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nubia Z70 Ultra レビュー。キミに会いたかった、浪漫の玉手箱

 お前のことをずっと待っていたぞ、ZTE最上位モデル!

 ZTE nubia Z70 Ultraを一定期間お借りしました。本機はZTEのハイエンド旗艦モデルで、最上位仕様が惜しみなく注がれています。

 1月21日から公式サイトで先行販売、2月10日から一般販売。価格は12GB+256GBモデルが12万2800円から。

 今回はnubia Z60 Ultraユーザーの筆者が、nubia Z70 Ultraをレビューします。

 前面カメラはUDC(画面下カメラ)となっており、ノッチもパンチホールもない美麗デザイン。高駆動且つ低輝度時にUDCカメラが異常に目立つ技術的な問題が前世代のZTE機にはありましたが、今作では解消されているのが注目ポイント。自撮りの性能は低めですが、筆者のようなオタクには自撮りよりもカクカクした美しいノッチレス・ベゼルレスデザインの方が断然重要です。

 また、顔認証使用時にインカメラ周囲が光ったり、かなり日光で明るい屋外でカメラが見えてしまうのを防ぐためか、HBM発動の通知も兼ねてか、太陽のマークがカメラに重なって表示されたり、UDC関連の進化や作り込みも興味深いところです。

 背面はカメラを強調したデザインになっていますが、前作nubia Z60 Ultraと比べれば、「突起の上に四角形のペリスコープ突起」という厳つさがなくなり、より端正に。

左:前作 nubia Z60 Ultra。nubia Z Ultraシリーズは日本市場未投入だった。

 正直前作のシルバーを買った後、背面にラメが入っていて正直思っていたのとわずかに違いましたが、今回レビューするZ70 Ultraのブラックは落ち着いたマットブラックで、大艦巨砲主義を表現しながらもまとまったデザインで非常に良いと感じました。個人的に買うなら黒にするかもしれません。

nubia Z60 Ultra

 Z70 Ultraは机上でちょうど画面上部が起き上がる形になって、使いやすいと思います。画面下部をタップする分には安定していますが、左上をタップすると、タップしている間だけ傾いてしまう問題があります。概ね置いておく分には問題なしですが、ガッツリ操作する時には手に持ったほうがいいでしょう。

 iPhoneが失ってしまった「物理スライドマナースイッチ」も健在。電話機として使うなら非常に便利です。

 Snapdragon 8 Eliteを搭載。性能は以下の通り。144Hz駆動と相俟って滑らかな動作感が心地よく、気に入っています。

  • AnTuTu 10.4.3: 2632485
  • Geekbench CPU Single: 2900
  • Geekbench CPU Multi: 9119
  • Geekbench GPU: 17111
  • Wild Life Extreme Stress Test: Best 6605, Lowest 2475, Stability 37.5%
  • Solar Bay: 11840, 平均45.02fps
  • Steel Nomad Light: ,2542 平均18.84fps
  • PCMark:24771

 今作はカメラのシャッターボタンを備え、カメラを画面消灯時からでも即時起動できるのが美点です。

 そもそもZTE機は、電源ボタン二度押しでカメラが即時起動するAOSPの挙動を、中国大陸市場のため決済に割り当てる一方、大陸外への輸出機でAOSP同様の挙動に戻すローカライズをサボっているという問題があります。シャッターチャンスを逃したくないカメラ重視のユーザーには、こういったシャッターボタンを搭載したモデルでないと選びにくいという消極的な事情もあります。

 シャッターボタンのフィーリングは、AQUOS R9 proは半押しが軽やかで、そこからの押し込みに上質な抵抗があるのに対し、nubia Z70 Ultraはそれほど抵抗が変わらない印象。起動時のバイブレーションによるフィードバックもありません。撮影体験を楽しむという観点からはAQUOS R9 proに軍配が上がりますが、着実に素早く撮影するという観点ならnubia Z70 Ultraのシャッターボタンは十分です。

上からAQUOS R9 pro, nubia Z70 Ultra, Z60 Ultra

 ちなみに前作のnubia Z60 Ultraはなぜかカメラ起動がスライドスイッチなので、一旦起動した状態で、画面を消灯し、再度カメラを起動する際にはスライド方向が逆になるという、根本的に発想から間違っている意味不明なカメラ起動方法を採用していて論外だったので、「長く押下で起動」と一貫性ある操作になっただけでも大いなる進歩です。

