弊誌はアフィリエイト広告を利用しています。

解説:複雑怪奇なドコモの新プラン…結局「得をする人」「損をする人」は誰だ!

kakeho-dai-pakeaeru-ntt-docomo

 NTT docomoは、新しい料金プランを発表しました。6月1日より開始となります。

 以前、先行して発表されたSoftBankの新プランは、通信量制限を超えたら通信量が自動追加・自動課金で、それを止めるには別途オプションが必要でしたが、NTT docomoの新プランでは「リミットモード」「スピードモード」をユーザーがオプション使用料を請求されることなく選択可能など、今回の新プランには、評価すべき点も少なくないです。

 ただ実際のところ、多くのユーザーが最も気になっているのは、結局、自分の料金は高くなるのか?安くなるのか?という点でしょう。プランの大規模な刷新によりそれが見えづらくなっています。思いつく限り、「得をする人」「損をする人」を挙げていきます。(以下、特に記述がなければ基本的には税別表記。発表直後の執筆のため、もし誤記や不足の点などがあればメールフォームTwitterにご連絡いただければ幸いです。速やかに対応いたします)

ドコモの新プランで「得をする人」

1, 電話をたくさん掛ける人

 新しい基本料金は「カケホーダイプラン」です。(既存のXi向けプランは8月末以降新規受付中止、FOMAは継続。通話を『全くしない』のであれば1700円の『データプラン』がある) スマホなら基本料金2700円・フィーチャーフォンなら基本料金2200円で、国内への全ての通話料が無料です。国内の通話料とは、ドコモへの通話・他社への通話・固定回線への通話のことです。回数・時間制限はない模様です。

 電話をたくさんかけて、特に何も考えずにたくさん支払っていた人は、得になる可能性があります。

 

1-2, 毎月2GB未満しかデータ通信をしない(けど電話をたくさんかける)人

 今まで毎月、多くのユーザーが使いもしない7GBというパケット通信量を、5985円(税別5700円)で一律に押し付けてきたのが携帯各社ですが、今回ドコモが、3500円で月2GBで済む「データSパック」を用意したのは、(MVNO含めれば必ずしも安くはないものの、)大きな一歩です。補足3で後述するように、iPhoneユーザーへの影響が大きいかもしれません。また、5000円で月5GBの「データMパック」もあります。(そのうち『データLパック』もできそうですね) 

 ただし、新プランでは、普通に使う人にとっては「カケホーダイプラン」しか基本料金プランがないのが難点です。(詳しくは後述)

 

2, 家族にドコモの(長期)契約者がいる人

 これからは家族グループ単位で、パケット通信サービスを「シェアパック10・15・20・30(数字は、家族グループ全体の通信量上限(GB)と同じ。つまりシェアパック10なら10GB)」の中から、いずれかを選択できます。家族グループのパケット通信量が余っていたら、その分通信量を余分に使うことができます。もし使いきってしまったら、1GBあたり1000円で、家族全体の通信量に追加できます。(この単価はSoftBankよりも安い)

 家族全体、つまり複数人の使う通信プランとなることから、通信量の実態を把握と適切な通信量の見極めが難しくはなりますが、それさえできれば通信量を安く抑えられる可能性があります。(というよりそれをしなければ、基本的に料金が高くなるユーザーが多いのではと思います)なお、データシェアは子回線の数に応じて、データシェアオプション料(1回線あたり500円)が発生する点にも注意しましょう。

 また、契約年数に応じて「ずっとドコモ割」が毎月引かれます。(10年以上の長期契約でも、あまり大きな額ではないですが)

zutto-dokomo-wari

 

補足:3, ドコモ版iPhoneで通信をあまりしない人

 新プランはiPhoneにも適用可能と思われます。iPhoneは公式アナウンスでは「Xiパケ・ホーダイ for iPhone」しか選択できず、安価な通信プラン「Xiパケ・ホーダイライト(通信量3GB/月)」をデフォルトでは選択できませんでした。7GBも使わないドコモiPhoneユーザーにとっては、新たに「データSパック(通信量2GB/月)」を選択可能になることから、朗報と言えそうです。

 ただし、実は公式にアナウンスされていないだけで、今でもiPhoneで「Xiパケホーダイライト」を適用することは可能です。そのため、あくまで本稿では「補足」としています。今年の8月末に予定されているXiプランの新規受付終了以降、家族グループのデータシェアを利用せず、ドコモのiPhoneであまり通信しない人にとって「データSパック」が最も有力になりそうです。

 

4, データシェア容量が余っていて、LTE内蔵のタブレット端末等を使いたい人

 ドコモ的には推奨したいと思われるのがこの項目。データ容量が余ってしまっている場合、「カケホーダイプラン」と同一名義のタブレット用のデータ回線に、シェアオプションを付ければ、データ容量を分け与えることができます。

