本日、2013年12月5日に楽天グループの通信会社フュージョン・コミュニケーションズが「楽天でんわ」のサービスを開始しました。
「楽天でんわ」は LINE や Skype のようなメッセンジャーアプリとも、NTTコミュニケーションズが提供する050plusとも、少し違った特性を持つサービスなので、良い点と悪い点を交えながら紹介をしていきたいと思います。
電話料金が一律で「30秒で10.5円」
キャリア各社がスマートフォンを提供するようになり、実は通話料金が高くなるケースがあります。
これは、LTEに対応したスマートフォンでは、基本的に利用されるプラン(タイプXiにねん,LTEプラン,ホワイトプラン……など)には無料通話分がなく、同じキャリア内では通話料が無料(タイプXiにねんは別途オプションが必要、LTEプラン、ホワイトプランは無料でない時間あり)なものの、他キャリアへと電話をかけると「30秒21円」と、以前に比べ高額な価格が設定されているというのが、理由のひとつです。
それに比べ「楽天でんわ」を利用すると、通話料が「30秒で10.5円」と約半額になり、この数字だけ見るとすごくお得な感じに見えますね。
電話番号はそのまま。アプリなしでも利用可能。
おそらく一番インパクトが大きいのは、楽天でんわを利用してもそのままの電話番号で発着信ができることです。
これが、050から始まる電話番号が付与される050プラスをはじめとした IP電話サービスとは異なる点です。
というわけで、従来の携帯電話から携帯電話への発信を図に表してみましょう。今回はドコモからauへと電話をかけたことを想定しています。
相当に端折っているので、専門の方には怒られてしまいそうですが、だいたいこのような感じです。
続いて「楽天でんわ」を経由して電話をかけた場合の流れを見てみましょう。
このように、途中に楽天がまたがることで、通話の仕組みが変わっているのがわかりますね。注目すべき点は、通話料金の請求がドコモからではなく、楽天からになっていることでしょうか。
iPhone や Android で利用できるアプリは、発信をする際に「003768」という番号を自動で相手の電話番号に付加し、楽天(フュージョン・コミュニケーションズ)経由の電話とするものです。「なんかすごい仲介人」と「それを手助けするアプリ」ぐらいの認識でおおむね間違っていないと思います。
なお、専用の発信アプリを利用しなくとも、標準のダイヤル画面から「003768」を付与して発信すると「楽天でんわ」のサービスに登録されている電話番号なら楽天でんわ経由の電話となり通話料金が割安になります。
キャリア間無料通話に注意
一見するといいことずくめに見えるサービスですが、大きな落とし穴があります。それは、同一キャリア間や家族間をはじめとした無料通話も適用されなくなり一律「30秒で10.5円」になることです。
ドコモで言うところの「Xiトーク24」やauの「LTEプラン(1時から21時)」ソフトバンクの「ホワイトプラン(1時から21時)」など、「楽天でんわ」を利用すると、同一キャリアでの通話割引の恩恵が一切受けられなくなります。
「へ?じゃあ逆に損じゃん!」というのも、実は違って、アプリを使わなければ、今どおり同一キャリア間無料の恩恵が受けられるのです。
少しこんがらがってくるとかと思うので、箇条書きでおさらいをします。
- 楽天でんわは楽天に利用登録した電話番号から発信した場合の料金が割安になる。
- 専用の発信用アプリは、発信先(相手)の電話番号の先頭に「003768」を付与しているだけ。
- 専用のアプリを利用しなくとも、通常のダイヤル画面から「003768」を先頭に付与すれば、楽天でんわが利用できる。
- 楽天でんわを利用したくなければ通常のダイヤル画面から電話をかければ良い。
- 楽天でんわを利用して発生した通話料金は楽天からの請求となる。
つまるところ、楽天でんわを使って賢く節約したい場合は以下のようなことに気をつけましょう。
- 発信先の電話番号が自分とは異なるキャリアかを確認する。
- 同じキャリアで無料通話が使える時間帯なら楽天でんわを利用しない。
- 楽天でんわアプリのホワイトリストを活用する。あるいは、異なるキャリアとわかっている電話番号には「003768」を番号の先頭に付与して電話帳に登録する。
こう考えると結構面倒くさいかもしれませんが、スマートフォンでの電話が高いのも事実。かといって 050Plus をはじめとした IP電話サービスは電話番号が増えて面倒くさい。LINE や Skype は遅延が気になる……という方への、選択肢としては、アリアリなサービスですよ。
ちなみに、楽天のこういうところは変わっていないので注意が必要です。