公正取引委員会は、携帯電話市場における競争政策上の課題についての報告書を公表しました。
携帯大手三社は、スマホ本体代金の割賦(個別信用購入あっせん契約、いわゆる『分割払い』)での販売を行っています。現状として、この価格の上限額設定を代理店で設定できず大手三社が決定、販売代理店の端末仕入れ価格がMNOのオンライン直販価格や割賦払いの上限額と同一になっていると指摘。
MNOから各種支援金が支払われないとMNOオンライン価格を下回る価格で端末を販売できないと考えられるといいます。
前述の端末販売方法を通じてMNOが販売代理店の端末販売価格を拘束していると判断されれば独占禁止法上の問題が生じるおそれがあるため、販売代理店が価格を自由に決められるよう周知や見直しが望ましいとしました。
これについて大手三社は、割賦払いの上限額と販売代理店の仕入価格に差額を設けることを検討すると回答。
また、大手三社は一定期間経過後に端末を返却することを条件に、割賦残債を免除する端末購入サポートプログラムを提供しています。改正電気通信事業法でセット割値引き2万円上限に限定されているにも関わらず、携帯大手は「他社ユーザーでも利用できる」として、2万円以上の残債免除を行っています。
しかし回線非契約者でも利用できることが広告ではわかりにくい、調査の結果そのように認識できていない顧客が多い、KDDIとSoftBankはオンラインで回線非契約者への端末購入サポートプログラムを提供していなかった、総務省調査では非回線契約者への端末購入サポートプログラム提供拒否が確認されたなどの実態を指摘。事実上回線契約者向けとして機能している可能性があると結論づけました。
もし事実上のセット割であると評価され、これが他キャリアの事業活動を困難にさせる時には独占禁止法の私的独占になるおそれがあると指摘しました。さらに端末購入サポートプログラムが消費者に契約変更を断念させることで消費者の選択権を事実上奪うものと判断される場合で他事業者の活動を困難にさせる時には、独占禁止法の私的独占・取引妨害になるとのこと。
携帯ショップを運営する販売代理店はMNOを通さずに独自に仕入れて店舗で販売することが表向きに認められているはずであるものの、販売代理店に調査した結果あまり認められていない実態が浮き彫りとなりました。
これについて大手三社の一部は幅広い独自サービスの展開を可能とする予定との指摘があったといいます。