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「音声通話サービスの仕組み」「スピードテストは何を測っているのか」 IIJmio meeting #3レポート

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 「IIJmioの中の人とお話する会 IIJmio meeting #3」の大阪会場に出席してきたので、会場のレポートとIIJmioの中の人にしていただいたプレゼンの中から面白い部分だけをピックアップしてレポートしていきます。

 プログラムは「スマホで使える音声通話サービスの仕組み」「クーポンOFFでも手を抜かない、通信品質へのこだわり」「スピードテストって何を測ってるの?」という三本立てのトピックでした。

 まずは「スマホで使える音声通話サービス」について。

1, スマホで使える音声通話サービス

 まずIIJmioが4月から開始した音声通話付き格安SIM「みおふぉん」の仕組みについての話、そしてLINE電話や楽天電話の仕組みについての話でした。

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 LTE / 3G通信の仕組みについて。端末→基地局→加入者パケット交換機→直収パケット交換機→インターネットと言う仕組みになっています。

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 音声通話はLTEの端末は発着信の際に端末をLTEから3Gネットワークに切り替えて(CSFB回線交換フォールバック)が行われ3Gの携帯電話として基地局から加入者交換機に接続し関門交換器を通って電話網に接続されているとのことです。

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 IIJが自社で持っている設備の部分は直収パケット交換器とインターネットの部分となっており、加入者パケット交換機と電話網の部分はすべてNTTドコモの設備を使用しています。音声通話をつかさどる通信はすべてNTTドコモ設備を経由するため、MVNO間での差別化が難しいそうです。

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 音声通話事業に参入するには様々な法律の要項をクリアする必要があり、新規の参入は依然として難しい状態が続いているそうです。

 続いてLINE電話や楽天電話について解説されたのですが、IIJのブログ「てくろぐ」に詳しい説明が載っており、当日もそれを用いた説明であったため今回は引用させていただきます。

楽天電話について

楽天でんわはIP電話ではなく「中継電話」と呼ばれるサービスの一つです。専用のアプリは提供されていますが、実はこのアプリは電話をかける手助けをするだけで、通話自体はスマートフォンの通話機能を利用しています。パケット通信は利用していません。このため、通話機能の無いデータ通信専用SIM・SMS対応SIMでは利用できません。通話機能のあるみおふぉんであれば、利用可能です。

中継電話の場合、発信時は楽天でんわの設備を経由しますが、発信者の番号は携帯電話(SIMカード)の090番号がそのまま通知され、通話相手にも090番号で表示されます。

通話相手がコールバックした場合は、楽天でんわの設備を経由せず、通常の携帯電話の仕組みを使ってそのまま電話が繋がります。このため、折り返しの通話料金は、通話相手の携帯電話会社の料金がそのまま適用されることになります。

LINE電話について

LINE電話は独特の通信方式を利用しています。アプリから発信するときは、050 plusと同じようにパケット通信でLINE電話の設備と繋がり、LINE電話の設備から通話相手の携帯電話事業者の音声網と相互接続を行います。 しかし、LINE電話では050 plusのように、IP電話独自の番号が割り当てられるのではなく、090番号が通知されます。通話相手の携帯電話には090番号から電話がかかってきたように表示されるのです。1 では、通話相手が着信履歴からコールバックした場合どうなるかというと、LINE電話の設備を経由せず、通常の携帯電話の仕組みを使って電話が繋がります。LINE電話は「発信のみ」を提供していて、着信については関知していないのです。

てくろぐ:「通話料が安くなるアプリ」はIIJmioで利用できる?(050 plus, 楽天でんわ, LINE電話)

 

 

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 どちらも気を付けなければいけないのは、コールバックした時にはLINEや楽天などの独自回線を通らず、自分が契約している回線を利用するため電話料金は安くならないということです。また、フィーチャーフォンなどSMSが使用できる端末で予め登録しておき、スマホから発信することが可能なため電話番号の偽装が簡単にできるとのことにも触れられていました。

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 ところが、「事業用電気通信設備規則」によると「他の利用者に対し誤認させるおそれがない場合はこの限りではない」となっているため、この場合はOKになるそうです。

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 LINE電話などで電話番号のあり方というものが変わってきていると。これを電話番号に対する破壊と見るか、新しい価値の創造とするのか、これからの電話番号の信頼性はどうなるのかというところでプレゼンは終わりました。

 一つ目のトピックはここまでです。話自体はもう少し長かったのですが、すべて書いてしまうと量が多すぎるので興味深い点だけピックアップして掲載しました。プレゼンの資料自体は「てくろぐ」に公開されているので見にくいと感じられた方はそちらを御覧ください。

 次は、2つ目のトピック「クーポンOFFでも手を抜かない。通信品質へのこだわり」について触れていきます。

 

2, クーポンOFFでも手を抜かない。通信品質へのこだわり

 2つ目の話題はMVNOであるIIJがどのような仕組みでインターネットに繋がっているかということとIIJが力を入れている点についての解説でした。

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 データ通信の設備概要についてです。通信が快適であるには「1、基地局からコアネットワークまで快適なこと」「2、十分な帯域でMVNOとキャリアが接続されること」「3、MVNOとインターネットが潤沢な設備で接続されていること」という、3点が重要だそうです。MVNOが苦しむ理由としては「2」の区間だそうです。「2」の部分の太さによりキャリアに接続料を払っており、潤沢に用意するのは単価の安いMVNOにとっては苦しい。

