弊誌はアフィリエイト広告を利用しています。

Apple Vision Proを1ヶ月借りて使ってみた

 Apple Vision Proを編集長から1ヶ月借りて使ってみました。Vision Pro以外のApple製品を購入している信者としての率直な感想を書いていこうと思います。

使用感について

 AppleはVision Proについて、VRともXRとも異なる空間コンピューティングだと豪語しています。すでにQuestシリーズを使ったことがある筆者としては「どうせただの誇張、大して変わらないだろう」と舐めてかかっていました。

 しかし、いざ使ってみると「確かにこれは別次元の何かだ……」と直感しました。

UI・UX

 Vision Proの操作は「」!ものすごく自然な視線操作ができます。とはいえ、難しく考える必要はありません。

 まず、皆さんご存知VR/MR HMDの代表格 Meta Questの操作はどうだったかおさらいしておきます。指からビームのようなものがでて、それで操作対象位置を選択する、というのが標準操作でした。

 これに対して、Vision Proではこれを使いたい、押したいと目線を動かすだけで、そこにカーソルが合ってくれます。そしてあとは指をつまんで思った通りに動かすだけです。ものすごく自然なのです。

自然な操作を実現するたくさんのセンサーとカメラ。

 そして全体的な操作も自然です。ウィンドウの移動がしっかりと思ったように動きについてきてくれます。そして大げさな動きをしなくても、座って指先でつまんで手首をスナップするだけで良いのです。これは非常に楽です。

 実は直接触って操作できるようにもなっているのが面白いです。空間上のウィンドウやアイコンを直接触るとちゃんと動作します。拡大縮小も簡単です。本当にこの辺の気持ちよさは流石Appleだなと感じるところです。

装着感

 頭に装着するベルトも非常にリッチに作られています。おおよそがマジックテープで止めて終わりが多いデバイスもある中、まるでデジタルクラウンのような大きなダイヤルを回して調節する体験は唯一無二です。また、Apple製品を使っている人であれば説明書がいらないくらい「ああ、こうやるんだな」と手に取るだけでできています。非常に気持ち良いです。

 個人的に気になったのは、トップボタンとデジタルクラウンの位置関係。これは逆が良かったですね。というのも、Vision Proのトップボタンはカメラになっており、そのボタンが左上についてます。一般的に考えて「カメラは右手でシャッターを切るものだろう、そしてiPhoneは音量ボタンが左にあるんだから左にデジタルクラウンがあるべきだろう」と思ってしまいます。

 重さが気になる、という人は確かにいるだろうなという重さ感です。ただ筆者はバイクに乗っていたこともあり、重めのフルフェイスヘルメット(SHOEI GT-Air II、約1.5kgをつけて1日で1000km走ってました)を使っていたため、Vision Proの約600gはそれほど苦になりませんでした。

 強いて言えば頭よりポケットに約350gのバッテリーを持つほうがきつかったです。現行のiPhoneで最も重い16 Pro Maxでも約230gです。これよりも重いので、これをポケットに入れて移動したりするにはちょっと不満でした。

 また髪型をセットしたあとに使うには駄目です。もうぐっしゃぐしゃになります。完全にテレワーク専用機ですね。家から出ない人、髪をセットしない人におすすめです。

持ち運び

 持ち運びしにくいです。バラせばある程度コンパクトにはなりますが、本体からでているいわゆる眼鏡でいう柄の部分は折れ曲がらない、はずれないので、カバンにポイとはできません。ある程度Vision Pro用に隙間を設ける必要があります。また、バッテリーを外す必要があり、そうすると都度シャットダウンする必要があります。

最悪のソフトウェア

 さてセットアップも済ませたし、早速アプリを入れて使おう……と思ったのですが対応しているアプリが非常に少ないのです。また、聞いてた話では非対応でも一部iPad対応のアプリであればインストールできるはずでしたが、これがほぼ嘘に近いです。おそらく開発者側で許可するしないがあるのではないか、と思います。

iPadのアプリはインストールできる(できるとは言ってない)

 筆者が困ったものでは、YouTubeやNetflixはVision Proにインストールすることができませんでした。また、Google系のアプリは軒並みインストール不可でした。なのでChromeも使うことはできません。幸い1Passwordはインストールできた上、Optic IDも使えワンタイムパスワードも自動入力して貰えました。

