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SoftBankのAndroid版「+メッセージ」、配信再開時期未定に
SoftBankは、Android向けの「+メッセージ(プラスメッセージ)」アプリについて、「SoftBankメール」アプリとは分離する形で提供すると発表しました。
提供時期については未定となっています。配信時期は改めて案内するとしています。
+メッセージとは
「+メッセージ」は、携帯大手3社の提供するメッセージアプリ。RCSを元にしており、SMSと同じく電話番号宛にメッセージを送り合えます。従来のSMSと異なり、動画やスタンプも送れます。国内MNO同士でしか使えません。
トラブル多発のため、分離に
なぜSoftBankは「+メッセージ」のアプリを分離するのでしょうか。
実は他2社(ドコモ・au)がSMSアプリの代替という位置づけで、キャリアメールを別途残しています。つまり「+メッセージ」とキャリアメールは並存。SoftBankのみが、キャリアメールアプリも兼ね、「SoftBankメール」アプリを置き換える形で「+メッセージ」を提供していたのです。そもそも分離せず統合していたSoftBankが異例だったというわけ。
これがトラブルの元でした。これによりSoftBankの「+メッセージ」は過去のSoftBankメールのデータを引き継ぐというニーズを満たす必要性が出てきたわけですが、この引き継ぎの不具合と思しき事象を報告する声がアプリレビュー欄・SNS上に多数寄せられました。メール内容が消えてしまったというのです。
不具合以外に考えられる原因として、誤ってアプリのアンインストールを実行してしまった事例が多かったようです。「+メッセージ」の存在を知らなかったユーザーとしては、見慣れたSoftBankメールのアプリが消え、突如として見知らぬアプリが出現したようなものなので、不審に思ったユーザーがアプリのアンインストールを実行。メールデータを引き継ぎする前に、丸ごと消えてしまったというパターンですね。
あまりの苦情の声の多さに、SoftBankは「+メッセージ」アプリを配信停止。SoftBankの「+メッセージ」は盛大に出鼻をくじかれてしまったというわけです。配信停止も、アプリの分離も、当然ですね。
追記:プラスメッセージアプリの配信が再開されました。
iOS版は既に配信中
iOS版の+メッセージアプリは、2018年6月21日から既にApp Storeで配信中です。なお、重要なこととして、MVNOでは利用できません。
そもそも+メッセージは普及するのか
メインにはならないのでは
キャリアメールのあまりの出来の悪さに、コミュニケーションの主役を完全にLINEに奪われてしまった携帯キャリア。それを挽回すべく、完全通話定額制、そして今回「+メッセージ」を投入してきたわけです。
はたして普及するのか。普及するかどうかで言えば、まあいくら出来が悪くともある程度普及はするでしょう。今後のMNOのAndroid端末には「+メッセージアプリ」がデフォルトでプリインストールされるからです。
日本ではiOSシェアがやたら高い一方、iOSにはキャリア製アプリはプリインストールはできません。せいぜいキャリアプロファイルと一緒にショートカットを入れるぐらいでしょうか。(そもそもiOSシェアが異常に高いのは、iPhoneを販売施策上優遇してきた携帯キャリアが原因でもあるのですが)
既に友人間のコミュニケーションの「宛先」として、キャリアメールアドレスはおろか電話番号すら、存在感を失ってきています。単なる友達はLINEにいて、その友達の電話番号は知らない、ということも増えています。むしろ、友達にいちいち電話番号を教えたくないという人もいるでしょう。電話番号だけで使える!という最大のメリットが、実はデメリットになっている可能性もあるわけです。
また、家族とはお互いに電話番号は知っているでしょうが、既に家族との連絡にLINEを使っているという人も増えてきたのではないでしょうか。家族の誰かがMVNOを利用しているパターンも、障害となりそうですね。LINEなら確実に全員が使えます。相手がMVNOだろうが、PCだろうが、ガラホだろうが、海外留学中の友人家族だろうが、とりあえず使える、これがマルチプラットフォームを進めてきたLINEの強みです。
こう考えると、「+メッセージ」は、いくらか浸透はしますが、決してコミュニケーションのメインにまではなれないのでは、と思います。
ただの囲い込み、MVNOへの嫌がらせに終わらせるのではなく、MVNOにも開放するといった戦略転換があれば、まだ可能性はあるのかもしれませんが……。
+メッセージ https://t.co/4FPGdRdj1H
— すまほん!! (@sm_hn) 2018年6月26日
ビジネス用途
腐ってもRCSですからビジネス用途には可能性があり、面白そうです。ただ、企業が何かを宣伝したい時、「友達」という一歩踏み込んだ形でプロモーションを行えるLINEには優位性があるので、LINEの需要を根こそぎ全部奪えるというと、そこまでは厳しそうです。