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 MVNOネットワークとキャリアの帯域が不足していると先ほどの「2」区間がボトルネックになりパケットが捨てられることになるそうです。一般には「パケ詰まり」の一因ということです。「パケ詰まり」は業界用語ではないらしく、このパケットを捨てる現象や通信が混雑することなどを総称して使われているワードだそうです。

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 これはIIJとドコモの接続区間におけるトラフィックグラフになります。12時頃の部分の山はもっと高いらしく帯域が足りずパケットを捨てています。この時間帯に通信が遅くなるのはこれが原因であり改善するために、帯域を買う努力をしているとのこと。

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 低速通信(クーポンOFF)時のバースト通信について。IIJでは200kbps通信は使いすぎた利用者へのペナルティではない。だから「クーポンON」時には速度制限はなく、速度制限は200kbpsで通信している時のみです。また、低速通信時にはIIJでは一回の通信につき「200kbps×3秒分=75KB」のバースト(速度制限なし)通信を許可しているとのこと。IIJmioのWebサーバ、メールサーバ、IIJの提供しているDNSサーバには速度制限がないそうです。

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 これからの取組みとして「平日12〜13時の通信改善」「Windows Update等のトラフィック急増による通信品質悪化を防ぐこと」が目標とのこと。

 以上、「クーポンOFFでも手を抜かない。通信品質へのこだわり」について触れてみました。IIJmioの仕組みについて少し学ぶことのできる内容だったのではないでしょうか。プレゼン資料は「てくろぐ」にて。

 このプレゼンを聞いて筆者が思ったことはMVNOの利用方法に関してです。ソフトバンクやドコモなどの既存のキャリアでは間違いなく1GB以上まとめて通信をすると速度制限がかかってしまいます。動画の配信や大容量のデータ送信時などにIIJmioの「クーポンON」の通信を使用することによって、これまでは制限がかかっていたところを快適に使用できるのではないでしょうか。モバイルネットワークで大容量の通信をするためだけの回線としてIIJmioと契約するという考え方もあるのではないでしょうか。MVNOとキャリアの差別化について筆者はここに違いを見出したような気がします。

3, スピードテストって何を測ってるの?

 最後は、みんな大好き(?)スピードテストについてのお話です。

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 まずスピードテストの「計測対象」について。スピードテストは端末からスピードテストのサーバまでをすべて総合して計測。端末の性能(スペックや対応周波数)、基地局やMNO-MVNO間、インターネットの混雑具合など様々な要因がスピードテストに関係しているとのこと。

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  繁華街などでは同じ場所にいても複数の基地局が見えることがあるため、同じ端末でも別の基地局を掴んでいることも。

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 意外な要素が影響することも。Windows Updateがその一因らしく、モバイル回線でアップデートする人がいらっしゃるようです。あとは人気アプリの大規模アップデートなどによって通信が「混雑」したりすることで通信品質の低下につながるとのこと。時間によって混雑具合も変わるため完全に同じ条件というのは難しい。IIJの中の人としては自社以外の部分を含めて「MVNOは遅い」などと言われると複雑な気持ちになるそうです。

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  スピードテストのアプリは計測結果を表すときに加工を施している。

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 考えられる加工方法としては「平均を取る」、「最大速度」、「ピークカット」(不安定と思われる計測結果を除外)これらの組み合わせなど様々な加工が考えられる。 

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 どの「加工」が正しい訳ではなく、加工の方法によって異なる値が出る。◯◯kbpsなどは絶対的な尺度ではない。同一アプリ間ではともかく異なるアプリ間では数字を比べることは出来ない。

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 IIJmioのようにバーストを使用しているところでは、計測開始のタイミングやサンプリングの時間によってかなり計測結果に変動が生じる。バースト型の通信においてはシンプルな数値で表すのは難しい。

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  そこで通信を可視化してみる実験が行われました。

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 実際に通信が行われている様子をグラフ化して見る実験でした。詳しくはてくろぐのプレゼン資料に公開されていますが「RBB SPEED TEST」や「Twitter」、「Radiko」などのアプリがどのように通信しているのかもグラフ化されています。

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 まとめとして。スピードテストは絶対的な尺度でしかなく、比較のための条件統一は困難であり様々な要因で値は変化する。その上、計測値は「加工」されていて、バースト型の通信をスピードテストで評価するのは難しいとのことでした。

 これで、「スピードテストって何を測ってるの?」については以上です。これまでIIJmio meeting #3で取り上げられた内容の中からピックアップして紹介しました。資料が見にくかった方は「てくろぐ」にてご覧になってください。

 特にスピードテストについては色々難しいところがありますよね。ソフトバンクやドコモなどキャリア3社はプロモーションとして自社が一番速いという広告を出していますが、おそらくそれぞれ違う条件で計測しており、自社が一番になるようにしているので実際に使用した時にその通りの結果が出るわけではないでしょう。実際にどのキャリアが一番使いやすいのかは、実際に使用してみるか、今回のプレゼンの中であった通信を可視化するような実験をしない限り本当の意味ではわからないでしょう(それでも一部にしか過ぎませんが)。このプレゼンはある意味でスピードテストの信頼性を打ち砕くものでした。筆者自身スピードテストは好きでよく実行するのですが、その値を鵜呑みにしてはいけないということがポイントだったように思います。

 しかし、技術者でもない一般人の私達が通信の快適さを調べるにはスピードテストしかありません。これからはスピードテストも変わる必要があるでしょうし、その結果をどのように見ていくのかという点で私達の見方も変えていかなければならないのではないでしょうか。

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