ドコモ、4段階制パケットパックを発表
4月27日、NTT docomoは新たなパケットパックとして、「ベーシックパック」「ベーシックシェアパック」を5月25日から提供すると発表しました。
これらはデータ通信量に応じて段階的に料金が決まるというもので、つまり使った分だけ支払うので、ムダがないという点をアピールしています。
基本使用料+ISP接続料+データ料金が、基本的な携帯電話料金のスタイルです。このデータ料金の部分に該当するのが「パケットパック」というわけ。
以下、解説していきます。なお、記事中記載の料金は全て税抜価格です。
Index
ベーシックパック
個人向け、4段階のデータパック
データ通信の利用が月間1GB以下であれば2,900円、多く利用した月でも上限7,000円で20GBまで高速通信できるという、料金変動制のパケットパックです。ステップ1からステップ4までの四段階制となっています。
auの「auピタットプラン」を意識したような課金方式ですが、あくまで基本プランと組み合わせるパケット定額サービスの一つという形で提供されます。
また、「docomo with」や「ずっとドコモ割プラス」、「ドコモ光セット割」も併用可能で、これらを組み合わせると一人当たり1,980円から利用できると謳っています。
月額料金 |
データ通信量 |
月額料金 |
ずっとドコモ割プラス |
ドコモ光セット割 |
---|---|---|---|---|
ステップ4 |
5GB超~20GB |
7,000円 |
-800円 |
-800円 |
ステップ3 |
3GB超~5GB |
5,000円 |
-800円 |
-800円 |
ステップ2 |
1GB超~3GB |
4,000円 |
-600円 |
-200円 |
ステップ1 |
~1GB |
2,900円 |
-200円 |
-100円 |
ステップ1は他社の「1GBプラン」、ステップ3は従前の「データMパック」と同水準で、ステップ4は「ウルトラデータパックL」よりやや割高という構成です。あまり通信しなかった月の料金を抑えることができ、なおかつ大量に通信した月も20GBまでは「通信制限」がかからない利便性があるので、なかなか使い勝手が良さそうです。
個人的に注目したい点としては、データSパック・Mパックと異なり「シンプルプラン」を選択することができるというところです。通話利用の少ないユーザーは従来より料金を抑えることができるのではないでしょうか。ただし、最初から20GB近い大容量通信を利用するつもりであれば、ウルトラデータパックLの方がお得ということになります。
なお、ベーシックパックの提供開始に伴い、データSパック・Mパックは新規申し込み受付終了となります。現在利用中のユーザーは引き続き利用できるものの、これから契約しようとしていたユーザーにとっては「気を付けていないと上限まで料金が上がってしまう」というケースが出てくるのではないかという不安もあります。
料金例
実際の契約例として挙げられている例。docomo withなどの割引が前提となっている変な表ですが、要は1GBまでの使用なら、単純に計算して980+300+2900=4180ですね。
ベーシックシェアパック
家族向け、4段階のデータパック
ベーシックパック同様の料金変動制シェアパックで、シェアグループの通信量の合計で料金が決まります。最低料金は5GBで6,500円から、上限は30GBで15,000円までとなります。
月額料金 |
データ通信量 |
月額料金 |
ずっとドコモ割プラス |
ドコモ光セット割 |
---|---|---|---|---|
ステップ4 |
15GB超~30GB |
15,000円 |
-1,200円 |
-1,800円 |
ステップ3 |
10GB超~15GB |
12,000円 |
-1,200円 |
-1,800円 |
ステップ2 |
5GB超~10GB |
9,000円 |
-1,000円 |
-1,200円 |
ステップ1 |
~5GB |
6,500円 |
-900円 |
-800円 |
こちらもステップ1~ステップ3は「シェアパック5~15」と同水準かそれよりやや割安、ステップ4は「ウルトラシェアパック30」よりやや割高という構成。シェアパック10や15で十分だったグループにとっては若干の値下げとなるので嬉しいところです。
またこちらのプランも提供開始に伴いシェアパック(ビジネス含む)5~15の新規申し込み受付は終了となります。シェアグループについては、各回線の通信量の上限を設定できる「データ量上限設定オプション」もあるので、「子供が一人で使いすぎたために上限まで料金が上がってしまった」という事態はある程度防げそうです。
料金例
共通事項
- 次のステップに上がる際に、メールで通知されます。
- パケットくりこし(余ったデータ容量の翌月への繰り越し)は非対応。
「値下げ」自体は喜ばしいが……
悪くはないが、もっと使いやすいプランを期待したい
今回発表されたプランは、料金そのものの大きな引き下げではありませんでしたが、使い切れなかったデータ量の分まで高額な料金を支払うことが減ると考えると、年間での支払総額を今までよりも下げることができる利用者が多く存在すると予想でき、喜ばしいことだと言えます。
これまでの「通信制限がかかるのは避けたい。けれども大容量のパケットパックを契約して使い切れないのはもったいない」というジレンマは、多くの利用者に共通の悩みでしたが、auに続いてdocomoも段階的に料金が変動するプランを導入したことで、この悩みは少しずつ解消されるのではないかと思われます。
一方で、「ステップの幅が分厚過ぎる」「もっと細かく段階を踏んでほしい」という声や、「ユーザーがうっかり使いすぎてしまうことを狙っているのではないか」という厳しい見方もあります。今後ステップの細分化がなされるかや、望まないユーザーへの通信量のキャップなどが提供されるかどうかで、docomoの姿勢が評価されることになるでしょう。
企業努力か、はたまた総務省への「忖度」か
さて、このタイミングでこのような新プランの発表があったことについては、穿った見方をすれば「総務省対策」ではないかともとれます。docomoは過去にも総務省のタスクフォースを受けてシェアパック5を提供開始したという例があり、今回に関して言えば「2年縛りに対する行政指導」が噂される中、先手を打って値下げを実施し、「利用者に還元もしているので、大目に見てほしい」とアピールしているようにも感じられます。利用者の立場で言えば、値下げが敢行されることは喜ばしいことですが、政治的な圧力がなければ殿様商売を続けていたのだろうかと考えると、情けないような気持ちにもなります。
また、2014年の大幅な料金プラン刷新のときもそうでしたが、「新プラン提供に伴って旧プランを即座に廃止する」というやり方は、相変わらず乱暴だなというのが率直な感想です。「◯◯GBを使い切ったらあとは低速で我慢する」というような利用スタイルであったユーザーからすれば、データSパック・Mパックがなくなり、ベーシックパックしか選択肢がなくなってしまうというのは不便な話です。docomoは「一人ひとりのライフスタイルに寄り添」うとしていますが、本当にそうであるならば旧プランも併存させるのが妥当なのではないでしょうか。
docomoが真にユーザーを第一に考える日が来ることを願うばかりです。
注意点まとめ
- 「シェアパック 5/10/15」「ビジネスシェアパック 5/10/15」「データSパック」「データMパック」といった既存プランは、2018年5月24日をもって新規申し込み受付を終了
- 新プランはパケットくりこし非対応
- 低速化ではなく高額な上位ステップへの自動移行となるので、価格を安く抑えることを重視したい個人ユーザーにとっては注意が必要な部分も
ドコモの4段階プラン https://t.co/0Dw475G9hB
— すまほん!! (@sm_hn) 2018年4月27日