 シェアオプションを付ける場合、このタブレット用のデータ回線はパケット定額プランは必要ありません。(厳密には『データSパック』に加入するのだが、その料金が免除される形) つまり「データプラン」(1700円)+「spモード接続料」(300円)+「シェアオプション料」(500円)の2200円から利用できることになります。サブのスマートフォンを全く通話に使わずに運用する場合にも、この方法が応用できます。

 もし、LTEモジュール内蔵のAndroidタブレットを欲しかったが、手を出せなかったというユーザーが、ドコモの新プランに変更した既存回線でデータ容量が余ってしまっている……という条件がもし揃えば、安価にタブレットのデータ通信を契約できるため、この点においては新プランは優秀であると言えます。

 

ドコモの新プランで「損をする人」

1, 電話をあまりしない人

 新プランでは、音声通話用の基本使用料は「カケホーダイプラン」しか選べなくなってしまうので、毎月2700円(フィーチャーフォンなら2200円)を支払う必要があり、ほとんど通話しない人にはあまりにも高すぎます。(現在の基本プランである『タイプXiにねん』『タイプシンプルバリュー』なら743円という安さだった

 なお、スマートフォンでも「カケホーダイプラン」ではなく、基本料金1700円の「データプラン」を選択可能ですが、電話を「あまりしない人」と「(緊急通報含め)全くしない人」の間には、大きな壁があるように思うので、本項目では「データプラン」を考慮していません。

 さて、普通にスマートフォンを使う上で、モバイルネットワークの通信は人並み程度にするという前提で比較してみましょう。現行の旧プラン(『タイプXi2ねん』『ISP接続料』『Xiパケホーダイ ライト』)と、新プラン(『カケホーダイプラン』『ISP接続料』『データSパック』)での簡単な計算結果です。

  • 旧プラン) 743+300+4700= 5743 (国内通話無料なし、通信量3GB)
  • 新プラン) 2700+300+3500= 6500 (国内通話無料あり、通信量2GB)

  これまで電話をあまりしなかった人は、とにかく電話をしまくって元を取るか、今から家族を説得してドコモにMNPさせて家族グループを組んだ上で、データシェアプランを活用して安く抑えるなど、少しでも値上げを抑える対策が必要でしょう。(ただしシェアパックの最低プラン『シェアパック10』でさえ、9500円の月10GBであり、家族グループに自分ともう1人だけでは、月5GBで4750円になるので、この例ではかえって割高。ドコモに移ってくれる家族がたくさん必要ということ)

 

2, 無料通話分を繰り越している人

 FOMA向けのプランなら、2年契約で無料通話分(1000円)が付いたタイプSSバリューでも、934円です。(無料通話なしは743円) 無料通話分を繰り越しているというフィーチャーフォン・3Gスマートフォンのユーザーは、「カケホーダイプラン」にしても高くなるだけという方も多いものと思われます。

 

3, データ通信量を人並み以上に使っていて、データシェアのできる家族のいない人

 以前までの標準であったプラン「Xiパケ・ホーダイ フラット」では、5700円で7GBでした。

 現状、5000円で使える「データMパック」の通信量が、5GB/月となっており、これが最も上位の非家族向けプランです。1GBあたり1000円で追加できるので、「データMパック」で7GB使うとすると、7000円かかります。データ通信量が多めの人で、家族とのデータシェアが期待できないなら、以前よりも若干高いと考えてよさそうです。

 もし他社を使う家族が複数人いるのなら、全員をMNPさせて家族グループを組むか、それとも自分が他社にMNPで移るか……そもそも一人暮らしであるなど家族割を組めない人は、複雑化する現代社会では少なくありません。決断を迫られるユーザーも多いでしょう。

 

4, データ通信量を使いすぎる人が家族にいる人

 言い換えると、この記事の「ドコモの新プランで得をする人」の2を読んで「しめた!」と思っている人が家族内にいる場合でしょうか。

 たとえばデータシェアをする家族グループ内に、ヘビーユーザーが1人いると、通信量が枯渇してしまう可能性があります。従来なら、通信量が切れたら単に「自己責任」で終わりですが、新プランでは家族全体の「連帯責任」となります。通信量が枯渇してしまった時、これまでなら1人に1GBを追加するだけでしたが、新プランでは家族全体が共有する1GBを追加することになるので、月末ならまだしも、月の途中で1GBを追加しただけでは足りなくなってしまうことさえあるかもしれません。

 よくわからないままたくさん通信をする妻、手に負えない10代半ばの非行息子や年頃の娘、Wi-Fiとモバイルネットワークの違いもわからない高齢者層……こうしたユーザーが家族グループ内に1人いるだけで、他の家族にも迷惑が掛かります。決定権を持つ立場の主回線者(多くの場合は父親?)が、家族内のリテラシー向上や後始末、家族グループとプランの整理を、責任を持って行う必要が出てくるでしょう。もちろん、そんな責任をもつべき一家の主が、うっかりWi-Fiを付け忘れてFuluの映画や動画ストリーミングを見てしまって、一家全員のスマートフォンが通信制限に……なんてことさえあり得るわけです。油断できません。

