弊誌はアフィリエイト広告を利用しています。

ファーウェイ・レノボがアップルと夢の共闘!スマホメーカーを苦しめる「クアルコム税」の暴虐

「クアルコム税」米政府が審理、証人オールスター出廷

 ハードウェアの部品やソフトウェアで圧倒的なシェアを1社が握っている場合、その使用料が「○○税」と表現されたりしますが、チップでは「Qualcomm税」なるものが悪名高く伝えられています。

 Appleが「Qualcomm税」に反発し、全世界で両社による訴訟戦争が発生、Qualcommが中国市場でのApple一部製品の販売差止め仮処分命令を勝ち取ったのは、既にお伝えしたとおり。

[Assignment_ FTC_2005_54820_11] Federal Trade Commission - Bench Photo [40_CFD_FTC_2005_54820_11_DSC_0558.JPG]

 このほど、米国連邦貿易委員会(FTC)は、Qualcomm社がスマートフォン及び部品業界の競争に損害を与えている嫌疑について最近審理を開廷、その初日、重要証人として中国企業の華為(Huawei)と聯想(Lenovo)が証言し、注目が集まっているそうです。Appleにとっては頼もしい援軍です。

 続いて台湾MediaTek、米国Intel、Appleまでもが出廷し、それぞれ法庭でQualcommによる独占行為の存在を訴えることになっていると、中国国際電子商情が伝えました。もはやオールスターですね。

クアルコムによる暴虐、各社に証言される

Huawei「チップ供給を停止すると脅された」

Qualcomm-logo

 業界内でQualcomm社による「Qualcomm税」はとっくに悪名高く、今回、多くの科学技術大手が協力一致して包囲網をしき、「暴虐の数々」を暴こうとしているのだとか。華為、Lenovo、Apple、Intel、MediaTekって、ものすごいメンツですよね。負ける気しません。

 ロイター社によると、華為の高級法律顧問は同審理で、もし特許使用許可協議にサインし、チップを購入する前提のもとに許可料を支払わなければ、チップの供給を停止するとの脅迫をQualcomm社から受けたと証言。

 また、更に酷いものとして、もし華為が他社からチップを購入した場合、Qualcommに対して更に高額な所謂「忠誠税」を、CDMA(無線通信方式の一種)の特許使用料から徴収する、というもの。

 つまりこういうことですね。

Qualcomm

Huaweiがウチからチップを買わないなら、チップ以上の金額を特許使用料として徴収するもんね~

 うーん、これは暴君。

Lenovo「チップ供給遅延で報復される」

 Lenovoの知的財産権副総裁・Ira Blumbergは法廷にビデオ出演し、「Qualcommは過去に法律条項への挑戦を試みる顧客に報復をしたことがある、方法はチップ供給の遅延あるいは切断だ」、「我々はQualcommが実際に供給を停止する脅威が存在するか知らないが、しかし我々はこのリスクを負うことはできない」と証言したそうです。

AppleやXiaomi、OVも被害

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 華為以外にも、Appleを含む大手スマホメーカーは同様の「脅迫」を受けており、中国国内の小米、OPPO、vivo等の出荷量が膨大なメーカーも、同じように不平等契約の洗礼を受けているのだとか。

出廷するメーカーしないメーカー、なぜ?

Huami-OV-Xiaomi-Logo

 なぜ小米、OPPO、vivoなどその他の中国メーカーは、この機会にQualcomm包囲網に参加していないのか?これは各メーカーの実力と策略が関係しているといいます。

参加:Huaweiの場合

 たとえば、華為は既にCPUチップでは比較的成熟した「麒麟(Kirin)チップ」、ベースバンドチップでは「巴竜(balong)チップ」を擁しており、完全に自給自足することはできないにせよ、華為の訴えはQualcommがCDMA等で保有している特許障壁に対するものであって、少なくともQualcommからとられるカネを減らそうというものであり、よって華為は直接Qualcommと対峙することを決意したのだとか。

参加:Lenovoの場合

 Lenovoの場合、主要な事業はスマホではなくノートパソコンであり、スマホの市場シェアはほとんど計算に入れなくてもいいレベル。さらにQualcommによって年貢を徴収されてしまうと、Lenovoのスマホ事業はきっと黒字が出ないもので、中国4大メーカーの天下では、Lenovoのスマホは非常に苦境にあるといいます。ノートパソコンのチップの多くはIntelのものであり、今回LenovoがQualcommと事を構えたのは、Intelが影でそそのかしている可能性も排除できないとか。

非参加:XiaomiとOV、依存度が高すぎ

xiaomi-mi-home

 今回証言台に立たない小米、OPPO、vivoなどのメーカーは、スマホが疑う余地もなく主要製品であり、90%の営業収入と収益に寄与していることから、これらのメーカーはQualcommのご機嫌を損ねることができないのだといいます。生々しい話ですね。

もしもクアルコムが中国メーカーにチップ供給を停止したら?

 「もしQualcommが中国スマホメーカーに供給を停止したら?」という仮定について。業界に大地震を引き起こすだろうといいます。

 まずは中国4大スマホメーカーのなかで、Qualcommへの依存度が最大の小米。小米のハイエンドモデルは完全に、ミドルレンジ、ローエンドモデルの大部分もQualcommを使用しており、小米自身もチップ「松果」を作っているものの、第2世代の情報は遅々としてなく、技術レベル、チップ性能はQualcommと比較することができず、Qualcommが供給を停止すれば重症を負うと指摘します。

 小米ほど困りはしないものの、OVへの影響も大きいといいます。OVはQualcommのフラッグシップチップには依存していないものの、Qualcommのミドルレンジ、ローエンドチップへの依存度はやはり高いとか。もしQualcommが供給を停止すれば、OVはMediaTekやSamsungという選択肢があるものの、OVの年間出荷台数は合計2億台前後にもなることから、MediaTekやSamsungにこれだけ生産してくれと言ったところで無理な相談であり、さらにMediaTekとSamsungのチップ性能もQualcommには及ばないといいます。

総評

 「Apple製品が中国で販売禁止」というニュースが伝わったときは、米国による華為製品締め出しへの報復を連想しましたが、この件で華為とAppleは「反Qualcomm同盟軍」というのは、なんとも面白い話だと思います。一方で、Qualcommを恐れてこの同盟軍に加わることのできないメーカーが多い、というのは世知辛い話ですね。

すまほん!!を購読しませんか?

Twitterでも最新更新を配信・通知しています

フォローする 再度表示しない