2年前、LGの擬似4K液晶テレビを購入しましたが、特別定額給付金が入るとのことで有機ELテレビの購入を検討していました。
ヨドバシカメラ秋葉原で品定めをしていたところ、LG製のC9Pがタイムセールにて16万8000円と比較的安価で販売されていました。勢いで購入しました。レビューします。
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C9Pシリーズとは
LGより販売されている2019年モデルの有機ELシリーズの一つがC9Pです。最上位のSIGNATUREシリーズの次にラインナップされるE9Pシリーズ、そして次にC9Pシリーズ、最下位のB9Pシリーズです。SIGNATUREシリーズはデザインや設置面で難があるので置ける家が限られてきますが、E9P以降は賃貸でも置ける一般的なテレビのデザインです。
C9Pシリーズを選んだ理由としてはコスパが良いと感じたからです。映像処理エンジンはLGの最上位モデルのSIGNATUREシリーズに採用されるα9 Gen2をC9Pにも搭載しています。そしてひとつしたのB9Pはα7 Gen2とワンランク下のエンジンが搭載されています。それでいて価格差がそれほどありません。それなら、C9Pを買うのがベストだろうと判断しました。
話がだいぶ逸れました。製品の紹介をすると、Dolby Atoms、Dolby Visionに対応しています。別途スピーカーを用意することなく1台で快適に映画やVODを楽しめます。HDMIポートは4つ搭載され、すべての入力で4K信号に対応し、1ヶ所はARCにも対応しています。チューナーは地上波が3つ、BS・CSが3つ、4KBS・CSが1つ搭載されています。USB端子は3つ搭載されており、録画はもちろん映像データを入れておけば再生することもできます。
OSにはWeb OS 4を搭載しており、アプリストアからNetflixやAmazonプライムビデオ、Spotify、YouTubeなどインストールすれば再生することができます。つまりChromecastやFire TV Stickいらずってワケ。
またAppleのAirPlay 2、HomeKitに対応しています。Apple TVを用意しなくてもiPadの画面をミラーリングすることができます。更にGoogle AssistantやAmazon Alexaによる操作も対応しています。Miracastにも対応しているので、AndroidやWindows PCなどもケーブルレスで接続できます。
IoTとの親和性も最強、iOS、Androidなど様々なデバイスとも最強のテレビというわけです。
開封
今回は自分での設置ではなく、ヨドバシカメラに設置を依頼しました。設置料金は1000円と頼みやすい価格です。内容物は説明書、保証書、マジックリモコンの説明書とシンプルです。
有機ELディスプレイ
2007年にソニーが世界で初めて発売した有機ELテレビ。当時は11インチで20万と高価でした。2013年にはLGが大型有機ELの量産に成功し、55インチの有機ELテレビを発売しました。価格は100万円と買えるわけない、一体いつ買えるようになるのか。しかしわずか6年ほどで一般家庭でも購入できる値段になりました。技術の進歩とは恐ろしいものです。
さて、そんな有機ELですが何がすごいのか。よくわからないまま使っている人も多いと思うので簡単に解説します。
真の黒を表現できる
液晶は黒を表示するとき、カラーフィルターを全部OFFにした状態でもバックライトが店頭したままのため、完全な黒を表現することができません。近年は技術の向上もあり部分駆動ができるようになりましたが、完璧ではありません。
しかし、有機ELは画素ひとつひとつを制御できるので、完全にOFF、つまり真っ黒にできます。そのため高いコントラスト比を実現できます。真っ黒な状態ではベゼルとの境界線も分かりにくいです。有機ELが綺麗と言われるのはこれが大きいです。
以前利用していた製品では安価な製品のためバックライトにムラがありましたが、有機ELテレビではそのようなムラがなくきれいなのが良いですね。
応答速度
有機ELは液晶と比べて応答速度が速いことが挙げられます。そのため残像感が少ないので、スポーツや動きの激しいゲームなど快適に楽しむことができます。また、温度の影響を受けないのも良いところです。
薄型化
液晶と違い、部品が少ないので薄型化が可能と言われています。LG最上位のSIGNATUREでは壁に貼るような薄さのテレビも発売されています。
C9Pは?
