Huaweiが7月に発売した最新フラッグシップスマートウォッチ「HUAWEI WATCH GT 3 Pro 46mm」を購入しました。GT 3 Proではホワイトのナノセラミック製43mmモデルが新たに加わりましたが、従来通りのクラシックデザインである46mmモデルを選びました。
発売日から約2年間使用したHUAWEI WATCH GT 2 Proからの乗り換えです。比較もしつつレビューします。
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開封・デザイン
高級感あるパッケージに入っていました。開けるとすぐ本体がお目見えします。説明書類、充電器が付属。
GTシリーズは高級腕時計のような見た目が売りで、今回はさらにパワーアップ。角張ったデザインとなり、より輝きやすくなっています。ボディの色は若干明るくなりました。
また、Proに限らずHUAWEI WATCH 3・GT 3シリーズから回転式クラウンが搭載されました。これも高級感アップの要因になっており、かっこいいです。総じてGT 2 ProよりGT 3 Proの方が好み。
ディスプレイはサファイアガラスの風防で保護されており、傷にとても強いです。実際、同様にサファイアガラスのGT 2 Proは約2年間使う中で頻繁に机の角などにぶつけてしまっていますが、今でも一切傷が付いていません。これなら保護フィルム等は不要で、傷が付かないか気にすることなく使えます。
実際に着けるとこんな感じ。46mmサイズで大きいですが、筆者のように腕が細くてもあまり違和感はありません。
ボディやクラウンは軽さと強度に優れるチタン製。背面はナノセラミック製で滑らかなので肌触りが良く、汚れを拭きやすいです。フラッグシップモデルだけあって、素材も高級なものが使われています。
バンド(ベルト)は今回もスポーツ向けのブラックとレザーのグレーから選べます。3300円高いレザーバンドを選びました。GT 2 Proの時はレザーバンドでもスポーツバンドが付属しましたが、今回はありませんでした。
レザーはやはり劣化していくので比較が難しいですが、細かい模様があったGT 2 Proのものよりサラサラしていて模様がなくなっています。やはりこのような高級スマートウォッチにはレザーバンドがおすすめ。すごく合います。
市販の22mmの腕時計バンドも対応しているため、選択肢は無限にあります。Amazonで安いメタルバンドを購入してみたところ、高級感もありGT 3 Proにマッチしました。
海外ではチタン製バンドモデルも存在し、日本でも別売のHUAWEI EasyFit 3 メタルバンド(ステンレススチール)を購入できます。
レザーバンド込みでの質量は実測65.8g。カジュアルなスマートウォッチに比べると重いですが、それでも着けていることが全く気にならないほど装着感は軽いです。
操作性・機能
ディスプレイは1.43インチAMOLED。解像度は466×466と高く、至近距離でもドットが気になりません。輝度も十分で、屋外でも見えます。
HarmonyOS 2を搭載しています。GT 2 ProまでのLiteOSと比べて動作が改善されました。リフレッシュレートは約60Hzになり、アニメーションもリッチになっているためヌルヌルです。スマホのように指に追従し、キビキビと動作します。
HUAWEI WATCH GT 3 Pro pic.twitter.com/xEpjY5FO6I
— どろモバ (@doro_moba) September 25, 2022
文字盤を表示させた状態からリューズを押すとメニュー一覧が表示されます。メニューはグリッド表示とリスト表示を切り替えられます。アイコンさえ覚えればグリッド表示の方がすぐに見つけられるので気に入っています。
回転式クラウンも便利。メニューアイコンの拡大・縮小やスクロール、音量調整、タイマー時間・アラーム時刻の設定に使えます。狭い画面を指で操作するのは難しいので、物理的に回せるのはとてもラク。回転に合わせてウォッチが振動します。また、クラウンがあることで画面にあまり触れなくて良いので、指紋で汚れにくいことに気づきました。
下のボタンは本来はECG(心電図)ボタンですが、日本では未開放のため単なるショートカットボタン。好きなメニューに設定できます。
24時間健康モニタリングは睡眠(昼寝対応)・心拍数・ストレステスト・血中酸素・皮膚温に対応。特に何も設定しなくても、バッテリー持ちとバランスを取って計測してくれます。1時間以上座り続けていると警告する機能もあります。
文字盤の右からから左にスワイプすると「カスタムカード」という心拍数や血中酸素、睡眠時間などを簡単に確認できます。左から右にスワイプすると天気や音楽コントロール、計測中のストップウォッチ等が表示されます。ただし回転式クラウンではカスタムカードをスワイプできません。GT 2 Proからの進化として、このカスタムカードの画面をタップすればそのメニューが起動しより詳細に確認できるようになっています。
