新モデルが発表されず、CPUの性能ではMac Miniにも劣っていた、MacProの新型情報がついに公開された。驚くべきはその筐体デザインとコンパクトさだ。
ピアノブラックの黒色フォルムはコンピュータを思わせないデザインで、ひとつのインテリアのようにも見える。たとえ、これが机上にあってもワークステーションとわかる人は数少ないだろう。
だが、筆者はこのフォルムから、今や忘れられている(忘れられて欲しいと願われている)Power Mac G4 Cube やTwentieth Anniversary Macintosh を思いうかべた。
Power Mac G4 Cube はその独特の熱排出設計から非常に熱を持ち、拡張性の乏しさから、プロユースからは嫌われた。
ジョブスから窓から投げ捨てたと言われる、Twenty Anniversary Macintosh 。
画像引用元:Twentieth Anniversary Macintosh.jpg – Wikipedia
アップルは今まで幾度も挑戦的なデザインのMac(あるいはMacintosh)を製造してきたが、そのなかでもやはり「ハズレ」「実用に耐えない」と言われてきたモデルは数多くある。
筐体の大きさからは考えられないハイスペック
従来のMac Pro と比較すれば、その筐体がどれほどまでに小さいかを簡単に見て取ることが出来る。これが、NUC や Mac mini であったなら、驚きはまだ小さかったが(筐体も小さいし)これはワークステーションなのである。
インテルの12コアの Xeon プロセッサを搭載し、AMD のワークステーション用GPUである FirePro を二機搭載可能だ。また、当然ながらメモリはECCメモリであるし、ワークステーションに必要とされる性能はすべて満たされている。
また、ボトルネックとなるディスク I/O は PCI-Express を利用したSSDを接続することで、速度の向上を実現してる。これは、大容量かつ大量のファイルを扱うMac Proの用途にはまさに最高の組み合わせとなるだろう。
拡張性の乏しさはThunderbolt 2でカバー?
フルタワー型のコンピュータでない以上、犠牲となっているのはその拡張性である。サイズから予測されるに、拡張性は高いようには見えない。そのために採用されたのが、Thunderbolt 2だろう。
Thunderbolt 2 は現行の Thunderbolt と比較し2倍の帯域を持ち 20Gbps の高速なデータの通信が可能な規格だ。これは、規格の策定を行っているインテルが先日発表したばかりである。
Mac Pro の背面を見ると、Thunderbolt 2 の端子がなんと6つも搭載されており、拡張が予測される外部ストレージや、キャプチャカードなど、すべて Thunderbolt 2 を利用して接続する算段なのかもしれない。
これはある意味タワー型ワークステーションからの決別とも言える。ワークステーションは本来大きな筐体を持ち、ハードウェアの拡張を行う際は筐体を開けて、それぞれを適切なマウンタに装着し、ケーブルを接続していた。
しかし、Thunderbolt 2 を利用したハードウェアの拡張は、筐体を開ける必要性はなく、すべてが筐体の外部で完結する。
発売時期は今年の後半
発売される時期は2013年の後半。製品の特性上、なかなか一般ユーザの手が伸びるものではないが、グラフィックデザイナなどのクリエイターの人からすれば、待ちわびていた新しいMac Proである。
クリエイターの多くが Windows を利用する時代に、果たして Mac Pro はどのような存在意義を果たすのだろうか。