7月30日(日)メタバース「VRChat」の一大イベント「バーチャルマーケット2023 Summer(通称Vket)」が閉幕しました。
Vketは、株式会社HIKKYが2018年より開催する催しです。「VRChat」内に開設された専用のワールドに、企業や一般ユーザーの出展製品やアバターが展示され、それを見て回って楽しめます。同人系のイベントやホビーショーを、バーチャル空間に持ってきた感じですね。
「VRChat」の知名度上昇に伴い、開催の規模も年々ビッグになっており、世界各国の都市を仮想化した企業展示ワールド「パラリアル」シリーズは、現在のVketの目玉コンテンツとして親しまれています。
さて筆者は、そんな「バーチャルマーケット2023 Summer」に設置された、パラリアルワールドのひとつ「パラリアルラスベガス」に開催中、突撃してきました。今回は、同会場の風景を“振り返り形式”でお伝えします。
「パラリアルラスベガス」は、現代から数百年先の未来にある街を“パラリアライズ”したワールド。最高のエンターテイメントの空間を想像するために、パラリアルラスベガスの街全てを覆う巨大なドームを建設したという設定。
ワールドは、入場した瞬間「あっベガスじゃん!」となる見事な華やかさ。とにかく全体が煌びやかで、フィールド自体がカジノのような様相になっています。
入って橋を渡ると、まずは巨大なカップヌードルがお出迎え。ここは、日清食品株式会社のブースで、我らがカップヌードルがどのように作られているかを学べます。
パッと見た限りでは普通の企業ブースなのですが、“キモ”は別にあります。奥に進むと突然青色のガスが突如噴射。来訪者(たち)は、気を失ってしまいます。
目を覚ますと、さっきまでの明るい雰囲気が一転。不気味な地下研究所のようなスペースが目の前に広がります。その奥で待ち構えていたのは……カップヌードル大帝!
カップヌードルにマッチョな手足という強烈すぎるビジュアルの、カップヌードル大帝さん。
お出迎えの後は、謎理論でプレイヤーにもカップヌードル大帝になることを求めます。ちなみにこれ、断わるのは不可能。どうしてもアバターを変えたくない場合は、カップヌードルの被り物を装着するという選択肢もありました。
大帝になった(あるいは、被り物を装着した)後は、ミニゲームのお時間。真っ白な街で、カップヌードルを拾っていくことになります。
同セクションに入ると「スパイダーマン」のような力が使用可能に。この“スパイダーパワー”を使って、壁にワイヤーを飛ばして移動しつつ、カップヌードルを集めます。空中を飛び回れて楽しいんですが、コレが結構酔ったんですよね……。
しばらく遊んでいると、別なカップヌードル大帝から通信が入ります。その地下を爆破するという話になり、脱出ゲームがスタート。
制限時間内に工場(というかカップヌードル)を登り切ると、ゲームセクションはクリア。地上の展示に戻され、ブース体験は終了です。
日清のブースですが、ワールドの最初に設置されているだけあって、かなり気合の入った作りでした。「VRChat」では、探索やゲームを遊べるワールドが多数公開されていますが、人気ワールドと比べても、遜色ない出来だったと思います。
次に紹介するのは、キオクシア株式会社のブース。記憶を失ったAIを助けるため、4色の部屋を時計回りに巡る、体験型謎解きゲームが遊べました。
「この音声に合った絵柄はどれか」「正しい図柄はどちらか」といったクイズを解いていくのですが、このAIのダイアログが結構凝っていて面白かったです。日清と比べると派手なゲーム性は無いですが、その分細かな部分に気合を入れたんでしょう。
ここまで企業の出展を紹介してきましたが、「パラリアルラスベガス」のフィールド各地にはギミックやコンテンツも設置されており、それらに触れて楽しむこともできました。
現実のラスベガスにあるような噴水ショーのほか、みんなで乗って「パラリアルラスベガス」を一望できる観覧車もあり、来場者を飽きさせないHIKKYの努力を感じた次第です。この辺は、Vketを開催し続けてきたことによるノウハウ蓄積の現れですね。
展示の最後には、手持ちのコイン全部を使って「最後の大賭け」ができるギミックも存在。何度か試したのですが、残念ながら筆者は全敗でした……。
ただ、フィールドでも、ヤマハ発動機(バイク屋さん)の乗り物展示は正直イマイチでした。SFっぽいバイクに乗れたのですが、挙動が絶妙に酔いやすく、自分は数十秒乗っただけで、頭がフラフラになっちゃいました。
もし次(2023年冬)にも出展するつもりなら、もう少し乗り心地を“心地良く”してくれると嬉しいですね。
Vketのワールドは開催ごとにクオリティが上昇してますが、「パラリアルラスベガス」は、前回開催時に行けた「パラリアルパリ」と並ぶ出来栄えだと思います。
やはり、入った瞬間にカップヌードルが見えるというのはインパクト特大。日清とHIKKY、どちらのアイディアなのは分かりませんが「よくやった!」と言いたい気持ちです。
2023年8月現在、2023年冬Vketの情報はまだ未公開なのですが、今回の各ワールドを見ていると次の開催も楽しみです。
ちなみにVketですが今回、秋葉原にてリアルイベント「バーチャルマーケット2023リアルinアキバ」を実施したことでも注目を集めました。
同イベントは2日間開催で、VRショットBARや、特別なマーカーを付けることでアバターとしてモニターに映される「AVATAR MEETS(アバターミーツ)」といった企画が楽しめました。
1回限りの開催で終わりと思いきや、公式Twitterにはイベント後「VketRealが終わったら…??VketRealが始まるって本当??」との文言が出現。どうやら、冬にもリアルイベントをやる気みたいですね。
今年の後半には新型VRデバイスMeta Quest 3が発売予定。冬のVketはバーチャルとリアル、両方で更に大盛り上がりすることを期待したいところです。