文字盤の上からスワイプするとコントロールが表示。スマホを鳴動させて探したり、画面を長時間点灯させ続けたりできます。
文字盤の下からスワイプすると通知一覧が表示。通知が来たときはバイブレーションや音(消音可能)で知らせてくれます。LINEやTwitterなど、一部アプリはアイコンも表示。そして絵文字にも対応しました。ただ、Gmailの場合は件名が表示されず送信者と本文の冒頭が表示されます。何のメールかすぐに理解できないことがあるので、アップデートで件名を表示するよう改善してほしいです。
細かいところですが、HUAWEI WATCHシリーズのバイブレーションはしっかり強いのに音が静かです。AmazfitやMi Watchも使ったことがありますが、振動音が大きいので静かな場所では周囲の人に聞こえるのではないかと不安でした。
AndroidやHarmonyOSスマホ接続時、SMSが来たら定形文をウォッチから返信できます。絵文字も選べ、定形文はアプリで編集できます。とはいえSMSはほぼ使わないので、LINEの返信に対応してほしいです。
GT 2 ProではHuaweiスマホ限定だったリモートシャッター機能は、他のAndroidスマホやiPhoneでも使えるようになりました。集合写真撮影時に便利なので、ありがたいです。
HUAWEI Healthアプリ
アプリはHUAWEI Healthを使用します。とてもシンプルで見やすくデバイスを管理しやすいです。
ヘルスケアデータは自動的に同期され、見やすいグラフで詳しく確認できます。
iPhoneの場合はAppleのヘルスケアにデータを同期できます。
設定項目
「よく使う連絡先」という項目から連絡先を登録すれば、ウォッチから電話をかけることができます。
通知するアプリを選択することができます。Android・HarmonyOSであれば全てのアプリを個別に設定できますが、iPhoneでは一部しか個別に設定できません。
Android・HarmonyOSであれば端末内の曲を転送・保存し、ウォッチのスピーカーで再生することができます。ウォッチにBluetoothイヤホンを接続することも可能。最初からHuaweiお馴染みのDream It Possibleという曲が入っています。プレイリストも作れます。
iPhoneの場合はスマホで再生している曲をコントロールすることしかできませんが、これだけでも十分便利です。再生・一時停止、曲送り・曲戻し、音量調整ができます。
「HUAWEI Wallet」という項目もありタッチ決済に期待してしまうところですが、日本では未対応です。
最近、「ヘルスケアコミュニティ」という機能が追加されました。家族や友人とヘルスケアデータを共有できます。共有するデータは選択可能。他社製スマートウォッチでは数年前からある機能なので、ようやく追加されて良かったです。
文字盤(ウォッチフェイス)
デフォルトの文字盤は14種類。アナログデザインが中心です。これもHarmonyOSのおかげなのかGT 2 Proよりデザインが豪華になっており、好みのものが多いです。
そしてHUAWEI WATCHシリーズはダウンロードできる文字盤が圧倒的に豊富です。iPhoneでも有料文字盤を購入できるようになりました。60円〜710円ほどで売られているようです。もちろん無料ダウンロード文字盤も、いくらスクロールしても終わりが見えないほどたくさんあります。
文字盤はウォッチ本体にいくつも保存でき、文字盤を長押しすることで変更できます。表示する項目をカスタマイズできるものもあります。好きな写真を設定することもできます(iPhoneでも可能)。
常時表示も進化しています。対応する文字盤が増え、装飾も豪華になりました。さらに、従来は常時表示をオンにすると手首を上げても自動で文字盤が点灯しなかったのですが、GT 3 Proでは常時表示オンでも自動点灯するように設定できます。
常時表示は、明るい屋外での視認性はやや厳しいです。
一点気になることが。夜間は常時表示が蛍光カラーになるのですが、通常の文字盤にも反映されます。
蛍光カラーより元の表示の方が好きなのに、蛍光カラーをオフにする設定は無いとのこと。アップデートで改善してほしいです。
HUAWEI AppGallery
Android・HarmonyOSの場合、Huawei独自アプリストアAppGalleryからウォッチ用アプリをインストールできます。とはいってもまだまだ数が少ないのが現状。
Huawei独自のPetalマップを使えばスマホのPetalマップアプリで経路案内を開始するとウォッチに指示が表示されます。新たな案内が出るとバイブで知らせてくれます。
