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ファーウェイ、ついに「Harmony OS 2.0」を欧州市場に展開へ

 「中国電子報」によると、華為コンシューマー業務の中東欧・北欧・カナダ総裁Derek Yuはこのほど、華為(Huawei)は来年(2022年)、欧州のユーザー向けに鴻蒙(Harmony)OSをリリースすると明らかにしました。

 Windowsも撤退し、スマホOSはAndroidかiOSという現状が固定化されたかのように見える現状、米中貿易戦争というアクシデントにより爆誕してしまった華為独自OS、Harmonyですが、「本当に展開が始まっている」「本気で欧州市場に突っ込むつもりらしい」のは、「おお、華為、マジでやる気だ」と、個人的に苦笑を禁じえないところ。

 ともかく、色んな意味で注目のHarmony OSですが、現状と展望はどうなっているのか?「中国電子報」(中国政府情報通信部門公式メディア)報道をもとにお伝えします。

中国市場でユーザー数1億人を突破

 現状、華為のHarmony OSは主に中国市場で展開されており、海外地区の大部分はAndroid OSをもとにしたHMSサービスアプリを使用しています。

 華為は今年6月、 Harmony OS 2.0を発表。華為公式発表の最新データによれば、12月2日現在までで、 Harmony OS 2.0は141種類の端末でアップデートされ、そのうち135種類の端末では正式版アップデート、残り6種類の端末ではテスト段階とのこと。現時点で、 Harmony OSは中国市場でのユーザー数1.2億人を突破、アップデートされた端末数は1.5億台になるとのこと。

 業界関係者によると、Harmony OSがわずか数ヶ月でユーザー数1億を突破したのは「不可能」を「可能」にしたもので、華為Harmony OSのスマート・オペレーション・システム全体への理解と、その研究開発力、ひいてはエコシステムの展開全体を把握するために、大きな意義を持つものであるといいます。10月に開催された華為開発者大会では、Harmony OS 3.0開発者バージョンが発表され、来年第1四半期にβテストが開始される予定だそうです。

 中国電子報によると、Harmony OSはユーザーからのフィードバックをもとに、Androidからの遷移後、全体の性能10%向上を実現しているとしています。

 「艾媒諮詢」首席アナリスト張毅は、中国電子報の取材に対し、「華為が海外でHarmony OSをリリースするのは早晩の事で、来年は比較的ピッタリの時機だろう。Android、iOSによるOS独占を打ち破ることが期待できる」と答えています。

スマホOS「天下三分の計」は成功するか?

 同紙は、もし華為が欧州市場でHarmony OSをリリースした場合、Harmony OSの成長と応用が加速すると指摘。華為にとって、海外でHarmony OSをリリースしたあと、直面する問題は全体のエコシステムの展開とコントロールだといいます。

 「華為は本来OS開発会社というよりも、情報通信技術分野での強大な操縦者だ」と前出アナリスト・張毅は指摘します。「華為は端末建設と設計で大きな発言力があり、まず上流のネットワーク建設、ネットワーク標準で比較的強い発言力がある。下流のスマートエコシステムとを、Harmony OSが全体をつなぐ中間的な接点となる。これは今後、Harmony OSがスマート端末において、自動車、家具、家電、日常取引やオフィスなどの領域で全方位かつシームレスにリンクし、一つのエコシステムを構築することが見込める」と述べています。

 この十年間、全世界の端末OSは、AndroidとiOSにより独占されており、2020年の中国市場でのシェアはAndroid83.3%、iOSが16.6%。Harmony OSの展開により、「天下三分」の局面が出現するのではといいます。

中国国内で浸透する実力は十分?

 英国の情報通信市場調査会社・Omdiaのコンシューマー端末首席アナリストDavid Tettは、「華為の規模、中国国内市場と財務影響力から見て、華為は国内で新たなモバイルOSを展開する能力があり、海外市場に目を向けると、これまでBlackBerry OSやWindows Phoneが実現できなかった、AndroidとiOS以外の第三の選択肢になる可能性がある。華為とHarmony OSはメディアとソフトウェア企業が、注目と資源を投入しなければならない新たなプラットフォームになるだろう」としています。

 また、前出張毅は、「Harmony エコシステムの構築は、これまでのどのOSよりも多くの創造空間を有している。Android OSは端末のスマート化の問題を実現したが、横方向の広がりから、更に深い成果は少ない。iOS、Windows OSは基本的にスマホあるいはPCのスマート化という方向だ。Harmony OSの海外での普及は、紆余曲折があるかもしれないが、華為のエコシステムに大きな影響を与えるだろう」と言います。

まとめ

 世界トップクラスのスマホシェアを誇りながら、AndroidとGMSの供給を停止され、自社OSの開発を迫られた華為がひねり出した、世界注視(といっていいでしょう)のHarmony OS。中国国内市場での滑り出しは、まずまず順調、欧州市場にも来年早々に進出することに。

 情報通信インフラの巨人が繰り出すOSとあって、エコシステムの構築という新OS最大のボトルネックがむしろ「チャンス」と見る向きを紹介しましたが、どうなることでしょうか。

 私としては、まずはGMSに対応してくれないと、中国以外の市場ではかなり厳しいと思うのですが……。

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