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Claude、米App Storeで無料1位に急浮上。国防総省との対立が追い風

 Anthropicが開発するAIチャットボット「Claude」が、米国App Store(iPhone向け)の無料アプリランキングで首位に立っています。TechCrunchは2月28日(米国時間)午後の時点で「2位に上昇」と伝えていましたが、その後Appleのランキングでは1位に浮上しました。米国防総省(ペンタゴン、Department of War)との利用条件を巡る対立が注目を集め、ユーザーの支持が一気に広がったようです。

 分析会社Sensor Towerのデータによると、Claudeは1月末の時点ではトップ100圏外(100位のすぐ外)でしたが、2月に入ると多くの期間でトップ20圏内に入っていたそうです。ここ数日でさらに順位を上げ、25日に6位、翌26日に4位、28日午後の時点で2位(1位はChatGPT)まで上昇しました。3月1日現在、AppleのランキングではClaudeが首位です。

 この急浮上の引き金になったのが、Anthropicと米国防総省の対立です。Anthropic側は交渉の中で、Claudeの利用について「大規模な国内監視」と「完全自律型兵器」の2点を例外として認めない歯止めを求めていました。国防総省側は「いかなる合法的利用も認める」形を求め、折り合いがつかなかったといいます。

 2月27日、ピート・ヘグセス国防長官はAnthropicを「サプライチェーンリスク」に指定する手続きを進めるとXに投稿しました。

 「サプライチェーンリスク」指定とは、ざっくり言うと国防総省が「この企業の製品は調達の安全上、問題がある」とレッテルを貼る仕組みのことです。根拠法は合衆国法典第10編3252条で、指定を受けると国防総省との取引から事実上締め出されます。要するに「出入り禁止」に近い措置で、防衛産業の取引先にも波及しかねないため、企業にとっては大きな圧力になるわけです。

 ダリオ・アモデイCEOの声明によると、政府側は「サプライチェーンリスク」指定に加えて国防生産法(Defense Production Act)の発動も示唆しつつ、歯止めの撤廃を迫ったとのことです。Anthropicは、指定の影響が民間利用にまで広がるのは法的根拠が乏しいとして、訴訟で争う構えを見せています。

 アモデイCEOは声明の中で、どのような圧力があっても「大規模な国内監視」と「完全自律型兵器」への利用には同意できないと改めて表明しました。国防総省がAnthropicの利用を停止する場合でも、軍事計画や作戦に支障が出ないよう他社AIへの移行を支援する用意があるとも述べています。

 同じ金曜日の夜、OpenAIのサム・アルトマンCEOが国防総省(Department of War)との契約締結を発表しました。アルトマン氏は、国内での大規模監視や自律兵器に関する歯止めも契約に盛り込んだと主張しています。ChatGPTの週間利用者数は9億人を超えていますが、こうした動きに反発するユーザーも少なくないようです。

 SNSではChatGPTからClaudeへ乗り換えたという声が相次ぎました。歌手のケイティ・ペリー氏はXで「done」の一言とともに、Claude Proの購読画面にハートを描き加えた画像を投稿しました。米国時間28日早朝の時点で280万回以上の閲覧と2万1000件以上の「いいね」を集めたとのことです。Redditの「r/ChatGPT」コミュニティでも複数のユーザーがアカウント削除を報告しており、ヘグセス国防長官を「Claudeのマーケティング最高責任者」と揶揄する投稿も話題を呼んでいます。

 米The Informationによれば、Claudeの無料ユーザーは直近約1か月で60%増加し、日次の新規登録数は昨年11月比で3倍に達したそうです。有料プランの契約者数も昨年10月から2倍以上に膨らんでいるといいます。

 一方で、Anthropicの姿勢を手放しで称賛する声ばかりでもありません。同社が米PalantirやAWSと政府向けの提供で協力している点を挙げ、OpenAIとの倫理的な差は見かけほど大きくないと指摘する向きもあります。それでも「大規模な国内監視」と「完全自律型兵器」という2点の歯止めを譲らなかった姿勢が注目を集め、アプリの順位を押し上げた格好です。AI企業がどこに線を引くかが市場での競争力にも波及し得ることを、今回の騒動は浮き彫りにしました。

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