 防水防塵 IP68/IP69は安心感があり、シャッターボタンとあわせて撮影の幅も広く楽しめるでしょう。

 なおZ70 Ultraで画面消灯からのカメラ即時起動をシャッターボタンで行おうとした際、ロック画面が飛ばせず、カメラが起動しない事象が二度ほど起きたので、この辺りの確実性はソフトウェアアップデートで高めていって欲しいところです。

 本機はSIMを抜いている状態でもシャッター音は消えず、そのシャッター音も大きく、そして特に合焦完了時の音が非常に大きいため、環境によってはかなり響いてしまい、周囲の迷惑になります。代理店によれば現在開発部隊に改善を要請中とのことなので、今後のアップデートを期待したいところです。

 本機のカメラ構成は35mm広角5000万画素、13mm超広角5000万画素、70mm望遠6400万画素。なのですが、なぜか画角ショートカットが超広角は18mmから、望遠は85mmから始まっており、無駄に拡大していることに。これはZ60 Ultraの画角そのままなので、正直なところただの手抜きにしか見えません。

 なお、各画角のアイコンを二回タップすると本来の画角に飛べますが、無駄な動作をいちいち強いられることに。本機のターゲット層が写真愛好家であろうことを考えると、印象が悪いので、開発者の意図があるなら別にいいですが、そうでないなら修正すべきだと思います。筆者は写真を撮る度に無駄な2タップを挟みたくはないので、諦めて超広角は18mm、望遠は85mmで使っています。

 メインカメラはスマホカメラ的な画角より狭くて楽しいです。左がメインの35mm、右が13mm(18mmで撮影)。

 メインカメラの写りはなかなか良いのではないでしょうか?

 この35mmという画角はスマホカメラと一味違う画角で、開放F1.59で明るくボケてもくれるし楽しいのですが、飯撮りや物撮りでボケすぎるという問題が生じる場合もありました。こういう場合、普通のスマホカメラなら離れてズームすればいいのですが、既に画角が狭いので、せせこましい飲食店ではスマホを自分の顔や体に引き寄せる必要が生じるなど、変な使いづらさも。

ボケまくり

 そんな時にちょっと便利なのが6枚羽根の可変絞り。F1.59からF4.0まで絞れるので被写界深度を深くできます。光条を作りたい時だけでなく、このようなちょっとした撮影シーンでも役立ちます。カメラに慣れた人や、より本格的な撮影を楽しみたい人にも可変絞りは魅力的な機能です。1型だけど可変絞りのないAQUOS R9 proを使っていると、1/1.56型でも可変絞りのあるnubia Z70 Ultraの楽しさを感じます。

絞ることで全体を写しやすくなった

 ただちょっとだけ残念なのが、この可変絞りの調整にはプロショット(マニュアル)モードが必要で、オートや夜景モードではこの可変絞りが使えないこと。プロショット以外に遷移して、また戻るとF4.0を記憶しているので、じゃあプロショットでF4.0に変更してからオートや夜景モードに変更すれば絞った状態で撮影できるのか?と考えるわけですが、この際にはF1.59まで戻ってしまいます。プロショットではHDRや夜景モードは使えないので、絞り調節とは排他という点は頭に置いておきたいところ。

 Xiaomiならオート(夜景判定あり)でも可変絞りは使えるわけで、わざわざマニュアルモードを使いたくないという人には敷居が高く感じられるものになってしまっています。

 なおマニュアル時、可変絞りだけを弄って、他の項目はデフォルトで自動調節になっていますので、とっつきにくい画面ではありますが、カメラに詳しい人に聞くなり勉強しながらであれば、大きな問題なく使えるのではとも思いますので、ぜひ挑戦してみて下さい。

本当に何も考えずに絞りを使いたいだけなら、EVを0近辺、ほかを全て自動(A)にしておけば基本的には問題ないはず。

 逆に専用機に慣れた人だと、下手にお膳立てされたAQUOSやXperiaのマニュアルモードよりも、制御できる項目数が多く一画面内に並んでいる本機のようなUIの方が、概ね好印象で受け入れられている事例をよく見ます。実際、自分もこういった国際展開しているメーカーの機種のマニュアルモードの方がどちらかといえば好ましく感じます。もちろん、AQUOSやXperiaの方が、本機と違ってHDRを有効化できるといった優位性はあるのですが。

