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これが未来だ!Apple Vision Proを購入したら最高すぎてもう手放せない

 今回はついに日本で発売されたApple Vision Proを購入して使ってみた感想をお伝えしたいと思います。もはや最高すぎて記事はこれで書くことが多いです。

 まず、MR性能の高さは特筆すべきです。パススルーは言うまでもなくカラーで良好です。周囲はモノクロなHMDの時代がもはや懐かしいですね、Quest 2とか。そしてVision Proの前面に搭載された多数のセンサーが空間を認識し、圧倒的な解像度(片目あたり3800×3000ピクセル)で「ウィンドウがぴったり本当にそこにあるかのように」表示する様子は圧巻です。パススルーは低照度で少しブラーがかかるのがやや気になりますが、それぐらいでしょうか。この画質と空間に張り付く感じは他のHMDよりも優れています。

 細かい部分が本当によく作り込まれていると感じます。たとえばチュートリアルからその片鱗を味わうことが出来ます。おしゃれな円型を、視線誘導でタップしていく演出。なるほど、視線誘導ってすごいな、こうやるんだと学べます。すごいけど、でも、これ2回も3回もやるのいらなくない?と思って、普通は流してしまうところですが、ハッと気付くのです。これ、PDAや液タブなど感圧式タッチパネル端末でおなじみの「複数の点を押してスタイラス位置のキャリブレーション」!?おそらくですが、視線のキャリブレーションと操作方法のチュートリアルを同時にやっているのだと思います。発想がすごいですね。

 こういうのは、たとえば周囲のライティングを変化させる上手な演出だったり、指で掴んで弾くようなスクロール操作の心地いい感覚だったり、Apple Watchのクラウンみたいな回転ボタンを回すと現実と仮想空間がじわじわ溶け込む推移を美しく合成したり、ウィンドウがそこに本当に配置されているかのように音が流れてくるよう立体音響を活用したり、様々な部分にあらわれています。Appleの美しいデザイン力と開発力が惜しみなく注がれた、渾身の出来だと思います。

夏の冷房ガンガン効かせた部屋で、雪山の仮想空間で作業するのは最高。しかも雪山らしい風の音が立体音響によって本当にそこにいるかのように再生される体験がすごい

 自宅での使用はもちろん、最近では外出先でも積極的に活用しています。

非純正の激安ケース。異臭がするので、死臭を消す業務用スプレーをふきかけて放置するとにおいが概ね消えた。まったくおすすめしない。

 MacBook Proとの連携が特に優れていて、Vision ProからMacBook Proを見ると、接続ボタンが空中に浮かび上がるようにして表示されるので、かなり円滑な接続を体験できるはずです。iPhoneで撮影した写真やVision Proで撮ったスクリーンショットも、iCloud経由でスムーズに同期できるのが便利ですね。今までiCloudに課金することはありませんでしたが、これはなかなか良いなと思って、大容量プランを契約してみました。ガッツリ使います。Vision Pro側の無線モデムかiPhone側の通信モデムの性能由来かなとは思うのですが、MacBook ProとVision Proとの接続が寸断される瞬間が生じるのがちょっと不満ですね。

 外出先でも60インチのテレビよりも大きいような大画面を広げて、作業環境を構築できるのは魅力的です。普段部屋でできること、いやそれ以上を外に持ち出せるような感覚です。メインウィンドウの周りに好きな場所とサイズで各アプリを配置できるので、どこでも自分だけの作業空間を作り出せるのです。本当に素晴らしいので、Vision ProとMacBook Proとお気に入りのキーボードの組み合わせで楽しく作業することが多いです。一時期持ち歩いていたモバイルモニターはもういらないなと思いました。

 Vision Proの装着感は「悪くはない」です。純正ストラップはクソでしたが、付属のオプションストラップはまあまあ許せる範囲です。

左がオプション、右が標準。オプションは上部でも支えるので長時間の装着ならこちらの方がいい。

 1時間程度の装着なら快適で、前評判よりかは良好でした。HMDの装着感はかなり千差万別、個人差があるので、評価が相当わかれているのは仕方ないと思います。

 普通は60万円という高価格の端末なんか、コンテンツやアプリが揃わずに爆死必至ですが、iOSアプリとの互換性があるため、使用できるアプリが豊富なのも強みです。SVODを並べながらX(Twitter)を見たりしてます。

