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深圳のタクシー、車内をリアルタイム監視、配車アプリでオンオフできる

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 先日、上海の浦東空港で外にタバコを吸いに出たら、兄ちゃんに「市街中心まで乗っていかない?」と話しかけられました。

 誘いを断ると、「滴滴出行(中国版配車アプリ)だから!騙しようがないから!」と、タクシー配車アプリを表示しながら猛烈アピール。ボッタクリ白タクも時代遅れになったのか……と感心しました。

 とはいえ、いずれにしても個人が提供しているサービスなので、運転手が信用できるのか、安全なのかとの不安はつきもの。

 そんな中、滴滴出行アプリに「車内監視機能」が登場、配車アプリやタクシーをめぐる「プライバシーと安全」に関する記事が、中国「IT時報」に掲載されていました。以下、ご紹介します。

 「車内監視機能」について滴滴によれば、小範囲で運用試験を実施しており、もしユーザーが監視可能な車両を呼んだ場合でも、設定上機能の「オン/オフ」が可能という。

 深圳等の都市では、タクシーや配車される一般車へのスマート端末設備が実装されており、全行程の映像監視が実現している。この方式について、運転手たちの反応はどうなのか?乗客は本当に安全なのか?

 監視センターに繋がっており、ユーザーはアプリから車内監視をお願いすることもできる。プライバシー優先の場合はアプリから監視をオフにもできる。ということのようです。

 「実装の可否」以前に、既に一部都市では実装されている、というのは「やるかやらないか議論している時間があれば始めてしまう、いつもの中国」という感じですね。 

 深圳市交通委員会は「車載端末をとおして営業の全過程を車内、車両位置の両面から映像によってリアルタイムで監視し、運転手への管理を強めることを望む。また、運転手の勤怠管理をスマート化することで、運転手のスマート実名認証問題の根本的な解決を実現することを希望する」との考えを示している。

 今年6月末までに、深圳の「流し」タクシーはすでに全車両、スマート末端設備の実装が完了した。深圳のタクシー運転手、董さんは、深圳が導入を推進している新エネルギータクシーに車両を更新した際、車内にも車載端末が搭載された。「車載端末のポイントは、カメラだ。その最大の作用は真相の再現にあるが、それでも全ての事件の発生を防ぐことはできず、ふつうは事後に見ることになる」。董さんからすると、車載端末実装後、運転手の営業を監督するのには有効なものの、運転手と乗客の安全保護については大きな作用がないという。

 確かに極端な話、防犯カメラが「防犯」になるなら、コンビニ強盗は存在しないでしょうね。抑止力の一つではあるかもしれませんが。

編集部補足

日本でもタクシーは車内監視カメラを設置しているが、基本的には録画して後から見返すためのドライブレコーダーであり、リアルタイムで車内映像と位置情報を監視するのは新しい。

 深圳市交通委員会関係者によれば今のところ運転手がもし事件に遭遇した場合、110番通報することが多いとのこと。車内には通報装置があるが、繋がっているのは交通委員会と各企業のシステムであり、110番した方が速いようです。実は、日本では交通整理は警察業務ですが、中国では別だったりします。日本と比べれば「なんでも警察業務」の中国では、珍しいケースですね。

 「深圳市インターネット配車タクシー経営服務管理暫定弁法(深圳市网络预约出租汽车经营服务管理暂行办法)」によると、ネット配車車両には「国家、広東省、深圳市の技術基準あるいは技術規範に合致する、行程記録、車両衛星位置システム、緊急通報等の端末設置」が定められている。

 もし自家用車を使うのなら、ふつうは車載端末が設置されていないので、持ち主が4,000元(約6万7千円)近くかける必要があるという。深圳市交通委員会によれば、深圳ではすでに3万台以上の車両に運輸証を発給、これらの車両は全て端末の実装を完了しているという。

 「日本よりも新規ビジネスの規制が緩い」といわれる中国ですが、ちゃっかり監視強化費用を民間、個人事業主に負担させるあたりも「さすが」です。

 これまで「監視カメラ」といえば警察関係のものを主に紹介してきましたが、交通委員会主導ということは、どちらかと言えば渋滞予測システムなどの方が主眼なのでしょうか?いずれにせよ、プライバシーはかなりの程度犠牲になりますね。

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