なんと表現したらいいのか言葉が見つかりませんが、めちゃくちゃ綺麗です。Netflixで4K HDR作品を視聴したり、手持ちのBDディスクをPS4 Proで再生してみたりしましたが、今までみた作品をもう一度見返しても別作品のように感じるくらい綺麗です。
自作した映像をUSBから再生しましたが、もう文句のない発色です。白飛び黒つぶれなく、綺麗に階調も表示してくれます。創作意欲がどんどん湧いてきますね。
輝度も十分高いので、部屋のライトをつけっぱなしでも快適に視聴できます。4K HDR動画を再生すると、輝度が自動的に上がりより綺麗に映像を楽しむことができます。部屋を真っ暗にして再生すれば自分だけの映画館が誕生します。もうニヤニヤが止まりません。
スピーカー
筆者はAVアンプを利用して5.1chの環境を整えているため、内蔵スピーカーは使う予定はありませんでした。しかし、Dolby Atmos対応、バーチャル5.1に対応していると聞いたので内蔵スピーカーで試しに使ってみました。
適当に地上波放送を視聴したところ、普段は薄っぺらい地上波も一気にサラウンド感が増しました。後ろにスピーカーがあるような錯覚を得ます。スピーカーは一切見えないにもかかわらず、画面の真ん中から聞こえてきたり、バーチャル5.1も伊達じゃないなとおもいました。
しかし、音質としてはもう一声欲しかったところです。センタースピーカーのように感じるところはやや明瞭感に欠けます。とはいえ、ひと昔前の内蔵スピーカーと比べれば十分なレベルかとおもいます。
音声出力にはHDMIを利用したARCに対応し、光デジタル端子も搭載しています。筆者の環境では光デジタル端子を経由してAVアンプに接続しています。通常は光デジタル端子を経由して音量調節はできませんが、Web OSに搭載されているデバイスコネクターという機能を使い、AVアンプのセッティングを行うと、マジックリモコンからアンプの音量を変更することができます。おそらく、マジックリモコンにアンプをコントロールできる赤外線を登録して、操作できるようにしているようです。
マジックリモコン
LGのテレビには他社のテレビリモコンと違い、特殊なリモコンが用意されています。それがマジックリモコンです。
片手操作に特化し、ボタンも最小限にしています。こんなにボタンが少なくて操作ができるのか?と不安になりますが、様々な工夫が凝らされています。
一般的なリモコンに多い、再生、早送り、字幕切替、音声切替などは排除されています。ではどこで操作するのかといえば画面内です。スマホやタブレットのように画面内にボタンが用意されています。最近はこのようなUIに慣れている人も多いので、このタイプの方が慣れやすいのではないでしょうか。
しかし、その分十字キーを押す回数が増えてしまい手間になるのではないか、と思われますがここからが“マジック”の本領です。マジックリモコンはリモコンを振るとマウスのようにカーソルが出てきます。リモコンをWiiリモコンのようにして操作することができます。なので、ボタンを数回押さなくても手首を動かすだけで、目的にボタンをすぐ押すことができます。
もちろんいいこと尽くしではありません。例えば録画リストの表示。リモコンのボタンにもなく、番組表を見てもないです。黄色ボタンを長押しでサブメニューが開ますがそこにもありません。一体どこにあるのかヘルプを読んだところ、適当な画面でリモコンを振って、カーソルを左端へ持っていきます。すると録画リストが出てきます。何考えたらこんなUIになるんだ?
これもカバーできる機能があります。お好みボタンといって、数字キーを長押しすると好きな機能を割り当てることができます。例えば従来のリモコンなら入力切替に入力切替→十字キー→決定と手間がかかりますが、入力1をお好みボタン1に割り当てれば1を長押しするだけで、入力1に切り替わります。録画リストもこの機能を使えばカバーすることができます。
ボタンが少ない分、いろいろ考えられて作られています。お好みボタンを使えばボタンに好きな機能を割り当てれるので、この点でも他のリモコンより便利かなとおもいます。
WebOS
LGのテレビにはWebOSというOSが搭載されています。WebOSはスマートフォンやタブレット向けのOSとして開発されていましたが、2013年にHPから買収し翌年にスマートテレビ向けOSとして利用されました。最近のテレビではSonyやSHARPはAndroid TVを採用、PanasonicはFirefox OSを採用しています。
以前利用していたLGのテレビではこのようなことがありました。
店頭のハイエンドモデルでは快適だった操作も、本機の安価なモデルでは快適とは言い難い応答の遅さ。ソフトウェアが良くてもハードウェアがスペック不足では意味ありません。YouTubeで4K HDR動画を10分ほど再生していると“メモリが不足しているのでアプリを再起動します”との表記が。またブラウザーを利用した時も同様。これらのソフトウェアに対し、明らかなスペック不足なのです。テレビを見ている時に落ちる、ということはありませんが、ネットワークサービスを利用していると、このような事案がまれにありました。
ゆえにLGのテレビはやや不安でしたが、最初にホームメニューを展開したときの反応の速さに思わず笑ってしまいました。