 視線誘導と指による操作は、正直、ちょっと疲れます。狙った位置から微妙にズレてタップされてしまったりすることがあるのですよね。結局、Macと接続時が一番快適だと感じます。Macの画面で作業をしながら動画を流しておくシチュエーションが一番多いですね。

 MacBookのタッチパッドを使っている時、Apple Vision Pro側のアプリを見ながらタッチパッドに指をなぞると、ちゃんとタッチパッド側でのカーソル移動とタップが反映されるシームレスな体験はとてもいいと思います。ただ、ここでMacに接続してる非純正のマウスやトラックボールの操作は反映されないのが惜しいところ。

 操作系など様々な不満はあるんですが、画質・光学系への不満はそれほど多くなく、ビューワーとしての性能は最高峰だと思います。筆者は多数のHMDを経験してきましたが、他社HMDと比べて、視野角が少しだけ狭く感じることもありますが、それでもこの超高解像度のOLEDの画質の前では些細です。圧倒的画質と軽量性を獲得したBigscreen Beyondも意外としっかり見える領域がシビアなので、それと比べると目をキョロキョロさせても高画質なApple Vision Proは優れていると感じます。特に視線誘導を活かして、視線の先のレンダリング解像度を引き上げて、それ以外を下げるという工夫もよくできています。スクショの解像度もそれにあわせてしまっており、周囲がかなりボケるなど画質が悪いのは御愛嬌ですが。今後の世代で余裕が出たら周辺解像度も上げてくるでしょうけどもね。

 電池持ちは公称約2時間(Macと接続時は2時間半程度)なので、長時間の使用には外部モバイルバッテリーが必要になります。また、装着感はまだ改善の余地があり、長時間の使用では疲れを感じることもあります。現状2時間以上装着するかなぁという感じなので、モバイルバッテリーはなくても問題ないですね。

 一応、MacBook Pro M3、自作キーボード、キーボードブリッジ、モバイルバッテリーなどを同時にピークデザインのリュックで持ち運んでいます。

 Apple Vision Proは改善すべき課題も少なくないものの、総合的には素晴らしい製品です。自宅のような快適な作業環境を外出先に持ち出せるのが最高。

 そして、ここまで概ね絶賛してきた端末の評価をぶち壊す、最大の問題があります。

 それは価格が60万円、Apple Careも考えると69万円だということです。いくら次世代デバイスの初代製品とはいえ個人向けですよ……到底、万人におすすめできる製品では全くありません。Macも一緒に買うと良いよ、なんて言ったらもはや完全に気が狂った人にしか見えない、頭のおかしい価格設定です。

 これがせめて40万円程度だったのなら、まあMacを既に持ってる人なら良いんじゃない?面白いよ?とおすすめしていたと思います。為替が一番悪いのだとは思いますが。

 それでも未来を先取りしたい、金額の過多は気にしない酔狂な人にだけはおすすめします。実際、私がいま持っているHMDの中では最も官能的で、ずっと使っていたくなる仕上がりです。ただし書いている通り、あくまでMacBook Proとの利用を前提とした高い評価である点には注意してください。

 ボヤけているし用途が絞られすぎて面白くもないしコストを押し上げるだけの「目元の様子を外部に表示する」という道楽じみたバカバカしい無駄機能を、削除した廉価モデルの登場に期待します。

 もちろん、「HMD利用者が何をやっているのか、簡単に周囲に共有する機能が必要だ」というHMD関連業界にあった課題意識に挑戦したという観点では素晴らしいとは思いますが、さすがにこの価格では、まず現実的な販売価格を実現できる構成にする方が重要性が高いと思います。外部表示を除いてもコストのかかっている設計なので、省いただけでは劇的には下がらないとも思います。もし削除しないなら、せめて何でも目元に表示できるおもしろ機能にすべきです。SNSでもバズるでしょう。名刺的な情報を表示してエンカ(オフ会)したら面白そうですよね。それこそ、装着者が見ている視界を鮮明に見られる方が良い。

 とりあえず新作の初代端末としては、掴みは(価格以外は)まあ良し。MacとiOSの資産を活かした上手いスタートダッシュを(価格以外は)切れたので、ここからVision Proならではのキラーコンテンツが登場するかどうか、次機種の価格をどこまで下げられるかが成功の鍵を握っているでしょうね。

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