VAIO株式会社は、性能とセキュリティを強化した「VAIO SX12」および「VAIO SX14」の新モデルを発表。同時に、新開発「隠し刻印キートップ」を選択可能な「ALL BLACK EDITION」と「RED EDITION」も発表しました。
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新開発「隠し刻印キートップ」
攻めすぎた?無刻印
漆黒のカラーリングが魅力の「ALL BLACK EDITION」には、キートップから一切の刻印を取り除いた無刻印キーボードが用意されました。
まさかのキートップまでもブラックにするとは、利用中に周囲の人も驚かせることができ、所有欲を掻き立てる攻めた仕様ではあるものの、自分からもキーの刻印が見えないことから、やや攻めすぎた感もあります。
自分からは見える、遠目からは見えない魔法のキー刻印
所有欲だけではなく使いやすさも両立するのが、新たに開発した「隠し刻印キートップ」。これは自分からは見えるが、遠目からはほぼ見えなくなる、相反するものを実現したキーボードになっています。実は2年もの試行錯誤、開発期間を経ているのだとか。
VAIOの通常のキーでは、印字はレーザー方式です。レーザーで文字部分を抜いて下の白色塗装が見えている状態になるわけですね。そうした刻印した後に、指紋がつきにくいフッ素含有UV硬化塗装を施します。
ちなみに印字をレーザーではなく単に印刷する方法もあるものの、密着面積が小さいため、剥げやすいというデメリットが生じます。だからVAIOは、耐久性を求めてあくまでレーザー印字にこだわっているというわけです。
単に下層を白ではなく灰色にする、というだけではダメだったようです。なぜならレーザーの特性上、色が黒になればなるほど吸収しやすくなるため、レーザーを一番上に当てると、下の層まで削られてしまうのです。これではムラのある印字になってしまったといいます。
このためしっかりと印字するため、下の層に、特別調色の明度の高い黒塗装を2層施し、レーザー照射回数も2回に増やすことで、納得の行くコントラストや文字の輪郭を出せるようにしたとのことです。
VAIO SX12 / SX14 ALL BLACK EDITION
この「隠し刻印キー」を選択可能なVAIO SX12 / SX14 ALL BLACK EDITIONが登場。発売日は2020年1月31日。
キーボードはUS / 隠し刻印US / 日本語 / 日本語隠し刻印から選択可能。CPUはCore i7のみ。本体もパッケージングも黒色で統一されています。
VAIO SX12 / SX14 RED EDITION
「メイドイン安曇野」塗装に徹底的にこだわり抜いた赤
VAIO SX12 / SX14 RED EDITIONが登場。数量限定で2020年1月31日発売。
赤と黒が基調。「他人が持っていない、VAIOだからこその機種が欲しい」というファンに届ける、VAIOならではの色であるといいます。VAIO S11 Redではできなかった隠し刻印キーボードも選択可能。パームレストは、ベースはシルバーですが、特別溶液でアルミを長時間研磨して輝度を高め、その上で通常の2倍以上の時間をかけてじっくり染色することによって、濃厚で鮮烈な赤を表現。
天板はカーボンを3度の塗装をしています。UDカーボンの上に、メタリックを含んだピンク、その上に半透明のレッド、さらにその上にUV塗装。一枚一枚磨いたり選別したりと言った手間が相当かかっているといいます。3層塗装は、下の層の傷やムラを通してしまう上、塗り直しが不可能。
大変な塗装ですが、しっかりとした赤色を表現、光の加減によって異なる表情を見せてくれます。ちなみに天板とパームレストの染色には安曇野の提携企業、つまり立地的に近い国内メーカーが密接に携わっているそうです。外装はまさに「MADE IN 安曇野」といったところでしょうか。
メーカー直販のVAIOストアでは、RED EDITION購入時限定のPCケースを販売。イタリア・トスカーナ産植物タンニンなめし革を贅沢に使用したレザーケースで、裏地は焦げ茶色、縫製糸は赤色。
実は昨年にも?VAIOあれこれ
実はVAIO SXシリーズのレッドエディション、既に昨年、海外モデルとして存在してました。中国のZackbuks氏や海外レビュワーなどが実機の写真を上げていたので「何だこのカッコイイのは!?国内だとVAIO S11 Redはあったけど、こんなの無かったよな……」と疑問に思っていました。
このため、筆者が今回の取材で絶対に訊かなきゃ……と思っていたのは「SXのRED EDITION、国内では出さないんですか?」だったので、なんと一番の質問が綺麗に解消されてしまったというわけです。いやはや、嬉しい誤算。
ちなみに2019年時点で赤色を海外市場に投入していた理由として、中国市場での引き合いがとても強かったのだといいます。確かに中国の縁起色といえば赤色ですものね。(中国メーカーOne-NetbookもOneMix 3シリーズの最上位モデルとして赤色の『Koi Edition』を投入しています)
ちなみに、2019年にVAIOは国内でもプレミアムカラーのモデルを投入しています。それが勝色特別仕様です。鎌倉時代から武士が好んで武具に用いた縁起色をテーマとし、漆器を彷彿させる美しい仕上げ。こちらも日本人好みの非常に素晴らしいテイスト。
VAIO設立5周年記念としてはこれ以上に相応しい色は無いでしょうから、昨年日本国内では赤色ではなく勝色一本で勝負したのは正しい判断だろうと思います。
とはいえ、「赤色の製品」と聞いて、特別な一台を思い浮かべてしまうファンも少なくないはず。(読者の皆さんは、Xperia PやXZ Premiumでしょうか?)勝色もいいけど、赤色のVAIOが良い!というユーザー、待望のRED EDITIONです。
2013年当時のRED EDITIONのあったソニー時代のVAIO Proは、打鍵感もイマイチでタッチパッドの使い勝手も悪く、モバイルネットワークも非対応で生体認証もないなど、「美しさのために色々我慢して使う」必要がありました。また、2018年のVAIO S11 RED EDITIONは「嬉しいけど、ベゼル太いしUSB Type-Cポートが無いし……」と悩ましいところでした。
ところが最新のVAIO SX12 / SX14なら打鍵感もタッチパッドも良好、SIMフリーのLTEモジュールに生体認証もアリ。ベゼルも狭くてかっこよくて、当然のように Type-C。極めつけは最新の第10世代プロセッサ搭載で、パフォーマンスを最大限引き出せるようチューンされていますから、何も我慢する必要もなく美しい機体を堪能できるわけです。普段使う道具として不足ナシ。
ちなみに取材中、VAIOブランドの新アクセサリーのUSB Type-C ドッキングステーションに「これでGPUまであればZ(9年前のパソコン)だよなぁ……」と何気なく言ったところ、なんと開発陣にあの機種の開発者が現役でいらっしゃって、規格外ゆえに止められつつも実現に奮闘した苦労話を聞けたのが印象的でした。外では薄型軽量ノート、家では光学ドライブ/GPU内蔵ドックに繋いでハイスペックというあのコンセプト、あまりにも先進的すぎて当時でこそ規格外でしたが、今ようやく時代が追いついてきてますよね。
「あの名機、あなたが作ってたんですか……!」と度々驚かせてくるVAIO株式会社。創業5年の中小企業とは到底思えないほど、とんでもないベテランを多数抱えており、彼らが今でも現役バリバリで製品を作っているというのは、間違いなく比類ないアドバンテージ。今後のVAIOが、歴史に残る新しい名機を生み出していくことに期待したいところです。
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