欲しい数字が手に入る!努力のベンチャーNumzonさんを取材しました

 新しいもの大好きSteveです。8月に何でも通知プラットフォーム、「astero」の中の人にインタビューしたのですが、またまたすんごいサービスを見つけてしまいました。スマホアプリもまだ無い状態で「すまほん!!」的にどうなのという部分もあるのですが、お世辞抜きで便利なサービスなので、ベンチャー応援第2弾ということで取材して来ちゃいました。 

numzon_header

 その名はNumzon(なむぞん)。はい、分かりやすい名前ですね。数字版Amazonということで、Numzon。サービス内容を一言で表すなら「なんでも数字検索サービス」。例えば「2016年の携帯電話向けネット広告の市場規模は?」とか、「アップルストアの売上高は?」とか、文章で質問すると中の人が全力で調べてソース付きで回答してもらえます。これがなんと無料!どうしてこんな事が出来るのでしょうか。今後のビジネスモデルは?Numzonを運営する株式会社SIX VOICEの代表取締役、土生(はぶ)修平さんにお話を伺いました。

numzon_staff ※右から、代表取締役の土生さん、グロースチームの岩田さん、同チームリーダーのMさん 

どんなサービス?

——本日はどうぞ宜しくお願いします。まず、まだNumzonを知らない方向けに、サービスのご紹介をお願いします。

土生氏: 宜しくお願いします。Numzonは、昨年7月にサイトをオープンしました。「数字のまとめサイト」ということで、ユーザーさんが「これは」と思った数字があったら、みんなにシェアするというコンセプトでスタートしました。基本CGMベースなのですが、現在5万4千件ほどのデータが集まっています。データはビジネス関係のものに徹底的に拘っていまして、会社関係の数字、売上げ、利益がどうとか、または普段表に出にくい数字、スターバックスの客単価がいくらとか、そういう価値のある数字を見つけた人がみんなにシェアする為のサイトです。

——今ではユーザーからの質問も受け付けていますが、当初は数字を持っている人がシェアする、というサービスだったんですか?

土生氏: はい。今もその仕組みは変わらないんですが、数字を検索しても出てこなければ聞いてください、ということで質問機能がつきました。

——現在の所無料で何度でも質問出来ますが、その都度誰かが一生懸命調べている訳ですよね?

土生氏: Facebook上に、Numzonのエディターズコミュニティというグループがあるんですね。質問が入ったら、そのジャンルのエキスパート、食品関係だったらこの人、IT関係はこの人、と割り振って「これお願い出来ますか?」と。回答者になりたい人には、このグループへの参加をお願いしています。

——基本的にはボランティアベースなんでしょうか?

土生氏: そうですね。

——よく皆さんボランティアで頑張って答えてくれますね?

土生氏: そうなんですよね(笑)ここは実は怒られながらやっているところなんですが、一応ポイントシステムがあって、投稿するとポイントが溜まるようになっているんですね。現状すでにポイントは加算されているので、いずれはこれをAmazonギフトカードなりに換金したいね、という話をしながら今まで引っ張ってきてしまっている所です。

  ちなみに1投稿5ポイントで、自分が投稿したものにアクセスがあれば1アクセス0.05ポイント加算されますので、ちゃんと頑張ればそれなりのリターンが得られる仕組みです。今トップの人だと10万ポイント超えてますね。 

無料とは思えないとんでもない労力

——中には無理難題みたいな質問もあるんじゃないですか?