Googleで検索するとMicrosoftが出てくる

 サードパーティのアプリはまあ、許します。しかしプリインストールされている純正アプリですらiPad版をそのまま持ってきているだけというのは許しがたいです。例えばカレンダーやマップ、リマインダーといったアプリはただのiPad版。せめて純正アプリくらいはVision Pro版を用意してほしかったですね。

このフォルダに入っているアプリはすべてiPad版

 なにか使っていたアプリでインストールできるのはないか、と履歴を調べたところDiscordは使えました。あとTinderは使えました。Tinderが使えるのにYouTubeが使えない端末があるらしいです。

仕事しながらマッチングアプリをしてもバレない、そうVision Proならね。

仮想ディスプレイは人を選ぶ

 そして期待していた仮想ディスプレイですが、マルチディスプレイ環境で使っているMacBook ProからVision Proにストリーミングすると高確率でカーネルパニックが起き、使えません。また、カーネルパニックが起きたあともミラーリングの設定がバグり、正常に戻らないことがありました。

 MacBook Pro単体から仮想ディスプレイにする分には正常に使えました。

  ただ、これもざっくりとした作業であれば良いのですが、筆者が仕事で行うAdobe Premiereを表示するとビン(いわゆる動画の素材を入れて管理するところ)の文字が小さくて読めず、素材数が何百になると顔を動かしたりしてなんとか読めました。こうなれば普通の4Kモニターのほうが快適に作業できます。

 また、ワイヤレス接続なので色の面でも正確とは言いづらいので結局ちゃんとしたモニターで作業することに。あとウルトラワイドにすると背景が真っピンクになることもありました。

 これらのことがあり、仮想ディスプレイとして100%最高とは言いませんが、モニターを持っていくことができない環境では代わりにはなりそうです。

そしてたまに途切れる

面白いところ

 体験して面白いと思ったところを紹介します。

3Dビデオ、3D写真

 iPhone 15 Pro以降では立体動画を撮影してVision Proで再生するとまるで、空間にいるかのような体験ができます。非常に立体的に見えてタイムスリップしたかのような錯覚を感じます。

 そしてただの平面写真でもニューラルエンジンによって、立体写真に変換して本人がそこにいるかのような体験を得ることができます。これはiPhoneで撮影されていなくてもミラーレスカメラや、ネットで拾ってきた画像でも変換可能です。これは非常に良い体験でした。なお、この静止画を立体にする機能は次期iOS 26にてiPhoneでも実行可能になります。

日本経済新聞社のアプリ

 日本経済新聞社がVision Pro向けのアプリを出しているのですが、これが非常に面白いです。有料版では記事が読めたりするのですが、そうではなく無料版でも提供されている「地震列島」日本というコンテンツです。これはVision Proならではというコンテンツで、ぐるぐる自分が動いたり、指で動かしたり。こういうデータを視覚化するとまるでエヴァンゲリオンNERV本部で行われていた会議のホログラムのようなSF感があり非常に楽しいです。

結論

 Vision Proの空間コンピューティングに未来は感じるが今ではない、今買うならiPad Pro M4を買ったほうが良い。

 Vision Proの空間コンピューティング技術はまさに未来と感じる技術です。他にはないUXを体感することができます。性能も十分。何をするにも遅さを感じることがありません。しかしそれは同時にこのVision Proを最大限活かすソフトウェア、アプリがないからとも言えます。仮想ディスプレイだけであればXREAL One Proが良いと思います。価格もVision Proの7分の1くらいで購入できます。

 iPad ProであればM4と2世代進んだチップを搭載し、M4を活かすアプリもたくさんあります。また、次期アップデートではより拡張ディスプレイやマルチタスクも強化されるので、本気で使うのであればiPad Pro M4とXREAL One Proの組み合わせが最強だと思います。

 噂では来月に新型のVision Proが発表されるとありますが、このソフトウェアの面をテコ入れしない限り普及は難しいと思います。新型に期待しつつも、M5搭載されると噂のiPad Proの比較をおすすめします。

Apple 13インチiPad Pro(M4):Ultra Retina XDR ディスプレイ、512GB、横向きの 12MP フロントカメラ/12MP バックカメラ、LiDAR スキャナ、Wi-Fi 6E + 5G 携帯電話通信(eSIM)、Face ID、一日中使えるバッテリー- シルバー

すまほん!!を購読しませんか?

Twitterでも最新更新を配信・通知しています

フォローする 再度表示しない