Snapdragon 8 Gen 3 |
メモリ | 12/16GB LPDDR5X |
容量 | 256/512GB,1TB UFS 4.0 |
画面 | 6.78型 WQHD+ (3200×1440) 有機EL LTPO 1-120Hz可変リフレッシュレート 局所ピーク輝度:3000nit 1440Hz PWM調光 エッジディスプレイ |
カメラ | 広角:23mm 5000万画素 LYT-900 1.02型 1.6μm f/1.75 CIPA 4.5 OIS 超広角:14mm 5000万画素 1/2型 0.8μm f/2.2 AF 光学3.7倍望遠:85mm 2億画素 ISOCELL HP9 1/1.4型 0.56μm f/2.67 CIPA 4.5 OIS 望遠マクロ撮影 |
インカメラ | 5000万画素 f/2.45 AF |
電池 | 5500mAh 80W有線急速充電 30Wワイヤレス急速充電 ワイヤレス逆充電 |
寸法 | 164.0×75.57×9.23mm, 229g |
カラー | チタン、ホワイト、グレイ |
その他 | 3D画面内超音波指紋認証 ステレオスピーカー USB 3.2 Gen1 vivo V3+ IP68/IP69 X軸リニアモーター 衛星通信(16GB/1TB版のみ) |