しかし、Petalマップは登録されている施設情報が少なく、普段使いには向きません。そこで「Navigation-G Maps」をウォッチにもスマホにも入れれば、Googleマップの経路案内がウォッチに表示されます。これは便利。
他には電卓やTickTick(ToDoリスト)、自転車NAVITIMEくらいが実用的でしょうか。
ワークアウト計測
100種類以上のワークアウトモードに対応しています。もちろんGPS内蔵なので、スマホ不要でウォッチだけ着けて運動することも可能。
特徴的なのはゴルフモード。スイングスピード・テンポ、バックスイング時間、ダウンスイング時間などを記録できます。
さらに、IP68、5ATM、最大水深30mのフリーダイビングに対応。潜水速度、深度、潜水時間などがリアルタイムで表示できます。設定した深さ・時間より潜水が深かったり長かったりするとアラートを表示する機能も。
実際に屋内ウォーキングを計測してみました。心拍数やペース、距離などがリアルタイムで表示される他、スマホの音楽再生コントロールやメトロノームも操作することができます。
記録はアプリで詳しく確認できます。画像では非表示にしていますが、マップ上にルートが表示されます。ほとんど本来の道からずれておらず、きれいな線になっています。GPS精度は高いと感じます。
バッテリー持ち・充電
長いバッテリー持ちもHUAWEI WATCH GTシリーズの魅力。通常使用で約14日間持続することを公称しています。実際に確かめると、各種モニタリングON・運動計測なし・常時表示OFFの使い方では1日で約7%減少。公称値通りです。
専用充電器はクレードルとケーブルが一体型になってしまいました。GT 2 ProのものはUSB Type-Cで着脱でき、クレードルのみ持ち運んでどこでもUSB Type-C to Cのケーブルでパソコン等から充電できて便利でした。
GT 3 Proのものは一体型でしかもUSB Type-Aなので、USB Type-CポートしかないパソコンやACアダプターでは充電できません。旅行時など、持ち運ぶのにもやや不便です。
一般的なQiのワイヤレス充電器にも対応しています。一部Androidスマホのワイヤレス逆充電(給電)でも充電可能。
欠点
Alexa非対応
HarmonyOS搭載で高性能・高機能化しましたが、他社製スマートウォッチにどうしても劣っている点があります。それは音声アシスタントが無いこと。
今や低価格スマートウォッチ・スマートバンドにもAmazonの音声アシスタント「Alexa」が搭載されていることが当たり前になりましたが、Huaweiは非搭載。Amazonはアメリカ企業なので、米政府による制裁の影響と思われます。
Alexaが搭載されていれば声でのIoT家電の管理や簡単な検索もできるはずなので、それを重視する人には向きません。
Android版アプリについて
これもおそらく制裁の影響でGoogle Playストア版HUAWEI Healthアプリでは最新の機能が使えません。Huawei公式サイトやHUAWEI AppGallery、Playストア版アプリ経由でapkファイルをインストールする必要があります。また、AppGallery機能を使用する場合はHMSやAppGalleryもapkインストール必要。その際、設定から不明なソースのアプリのインストールを許可しなければなりません。
apkファイルをインストール可能な状態のままスマートフォンを運用することはセキュリティ上の危険性を生じます。操作が完了したら必ず「許可しない」に戻して下さい。
この操作が必要な製品をスマホ初心者に勧めるのは悩みどころ。なお、iPhoneであればAppStoreからインストールするだけで大丈夫です。
いずれも、製品の完成度とは直接関係のないところで評価を下げてしまっているのが残念です。
総評
HUAWEI WATCH GT 3 Proは、高級スマートウォッチとして人気になったGT 2 Proの正統後継機として期待を裏切らない完成度だと感じました。デザインだけでなく、HarmonyOSにより性能も機能も確実に進化しています。サクサク感があり使っていて気持ちいいです。
希望小売価格は4万3780円からとお高めですが、通知やヘルスケアといった便利な機能や長いバッテリー持続時間はしっかり備え、その上でデザインや質感は他のスマートウォッチに一線を画しています。腕時計らしさも機能性も求める方にピッタリ。
GT 2 Proの良いところはそのままにさらに使いやすくなったGT 3 Pro。GT 2 Proから無理して乗り換えるほどの必要性は感じませんが、乗り換えればGT 2 Proで惜しかった点が改善されており満足できるはずです。非常に気に入っており、おすすめします。