イギリスのトップにして保守党の党首であるDavid Cameron首相は、政府がメッセージ内容を読むための手段が用意されていないメッセージアプリについて、使用禁止にすべきとの見解を表明しました。ここで指しているアプリは、完璧な暗号化の施されているもの、具体的にはWhatsAppやiMessage、SnapChatなどが該当します。
この主張は、イスラム教の預言者ムハンマドを風刺する画を掲載したフランスの新聞社が、武装したテロリストに襲撃された事件を受け、同首相がそのようなテロの発生を防ぐ目的で、インターネット上の通信傍受に関する法案の必要性を訴える文脈でのもの。
このような問題はアメリカにもあり、NSAの盗聴問題や、Appleが暗号化により法執行機関への捜査協力を拒んでいることなどがクローズアップされています。
次回の選挙で保守党が過半数以上の議席を獲得した場合、前述のチャットアプリがイギリスでは法規制により締め出され、イギリス政府は国民のチャット内容を合法的に盗聴できるようになる可能性があります。
言論の自由とテロ対策のバランスや、個人のプライバシーといった問題が関わる重要な事案と言えます。ボーダレス化するテロリズムは日本としても対岸の火事ではありません。今後の動向を注意深く見守る必要がありそうです。