FlashPlayerの終焉とAndroid、モバイルウェブのこれから

 Android向けFlashプレイヤーの配布が日本時間15日に終了した。すでにソフトウェアをインストールしているユーザに対してのセキュリティアップデートや不具合の改修を行うことは約束されているが、新機能の開発や発展的なアップデートはここで打ち切られた。

 そう、モバイルウェブのFlashは事実上ここで終わりを告げたのだ。

おさらいとこれまで

 Androidが搭載されたスマートフォンの当初の売りの一つに、ブラウザのFlash対応があった。これは、Androidスマートフォンを販売するキャリアショップの店頭でも確認できたし、雑誌やネットなどのメディアでも散見された意見である。Androidの中でFlashはある種のキラーコンテンツ(どちらかといえば、コンテンツの動作に必要なもの)だった。

 一方、アップル率いる、iOSはFlashへの対応をかたくなに拒んだ。ユーザから対応してほしいといわれても、Adobeと対立しても、頑なにFlashの対応を拒んだ。それは、Thoughts on Flashという声明文をサイトに掲げるほどだ。

 しかし、Flashの開発元であるAdobeの声明でこれらの事態は収束を迎えることとなる。「Android4.1へのFlashプレイヤーの開発は行わない」かくして、モバイルデバイスで起きていたFlash戦争は、土台から壊される形で終結した。

モバイルウェブでFlashは死んだ。その後は?

 かくかくしかじか、こうして私たちが持ち歩くスマートフォンを含め、市場を占めるモバイルデバイスの大多数が、今後Flashを再生できない環境になる。既存のAndroid2.2や2.3それから4.xを使っているユーザは、アンインストールしたり、やむなく端末を初期化したりしない限り、Flashプレイヤーは残り続けるが、Androidを搭載したスマートフォンの製品寿命は短い。もう2~3年すれば、市場からほとんど消えてなくなっているだろう。

 何度も議論されているように、問題はFlashの代替技術だ。今後も、パソコン向けのフラッシュコンテンツは作り続けられるだろう。しかし、モバイル向けコンテンツではそうはいかなくなったわけだ。多くのWebサイトがモバイル向けの表示に対応していくなか、未だにパソコンと同じ表示でWebサイトを提供し続けているサイトも多く存在する(自虐ではない)

 そして「Flashの代替技術はなんだろう」という問いに対して「HTML5だろう」という返答が多く聞かれるが、現状のHTML5は決してFlashを埋め合わせできるほどの力量はあるのだろうか?時々、Flashをこの世界から駆逐しすべてがHTML5+CSS3+JavaScript+αになれば世界が平和になり、Webに安寧がもたらされると思っている人がいるが、それは間違いであると感じている。
(特にこの誤解は、プログラミングやマークアップに明るくない人ほど陥りやすいものだ)

 Flashは必要悪だった。確かにパフォーマンスは悪くて、クラッシュの原因になっていたとしても、ほかの技術では出来ないことができていた。そして業界の標準であった。誰もがAdobeにお金を払いさえすれば開発環境を手に入れることができたし、がんばれば無料で入手できる環境でもFlashを作成することができた。

 モバイルウェブの環境ではそれがぶち壊れてしまったのである。

Flashのこれから、空中浮遊するHTML5

 Flashはブラウザから姿を消すが、Androidそのものから姿を消すわけではない。FlashはAdobe AIRへと姿を変え、ブラウザ上で動作するコンテンツから、アプリケーションへと一つ上のレイヤーへ昇格した。

Adobe® AIR®ランタイムを使用すると、HTML、JavaScript、ActionScript®、Flex、Adobe Flash® ProfessionalおよびAdobe Flash Builder®で作成したスタンドアロンのアプリケーションを、Android™、BlackBerry®およびiOSのデバイス、パーソナルコンピューターやテレビなど、様々なプラットフォームおよびデバイスで展開できます。

引用元:Adobe AIR 3

 平たくいえば、Flashで開発したソフトウェアをAndroidを含めたプラットフォームでアプリケーションとして利用できるのがAdobe AIRだ。Flashは姿を消したのではない、モバイルウェブの世界から姿を消しただけなのだ。

 その代替としてHTML5が使われようとしているが、その成果は今ひとつだ。まず、パソコン向けのWebコンテンツではFlashを使える以上、今までのようにFlashコンテンツは作成されるだろう。そのFlashが再生できないわけであるから、モバイルウェブのために静的なWebサイトを作成するか、あるいはHTML5を使って動的なWebサイトを実装することになる。しかしどうだろうか、それらを目にする機会があるだろうか?閲覧者が能動的に探せばHTML5で実装された動的なWebサイトは閲覧しうるが、まだ、気がつけばそこにあるような存在にはなっていない。

 HTML5はふわふわと空中浮遊している。それは策定・制定のプロセスであったり、過剰に寄せられる期待であったり……HTML5の空中浮遊はモバイルウェブの空中浮遊他ならない。しかし、モバイルウェブに動的なコンテンツが求められる。

 ここまで書いておきながら明確な結論を出せないのが非常に惜しい。書き連ねれば書き連ねるほど、Flashの死が惜しくてたまらなくなる。しかし、Flashがモバイルウェブで死んでしまった以上、モバイルウェブの世界ではいやでもHTML5+αが普及していくだろう。

 その普及課程を静かに見守り、そして私もコードを書いていきたいと思う。