 フィルターも多種多様に用意。ただnubia、REDMAGICにありがちな誤訳がここで炸裂しており、清新フィルターは「更新中」フィルター、アルフォンス・ミュシャ(慕夏/Mucha)を「むちゃ」など、無茶苦茶な謎単語が登場しています。おそらく単なる日中和訳ではなく、日本語→英語→中国語という謎の翻訳過程を経たゆえのミスであると考えられるので、工程から見直すべきだと思います。別に面白いのでこのままでも全然歓迎なのですが、B級中華から脱してより高みを目指したいであろうZTEにとっては、さすがにそこらの中華ECサイトで売ってる激安パチモン機種レベルの怪しい日本語は、極力減らしていく必要があるでしょう。

「むちゃ」フィルターはリアルタイムに線画でイラスト調に簡易変換して遊べて楽しい

「更新中」フィルター。個人的にはメトロポリスと、Xiaomiの ブラックゴールドを少し彷彿させるダークブラックが好き

 なおフィルター自体は非常に楽しいです。特にStreetモードは街中でレトロカメラでスナップ写真を撮るのが主題なのでしょう、フィルターもエモいフィルム調や白黒で統一されており、このモードを使うためだけに本機を持ち出してもいいぐらいです。実際、筆者はnubia Z60 Ultraをほとんどこのモードのためだけに持ち歩いていました。

 フィルム調フィルターだけではなく、Panorama比率モードで横長の写真を撮ると撮影体験も気分が上がり、撮れる写真も独特の雰囲気を出せて楽しいです。

 このストリートモード専用のフィルターたち、けっこう好きなのですが、マニュアルモードで選択可能なフィルター一覧には無いのですよね……。絞り制御も然り、「あれが良いのにこっちにはない、これが良いのにそっちにはない」が頻発しているのが惜しいと感じます。

「ストリートモード最高!」「やっぱり絞りでこだわれるプロショットモード」といったユーザーニーズに合わせて、即時起動直後のカメラモードをあらかじめ選択できるのは非常に素晴らしい。

 画質処理のレベルがめちゃくちゃ高いというわけでもないかもしれませんが、望遠も十分楽しめると思います。

金属の感じなど細部の表現は、抽象的な被写体の表現を得意とするAQUOSには劣るが、もう少し露出を落とすなど粘ると、さらに健闘出来たと思う。

10倍にしては水に反射した光が照らす感じも捉えられていてこれもなかなか。

 夜景も、オートでの夜景判定で概ね問題なく撮れます。

 夜景モードはメインカメラについては、明るい都市夜景で高い威力を発揮し、さらに低照度の条件においても十分とれました。ZTE機は「スマホの夜景モードらしい色とダイナミックレンジ」を優先し、精細感を犠牲にする傾向にありますが、本機のメインカメラは、確かに後方の木々の細部こそ潰れていますが、屋根のシャドウなどもノイズリダクションを効かせて浮かび上がらせています。

 ZTEの国内機というと廉価機や折り畳みといった、特段カメラにこだわっていない微妙なスマホが多いので、そういった機種しか知らない人が最上位機種である本機を使うとけっこう驚くと思います。もちろんここまで書いてきたように粗もたくさんあるのですが、それよりも多く長所や個性があるので大いに楽しめると思います。

 スピーカーに関しては前作のnubia Z60 Ultraは音量や音場以外には突出して優れている要素はありません。それどころか解像感は低めで、複雑なメロディや多い音数の楽曲ではしばしばボロを出して不協和音を奏でます。また人の声は乾き、音響設定をダイナミック・映画から音楽用に変えてもなお歯擦音が刺さるといった具合で、好ましいと感じられにくいであろう傾向を感じていました。

