2019年の特筆すべきスマートフォンといえば、ソニーのXperia 1と、AppleのiPhone 11 Proシリーズです。いずれも製品の特徴として映画を挙げています。
たとえばXperia 1は、映像業界の基準機であるマスターモニター品質の4K有機ELディスプレイを有し、BT.2020の色域にも対応。業務用カメラCineAltaチームと開発したCinemaProアプリにより、映画撮影が可能。
そして、まるでこのXperia 1に対抗したかのような機種が、AppleのiPhone 11 Pro / 11 Pro Maxです。「映画制作の標準となる広色域に対応」と謳う高品質のSuper Retina XDRディスプレイを搭載、カメラデザインは往年のターレット式の3連シネマカメラへのリスペクトでダサカッコイイ。iOS13の時点で、動画を映画っぽい色調にする編集機能も追加されていましたが、iPhone 11 Pro発表会では、プロ向け動画撮影用の有償iOSアプリ「Filmic Pro」推し。
映画配給や業務カメラを作っているソニー。このソニーのファンが共同創業者で、Apple TV+で自ら映像制作とビデオオンデマンドサービスを手掛けるようになったApple。最近ではMac Proと共に発表した6K液晶モニターPro Display XDRでは、発表内でソニーのマスターモニターをあげつらうなど、対抗意識を燃やしていました。
奇しくも似てしまったと言うべきなのでしょうか。どちらも映像、オーディオビジュアルを好きなマニアを唸らせる、尖っていて素晴らしいスマートフォンであると感じます。
ところが、どちらもスマートフォンとして致命的な問題を抱えており、常用に耐えない場合があります。
Xperia 1の側面配置の指紋認証センサー。当初は問題なかったのですが、夏にアップデートを適用した辺りからか、指紋認証が頻繁に失敗。
成功する時はしばらく問題ないのですが、失敗するようになる周期があるのか、失敗する時は頻繁に解錠失敗が起き、「所定の回数以上間違えました」と表示されて、イラッと来ることがしばしば。指紋認証を再設定すると、しばらくは良いのですが、やはり使っているうちにダメになります。初期化しても、こうした症状を根本的に無くすことはできませんでした。一説には、混在する指紋認証センサーのメーカーのうち、一社のものがアップデートでおかしくなったというものがあります。
このため、設定→ロック画面とセキュリティ→Smart Lockから、指紋認証を必要とする機会を最小限にして使っています。ここから持ち運び検知や顔、場所、Bluetoothデバイスを設定しておきましょう。指紋認証せずとも画面ロックを解除できる機会が増えます。
とはいえ、顔認証は所詮インカメラなので精度は低く、Smart Lockでは解錠できないことも多々あり、結局は指紋認証センサーを使うことになります。メイン機には到底できないなぁと思います。やはり、日常的に非常に高頻度に使用するのが生体認証ですからね。ここはしっかり、サクッと解錠できて欲しいものです。
その点、iPhone 11 Proは、指紋認証センサーが付いたわけでもなく、搭載するのは顔認証のみ。未だに横画面時に顔認識による解錠をできず、やや不満の残る出来。とはいえ、iPhone X→XS Max→11 Proと使ってきて、縦持ち時の解錠精度・解錠速度はずいぶんと改善されたので、以前ほどはストレスを感じません。
しかし致命的なのがドコモ回線やau回線で圏外になる事象。
移動中などに、突然圏外になり、しかも一度圏外になると、機内モードオン/オフでは復帰できず、再起動をしないと治らないのです。これが頻繁に起きるとの報告が、特にドコモ回線ユーザーに集中しており、筆者も遭遇。基地局の切り替えで何らかのポカをしがちなのでしょうか。最近ではiOS設定画面のドコモのモバイルデータプランの欄が文字化けするという報告も多数上がっており、とにかく酷いの一言。
筆者は最近は諦めてSoftBank回線で運用していますが、特に問題もなくストレスフリーです。
似たような尖ったコンセプトを取り入れた、今年の素晴らしいXperiaとiPhoneの旗艦級モデル。しかし、使い物にならない場合があるのは本当に残念。いくら他の部分が優れていても、生体認証や通信は日常的に不可欠な機能であるだけに、そこで不具合を抱えているのは致命的。早急にアップデートで修正してもらいたいものです。