NetflixやAmazonプライムビデオを何時間も流しましたがメモリ不足の文字を見ることなく、筆者が寝落ちしてしまいました。やはりハイエンドモデルは動作がめちゃくちゃ快適です。ブラウザーの動作はやや重たいのですが落ちることはありませんでした。FireTV Stick 4Kも利用していますが、それよりサクサク快適に動きます。
映像処理エンジン、α9 Gen2
高いテレビで期待したいのが映像処理エンジンです。本機も昨年のハイエンドと同等のα9 Gen2エンジンを搭載しており、かなり期待できます。
TruMotionはやや滑らかになったかな?と感じる事はありましたが、エンドロールやキャラクターが動くシーンになると、たまにブレが見られます。
ドラマを再生していてもたまにおかしなブレが起きるので、これはオフでいいかなと思います。相変わらずLGは映像処理エンジンが弱いなと感じました。
Google Assistant/Alexa/HomeKit対応
LGの2019年以降のモデルはすべてGoogle Assistant、Amazon Alexa、Apple HomeKitに対応しています。
Google Assistantを立ち上げるにはマジックリモコンのマイクボタンを長押しで立ち上がります。初期設定を済ませれば、Google Homeアプリでしっかり認識できるようになります。
Amazon Alexaを立ち上げるにはLG Contents StoreからAmazon Alexaアプリをダウンロードします。その後Amazon Prime Videoボタンを長押しします。するとAlexaが立ち上がります。
Google Assistant/Amazon Alexa両方とも音声操作によるテレビのコントロールが可能です。お好みで好きな方を選べるのはとても良いですね。テレビによってはGoogle Assistantのみ、Amazon Alexaのみ対応などありますが、LGは自由に選べます。
また更にApple HomeKitにも対応しています。Apple HomeKitは対応している大手テレビメーカーではLGかSONYしかありません。HomeKitに対応すると、iPhoneやiPadのホームアプリからコントロールできるようになります。
そしてAirPlay 2も対応しています。iPhoneやiPadはもちろん、Macのディスプレイをミラーリングしたり、ディスプレイ拡張をすることができます。テレビで見るためにわざわざLightning-HDMIの変換やUSB Type-Cの変換など一切不要でワイヤレスでできます。Apple TVいらずになるので出費も減ります。動作も不満が出ることはなく、コマ落ちすることなくミラーリングできました。
このようにIoT重視ならLGのテレビで間違いないかと思います。
レコーダーは不要
C9PはUSBポートが3つ搭載され、外付けHDDを接続すると録画することができます。しかもC9Pは地上波チューナー、BS/CSチューナーがそれぞれ3つ搭載されているので、2番組を同時録画しつつ別番組を視聴することができます。ただ要注意なのが4K BS/CS放送も録画できますが、4Kチューナーは1個のみなので、録画中は他番組を視聴できません。
4K BS/CSに対応
初期に4Kテレビは4K BS/CS放送を受像するためのチューナーが搭載されておらず、視聴するには別途チューナーか、レコーダーを用意する必要がありました。本製品はテレビに4K BS/CSチューナーを内蔵しているので、アンテナさえあれば別途用意することなく繋げるだけで、4K放送を視聴することができます。
筆者も4K放送を受像できるようこの度BSアンテナを設置しました。これに関しては後日記事を書かせていただきます。
最強のテレビで優勝していくわよ
C9Pにはゲームモードが搭載されており、ゲームモードに切り替えると映像処理エンジンをすべてオフにすることができます。それにより公称1msという応答速度で利用することができます。色はきれい、バックライトのムラもない、それでいて応答速度は1ms。PS4 ProやXbox Oneシリーズなら4K HDRで低遅延でゲームが楽しめます。PS5ならよりきれいに楽しめるんだろうなあと今からワクワクしています。
なお、PS4 Proでレインボーシックスシージをプレイしましたが、めちゃくちゃキレイでテンションは上がりましたが、キル数は上がりませんでした。1msのディスプレイを使ってキル数が伸びるならみな買い替えますよね……やっぱ腕は大事です。
総評:今すぐ買え!!
ディスプレイは綺麗、動作も快適、機能も大満足。それでいて17万円で購入できる未来。買う以外の選択肢はないですね。
Sonyや東芝と比較すると映像処理エンジンの面で劣りますが、めちゃくちゃ気になる、不満もなく、おおよその映像では満足して視聴することができました。
世界で唯一大型有機ELを量産できるLGだからこそ、このクオリティをこの安価で販売できます。IoTとの親和性も最強、見た目もディスプレイも最高。これ以上何を求めればいいのかわかりません。
有機ELの焼付きや寿命が気になる人もいるかと思いますが、C9Pはこれを防止するために一定時間で映像を動かすようにしているようです。また、アプリや設定などを操作しているときに数分放置しているとスクリーンセーバーが自動で立ち上がります。これらの保護機能があるので、焼付きは心配なく寿命も期待できると思います。
政府から支給された特別定額給付金で夢の有機ELテレビ、いかがですか?
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