 ただnubia Z70 Ultraはスピーカーのグレードが上がっているのか、前作Zまでのガサガサとした音と繋ぎは改善され暖色に寄り、聴き心地は向上しました。

 ライバルのAQUOS R9 proと比べると、解像感とS/N(信号対雑音)比においては、音が飽和するシーンではAQUOS R9 proが上回っているように感じられます。nubia Z70 Ultraの方が薄いヴェールのかかったような音にも聴こえます。ただ中高音域、特にボーカルの声では、むしろ無理に雑音を除去する処理が控えめであろうnubia Z70 Ultraの方が柔らかく好ましく聴こえる場合も少なからずあります。

 AQUOS R9 proの明確にこだわりを感じる低音域は、特に音を際立たせつつも解像感も併せ持つ特に優れた長所です。これに対してnubia Z70 Ultraの低音域は、やはりヴェールの存在を感じてしまい、クリアではないですがブーミーで柔らかいです。箱鳴りは前作からそれほど抑えられておらず、まだまだ音響の改善余地はありそうです。

 ただ楽曲や動画によっては聴いていると不快になりかねない低水準は本作から脱したので、音量も大きめである上に、しっかりと防水対応もしており、キッチンでの利用などを含めて場面を選ばずに音楽や動画を楽しめる一台と言ってもいいのではないかと思います。

 プリインストールのZTE標準ブラウザは起動する度によくわからない全画面広告が出てくるので、利用頻度が高いであろう基本機能でこれは心象最悪だからやめろよと思いますが、同じくChromeもプリインストールされているのでそちらを使うのを推奨します。

謎日本語訳などは笑えるが、基本機能の起動で広告は正直笑えない。設定内から広告をオフにする項目は見当たらなかった。標準ブラウザを無効化することは推奨しないが、無効化しても基本的に他アプリのアプリ内ブラウザはChrome WebViewで動作する。問題が起きた場合にはもとに戻すように。

 生体認証センサーは画面内の光学式指紋認証。精度は極めて怪しいですが、ZTE機を何台も使ってきた筆者からするとこれは初期ファームでは恒例行事で、発売後に配信されるソフトウェア更新を行ったうえで指紋認証を再設定すると、大抵の場合は並ぐらいの水準になります。購入後は早い段階で優先的にアップデートを済ませることが肝要です。顔認証との併用によって解錠失敗は基本的になくせるのではと思います。

 細かい改善のアップデートが精力的に降ってきているので、今後も期待できそうです。ちなみにOSアップデートポリシーについて代理店経由で照会したところ、nubia Z70 UltraはOSアップデート期間は通常3年間となりますとの回答でした。

 電池容量は圧倒的な6150mAhの大容量。相変わらずの大艦巨砲主義のモンスターをありがとうございます。nubia Z60 Ultraは6000mAh積んで、重量249g(実測)のけっこうヤバい重量でしたが、nubia Z70 Ultraは重量232g(実測)に抑えてきたのは何気に重要なポイント。特盛の割には軽量化も頑張ってます。

OS Android 15ベースのNebula AIOS
SoC Snapdragon 8 Elite
メモリ 12GB/16GB
容量 256GB/512GB
画面 6.85型 AMOLED (2688×1216), 144Hz, 2000nits
カメラ メイン: 5000万画素 F1.59-4.0 (35mm)
望遠: 6400万画素 (70mm)
超広角: 5000万画素 (13mm)
インカメラ アンダーディスプレイカメラ
電池 6150mAh,
80Wの急速充電
その他 IP68/69防水防塵

 君が日本に来るのを待っていました。もはや無いものを探す方が難しいかもしれない特盛仕様。FeliCaと無線充電ぐらい?その代わり、極大の浪漫がここにあります。

 今回、nubia Z70 Ultraを使ってみて本当に良かったです。筆者がnubia Z60 Ultraに失望していた点や不満に思っていた点が良くなっていたり、良かった部分が継承されていたり、光る個性を見つけたり、逆に明らかに手を抜いている部分やダメな部分があったり……良くも悪くも喜びとツッコミが絶えない、使っていて本当に楽しい機種です。ダメだけど可愛い子、成長の試行錯誤中、ちょっとAQUOS的な面白さがあります。

 今回上梓したこの恋文もとい檄文を読んで、むしろ欲しいと思ったあなたには適正があります。個性的なスマホ、ベンチマーク高性能高コスパスマホ、楽しいカメラスマホをお探しの方にはぜひ本機を提案します。感動とツッコミの連続に疲れないようご注意下さい。

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