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突如現れた「若年層向けPC」、これってどうなの?

 NECパーソナルコンピュータは、YouTube番組の「Nontitle」とコラボしたZ世代向けのモバイルノートPCの「LAVIE SOL」を昨年12月に発表しました。同番組は1本40分~で全10話のリアリティーショーで、6人の参加者がNEC LAVIEシリーズの新しいノートパソコンを企画立案し、商品化を目指すというもの。その成果物が今回のLAVIE SOLというわけになります。

 一方で富士通クライアントコンピューティング(FCCL)は、今年の1月中旬にブランドの刷新と若年層向けとしたノートPC「FMV Note C」を発表しています。

 いずれもZ世代向け、若年層向けを標榜した端末であり、薄くて軽く、そしてPCに慣れない若者に威圧感を与えまいと様々な工夫が凝らされているのが特徴です。ただ、筆者も一介のZ世代の人間ではあるものの、少なくとも筆者が観測できる世界である理系・工学系のZ世代にはおススメしづらい製品であり、あくまでPCというものにほとんど触れなかったユーザーにしっかりフォーカスが当てられている印象を受けました。

 FMV Note Cについてはすでにすまほん!!でも取り扱っているため詳しくはそちらを参照してもらうとして、ここではLAVIE SOLについて紹介したのち、個人的な意見について述べます。

LAVIE SOL

処理性能

 LAVIE SOLが搭載するCPUは第13世代Core iシリーズ。2023年初に登場したCPUファミリーで、ノートPC向けのCPUとしては数えて2世代分古いチップとなります。現行最新のArrow Lakeは1月に登場したばかり、もう一方の最新CPU世代であるLunar LakeはクセのあるCPUであるため仕方ないとして、このタイミングで13世代CPUを採用するのはさすがに物足りなさを感じます。

 構成はCore i3-1315U/i5-1335U/i7-1355Uから選択可能。末尾のUは低消費電力モデルを意味します。メモリは交換のできないオンボードで、すべてのCPUで16GBが選択できるほか、i7では32GBモデルも選択可能。謎にi5のみ、より少ない8GBモデルが用意されています。

 Webページの表現や広告の量がますます豪華になっていき、それに従ってブラウザが要求するメモリ量も爆増しているこのご時世、メモリ8GBモデルはよほどのことがない限りおススメできません。ストレージは256GBから512GB、1TBに2TBを選択可能。

ディスプレイ・バッテリー

 ディスプレイは持ち運ぶことを前提としたノートパソコンとしてオーソドックスな13.3インチ。解像度はWUXGA(1920×1200)で、スマホに慣れ親しんだZ世代のためにタッチ操作に対応。ただし、2in1デバイスのようにヒンジが360°開くといったことはないため、タブレットのような運用はできないようになっています。

 大学生活において重要なのは駆動時間の多さ。公称では14.4時間をアピールしますが、バッテリー持ちを計測する方法というのは各社まばらであり、一概に信用することはできません。

 一応の共通規格であるJEITA 3.0では動画再生時10.8時間、アイドル時23.2時間と記載がありますが、これも実使用には沿っていない点に注意が必要です。ちなみに、FMV Note Cは動画再生時13.9時間/アイドル時24.2時間と、LAVIE SOLより高水準です。

デザイン・着せ替え

 本体色は「ムーンブラック」「プラチナシルバー」「フェアリーパープル」の3色。Z世代の求めるオシャレな見た目を実現したといいます。ただその結果、NECの既存モデルと比べてなんとなしに「MacBook Airっぽさ」が増してしまっているようにも。ゲーミングスマホと一般的なスマホのように、ノートPCも何かとがった部分がないと結局見た目は画一化してしまうのかもしれません。

 このほかスマートフォンアクセサリーショップのCaseplayと連携し、1000種類以上の着せ替え用ケースが選べるようです。MacBookの利点の一つであったケースの豊富さを、特定のショップと連携することによってある種強引に解決しています。