 

4-2, 家族に長期契約者はいるがそもそもデータ通信を使わない人

 ちなみに家族に長期契約者がいても、データ通信を使わない人には恩恵がなさそうです。なぜなら「ずっとドコモ割」の割引対象は、データ通信プランからのみ割引が行われるからです。

 とはいえ所詮『ずっとドコモ割』のシェアパックからの割引は、回線毎ではなく家族グループ全体から引かれる形であるため、家族全体トータルで考えると決して損にはなりませんので、4-2として付随項目にしておきました。あしからず。

 

5, IP電話アプリを活用していた人

 最近ではLINEやカカオトーク、Skype、050Plus、IP-Phone SMART、Facebook Messenger、Facetimeオーディオなどのスマホ用のIP電話アプリを駆使すれば、通話料は格安、あわよくば無料にできます。そんなユーザーからしてみれば、今さら通話料無料と言われても、基本使用料が2700円しか選べないとなれば、事実上の大幅値上げでしかありません。

 

6, 他社とのダブルホルダー(2回線以上)で賢く節約していた人

 友人や恋人、家族など、よく電話する人と携帯会社を揃えるのは、通話料を抑える上で基本です。そのため、よく電話する人と同じ携帯会社を、最低料金で契約しておけば、通話料を安く済ませられます。これなら電池消費の多いIP電話アプリをスマホに何個もインストールしなくても済むでしょう。WILLCOMをサブで持っておく場合もこれに入ります。この場合も、このままだと値上げになってしまいます。

 しかし新プランのパケットパックには加入せずに、従量制を選択することも(プラン上は)可能なようです。(従量制の場合、通信料金はXi:0.6円/KB、FOMA:0.08円/パケット)そのため、NTTドコモを音声回線のみに割り当て、パケット通信を全て他社・MVNO・Wi-FIスポットなどで済ませれば、今後も複数回線で安く済ませる方法はあると言えそうです。

 もちろん、各社とも同じようなプランで追随し、悪いところほど真似をし、最終的に横並びになるのがこの業界の常です。競合他社も、通話定額を基本使用料と抱き合わせにし、NTT docomoのように異常に高額な基本使用料を設定するなどして、囲い込んでくる可能性は十分にあります。(5/30 10:26追記:予想通りでした→また横並び?――auも「完全通話定額制」導入、ドコモに追従か

 

総評:賢く節約してきた人は損をする仕組み、さらなる工夫が必要

 今まで賢く節約してきた人は、損をする傾向にあります。他社の回線も保持して、賢くスマートフォン・タブレットを複数運用しているユーザーは、ドコモ回線を通話用と割り切って利用したり、他社やMVNO回線を契約・解約して使い分けを合理化、サブのスマホをドコモのデータシェアにまとめる、といった工夫がよりいっそう求められることでしょう。

 Wi-Fiスポットを活用するなど、モバイルネットワークを奥ゆかしく使うITリテラシーのある家族に恵まれた、NTT docomoの想像する「一般的なユーザー」は、トントンか、得をできるようにはなっています。特に家族グループのパケットプランをデータシェアに一元化してきたことは、適切なプランさえ選べれば節約に繋がるでしょうが、現実問題として家族複数人の利用実態・平均通信量を把握して、適切なプランを見極めるのは容易ではありません。(これまで何も考えずに通話をたくさんしたり、何も考えずに同キャリア内の高額機種に機種変更してきた人々が、これを機に携帯キャリアの料金プランなどを正しく理解した上で複数人の通信量に適したプランを正しく選び、節約なんて本当にできるかどうかは疑問ではありますが、この記事をここまで読んでくれた人は、これからは携帯の料金を是非、よく勉強して、かしこく節約していきましょう) 

 つまり賢くプランを選んでいくことは、家族グループのあるユーザーにも、家族グループのないユーザーにも、等しく求められると言えるでしょう。

 先行してVoLTEを見据えたプランを発表したSoftBankや、まだプランを発表していないKDDIも、NTTドコモの新プランを見て、対抗や追随をしてくるものと思われます。それに加えて、総務省やメーカー、そしてMVNOを求めるユーザーのために、SIMフリー端末の普及やMVNOの競争激化といった流れも加速していくでしょう。今後、通信料金を安く済ませるためには、全ての消費者がより賢くあるべき時代が、すぐそこまで来ていると言えそうです。

[4/10 20:17, 20:58]得する人の項目3, 4を執筆、追記いたしました。情報提供ありがとうございました。
[4/10 22:45, 4/11 12:31]総評などに加筆修正を行い、記事全体をブラッシュアップしました。

すまほん!!を購読しませんか?

Twitterでも最新更新を配信・通知しています

フォローする 再度表示しない