米国政府は、Appleが中国でのAI機能提供に関して、Alibabaとの提携を進めていることに懸念を示しています。ニューヨーク・タイムズ紙報道によると、政府関係者がこの提携について懸念を表明しているとのことです。9to5Macが伝えました。
Appleは、Apple Intelligenceを発表した際、AI機能の一部としてChatGPTをシステムに組み込むためOpenAIと契約しました。しかし、中国政府は中国国内市場への外国テック企業参入を制限していることで知られており、AIにおいては現地パートナーとの提携が必要となるため、Appleはそれを探していました。
ここ数カ月間、AppleはBaidu、DeepSeek、Tencentとの提携の可能性を模索しているそうです。しかし、Alibabaのオープンソースモデル「Qwen」が急速に改善していることから、Alibabaに決定したようです。
AppleはAlibabaとの提携をまだ公には認めていませんが、Alibabaの会長はすでに提携を認めたとみられています。
最近、ホワイトハウスと下院の中国特別委員会当局者は、この取引について照会。米国政府はAppleの幹部に直接このことを問いただし、中国の法律の下でどのような約束をしているのか疑問を呈したと報じられています。
議員や国家安全保障当局者は、Alibabaとのいかなる取引も、特にユーザーデータへのアクセスを許したり、モデルの改良を助けたりする場合、中国のAI能力を強化する可能性があると懸念しています。
下院情報委員会の上級委員であるラジャ・クリシュナムールティ議員は、この取引を「極めて憂慮すべき」と呼びました。彼は、Appleが中国共産党と密接な関係を持つ企業を助けている可能性があると警告しており、TikTokに対する懸念と似ているようです。
シンクタンクCSISのAIセンター所長グレッグ・アレン氏は、「米国は中国とAI競争をしており、米国企業が中国企業をより速く走るのを助けることは望んでいません」と付け加えました。
裏では米国当局者がAlibabaや他の中国AI企業を、米国企業との協力を禁止する制限リストに追加することを議論していると報じられています。国防総省や情報機関も、同社の中国人民解放軍との関係を警戒していると言われています。
Appleは、Apple Intelligenceが中国でいつ開始されるかについて具体的な時期を示していません。ただ、中国でのiPhoneの売上と全体の収益は減少しています。秋に次世代iPhoneが発売される予定であり、この問題がAppleの中国市場での命運を左右する可能性もありそうです。