 またインターフェースは、USB Type-C 3.2 Gen 2が3ポートと、ヘッドフォンマイクジャックが1つというシンプルな構成。個人的にはまだUSB Type-Aポートをなくすには早いと思っているのですが、若者にはType-Aは不要と判断されてしまったようです。ちなみに筆者の経験からすれば、USB Type-AはおろかHDMIポートもほぼ必須であるため、常時USBハブの持ち運びが必要となってしまいます。

 本体重量は1.19kgと、13.3型ノートパソコンの中ではかなり軽量な部類に入ります。さんざんアピールされているように、ノートパソコンの持ち運びが多い大学生活において、可搬性はとても重要。ちゃんとこの重量にしているのには好感が持てます。

機能性

 LAVIE SOLはZ世代向けを標榜するだけあって様々な独特の機能を取り入れています。壁紙やマウスカーソル、フォルダのアイコンのデザインを変更できる「LAVIE devo」や、PC同士またはスマホやタブレットを接続して画面転送やファイルの共有が行える「つながる!LAVIE」が利用できるとのこと。

 なお、これらの機能を使うには「標準ソフトウェアパック」の選択が必要。「ミニマムソフトウェアパック」が選択されているモデルから+1100円でアップグレードできます。どちらもWindows純正機能、もしくはMicrosoftが提供するソフトウェアで十分同様のことが行えるため、PCを使い慣れているユーザーからすれば選ぶ理由は全くないように見えますが、まあ初心者にとってはアリなのでしょうか……?

価格

 本体価格は量販店モデルかWeb限定モデルかによって変わりますが、Web限定モデルではCore i3/16GBモデルが17万円から、Core i5/16GBモデルが18万円ほどからとなっており、ここから割引を加味してもコスパは他機種に比べて若干劣ります。

 しかし、高い質感を実現するアルミ筐体や比較的長い駆動時間、なにより軽い本体、そして国産メーカーの魅力である比較的安い保証のことを加味すれば、まあない選択肢ではないのかなと思います。

理工学系の皆さんへ:苦しんで覚えろ

 あくまで個人的な意見ですが、理工学系の大学生にはLAVIE SOLやFMV Note Cのような若年層向けノートPCは選ぶべきではないと思っています。その理由はいろいろありますが、大きいのはそういった製品のコスパの悪さを正当化するアピールポイントが、理工学系のユーザーからすれば商品価値の向上に寄与しないという点です。例えば質感に優れるアルミ筐体然り、付属するアプリ然りといったところです。

 先ほど触れた通り、筆者はZ世代の人間ではありながら、LAVIE SOLは明らかに自分をターゲットとしては見ていないと感じてしまうレベルなまでに、この製品が欲しくなる理由を見つけることができません。

 しかし、これは例えば「劣悪コスパで無知なZ世代学生とその親をだましている!」といった類のものでは全くなく、あくまでnot for meというだけ。製品の魅力は間違いなく存在していますし、筆者の考える大学生活に必要なノートPCの絶対条件も、すべてではないにしろある程度拾っています。筆者が魅力に感じなかった点に惹かれたユーザーであれば、LAVIE SOLやFMV Note Cといった機種を選択する価値は、一応あると思っています。

 とはいえ、ここで理工学系の学生に一言。PCを選ぶ理由をオシャレさに求めるな、そしてこの程度のことで楽しようと思うな!!!。どうせレポートなり実験なりでゴリゴリにPC使わなきゃいけないときにPCのデザインは気にしません。その際に気になるのは処理性能による待ち時間です。また、これらの端末で用意されているメーカー純正機能など、ほとんどは無料のソフトウェアで代替可能です。それらのソフトウェアを導入するより何倍も面倒な仮想環境の構築、Pythonの環境構築などなどがこれから先待っているわけであり、この程度のことを面倒くさがっていてはいけません。PCの操作方法は苦しんで覚えましょう。

 筆者はPCを使い慣れている側の人間なのでZ世代向けPCのメインターゲットにはかすりもしないでしょうが、少なくともこっち(理工学系)に来ようとしている人たちには、こういった端末に頼らず♰圧倒的成長♰を遂げてほしいと思っています。

情報元LAVIEFCCL
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