VRデバイスのMeta Questシリーズで有名なメタ社。実は同社、現在ARグラスの開発に注力していることで、注目を集めています。
現時点で、情報を公表しているのが「Orion」という名称のプロトタイプデバイス。
あくまでも試作品ですが、70度という広いFOV(視野角)の実現や、炭化ケイ素製のレンズといった、これまでのARグラスとは大きく異なる「仕様」を実現しています。
現行の市販化しているARグラスとして有名な「XREAL Air」はFOVが公称46度。比較すると「Orion」の視野角の広さが伝わるのではないでしょうか。
そんな「Orion」ですが、本体には周囲や利用者の動きを認識するためのカメラを7基搭載。操作自体は、ハンドトラッキング(手の動き)と専用のとEMG(筋電図)リストバンドを使用します。
EMGバンドは、装着者の筋肉の動きを検知して、腕を身体の横におろした状態でも、スワイプ、クリック、スクロールなどの操作が可能にします。これ、VRデバイス向けのコントローラーとしても応用できそうですね。
「Orion」本体の演算には、専用のコンピュートパックを使用します。同デバイスはワイヤレス形式で動作するとのこと。独自のデュアルプロセッサーが搭載し、低遅延性でのグラフィックレンダリングやAIなどに必要な処理を実施するそうです。
現在のARグラスの多くは、演算用のデバイスを有線接続する必要があります。ケーブルが不要な演算装置が実現すれば、実用性がかなりアップしそうな予感。激しく動く際、線が抜けたり切れたりする心配が無用になりますね。
また「Orion」は、Meta AIを搭載しています。このAIは、カメラを通じて現実世界を認識し、利用者をサポートするというもの。AIには、「Ray-Ban Meta」スマートグラスのAIで使っているLlamaモデルと、カスタムリサーチモデルを使用します。
「Orion」はあくまでもプロトタイプですが、メタ社は、「コンシューマー向けに出荷できる可能性をまさに体現」するデバイスと位置付けています。将来的には「Orion」を土台にしたプロダクトが、登場するんでしょう。
なおメタ社の公式サイトは、ARグラス領域に関する開発方針も公表しています。今後は、ディスプレイの画質を更に向上しつつ、小型化と低価格化(コストダウン)を目標に取り組みを進行するとのことです。