それにしてもこの禿、ノリノリである。
SoftBankの孫正義社長は日経ビジネスの対談形式のインタビューに応じ、今抱いている野心と将来のビジョンの一端を明かしました。
スプリント買収について訊ねられた孫社長は、ビル・ゲイツ氏がジョブズ氏に「お前ほどの能力があれば、立派なソフト会社になれるのに」と言い、ジョブズ氏も「お前ほどの能力があれば、立派なハードウェアの会社になれるのに」と返したというエピソードを挙げ、現在マイクロソフトがSurfaceでハードウェアに手を出し、アップルもソフトウェアに力を注いでいるという事実を指摘。これからの時代はハード、コンテンツそしてネットワークを加えたこの3つを統合していかなければいけないとの持論を展開しました。
どういった周波数で端末を作ってもらうか、交渉力の重要さを改めて強調。アップルやグーグルは敵ではなく、パートナーであるとする一方、国内のネットワーク屋の他社が、端末を提供してくれるパートナーと対立する構図に陥っていることを指摘。これはアップルのiPhoneを販売できないNTT docomoを暗に批判しているものと思われます。
さらに日本メーカーが世界での戦いから降り、軒並み赤字であることも踏まえ、「国内という限られた市場だけにとどまっていては意味をなさない。『何とかモード』やら『うちの庭は美しい』などと言っている会社は、ITの世界で隅に追いやられてしまいます。この戦いはIT戦争なんです」と、NTT docomoやKDDIの姿勢を厳しく追及しました。
孫社長は、がむしゃらに周囲の国と戦っていた武田信玄と、戦略的に尾張から京都を攻略する上で必要最小限の戦いを一直線にしてきた織田信長を引き合いに出し、ドコモとソフトバンクを比喩。自身は10年先、20年先を見て次の一手を打っていることを強調しました。
960社を超えたソフトバンクグループですが、成果を出せない企業は切り、生存競争をしていることを、孫社長は地球上で最も種類が多く存続している昆虫の生態系にたとえ、ソフトバンクグループは300年永続し、シリコンバレーをライバルとするのだとの展望を明らかにしつつ、「野菜を売るのは楽しいかもしれない(笑)」と迷走するドコモを皮肉。もはや国内の他キャリアは敵ではないと言わんばかりです。
余談ですが、その「何とかモード」の産みの親である夏野氏は、「ドコモは海外キャリアと国内家電メーカーを買収すべきだ」と主張しています。
孫社長のやり方とビッグマウスには賛否両論ありますが、良くも悪くも「次に何をやらかすのか」と誰もが注目せざるを得ない野心家であることだけは、疑う余地もありません。
情報元:日経ビジネス