土生氏: Numzonの利用者って、大手コンサルの方だったり、大企業のマーケッターの方とか、元々「数字のプロ」の方が多いんですね。そういう方が調べても見つからない数字が質問として投稿されるので、簡単なものはまずないんです。今はASEANがビジネス的に注目されているんですが、最近あった質問で難しかったのは「ベトナム、ホーチミン市の未就学児童の数を知りたい」とか。ベトナム全土とかであれば国の統計局を見に行けばいいんですけど、ホーチミン市の数字を下さいと言われて途方に暮れましたね。それでも、うちのエディターさんがホーチミン市の自治体の統計ページを見に行って、ベトナム語の資料を翻訳しながらちゃんと回答しましたね。2,3日かかってましたけどね(笑)

——むしろ2,3日で良く回答できましたね(笑)

土生氏: やっぱり無い情報を聞かれるんですよね。例えばセ・リーグ6球団の売上高。球団の売上高は、12球団どこも公開していないんです。国会図書館に行ってもなくて。結局どうしたかというと、某大学の経済学部のゼミに球団の研究をされている生徒さんがいるというのをエディターが発見しまして、そのゼミの先生にコンタクトを取って、欠けていた数字を教えていただいたりとかですね。その質問は売上高とその内訳、グッズ売上げの比率が何%とか、そこまで聞いていて、結局、内訳まで答えられたのは読売ジャイアンツ、阪神タイガース、ヤクルトスワローズの3球団でしたが、レアな情報なのでNumzonの中では人気コンテンツになってますね。

——よく、どこの大学の先生が〜なんて情報に辿り着きましたよね。

土生氏: もうミラクルですよね(笑)情熱が奇跡を起こしたというか。みんなもう一心不乱ですよ。我々よく国会図書館まで行って調べるんですけど、数字1個のために、巨大な年鑑とか持ってきて、ワーーーッてページめくって、どっかないかっ!って探して、見つかったらワーーーッてコピーして、すぐさまパソコンで回答すると(笑)

——なんかもう青春ですね(笑)

土生氏: 国会図書館は空調がお役所寄りで、夏場の設定温度が28度29度だったりするんですよ。そうすると僕らもう汗だくで、諸肌脱いでやってる感じです(笑)

——とても無料のサービスとは思えないですね。相当感謝の声も届いてるんじゃないですか?

土生氏: はい、お礼の言葉は凄く沢山頂いていて、それが我々のモチベーションになってます。Twitterでお礼を頂くことが多いんですが、一つ分かったのが、こうした数字を必要としている人というのは、大企業の企画職とか投資家とかに限らない、という事なんですね。例えば国内ファストファッションの2大ブランドのパート社員の方達からお礼を頂くこともあって、会社側は数字を沢山持っているんだけれども、現場に降りてきていないんですよ。でも現場の人は凄く意識高い人が多くて、こんな数字があればこうできる、ああできると。そういう方達からお礼を頂くと本当にやっていて良かったと思いますね。 

 マネタイズについて

——これだけ人手がかかっていると無料で大丈夫なのかと心配になるんですが、マネタイズはどうお考えでしょうか?

土生氏: ビジネスの数字を扱っている関係上、広告は難しいと考えています。広告がない方がユーザーの方に信頼されると思いますし。Freemium的モデルを考えていて、例えば「1月○注文まではいくら」とか、そういう形で小さくマネタイズ出来ればというのは考えています。あとは、現在試験提供中で一部のユーザーさんしか使えないんですが、グラフツールとかですね。そういったプラスアルファの機能を有料で検討中です。

——Freemiumということであれば、今後も基本的に質問の受付は無料で続けられるんですか?

土生氏: そこは変わらないと思います。注文者の注文内容もサイトに公開されますし、それに対する回答もデータベースに溜まって公開されます。通常ですと注文者と回答者の間でクローズドな関係が結ばれると思うんですけど、良い数字だからこそ公開しようと。ただ、「すぐに欲しい」という方もいらっしゃるでしょうから、そういった場合に「特急料金」という意味合いも含めてちょっと頂く、というイメージで考えています。

 先の話になりますが、Googleのクローラーのようなものを現在開発中です。ニュースサイトなんかを巡回して、数字をシェアするようなロボットを今作っています。これが上手くいけば、今は5万4千件ほどのデータですけど、この100倍、1000倍にすぐなってくるかなと。将来的にはこの膨大なデータを活かして、企業のレーティング、格付けに使えるんじゃないかと。S&P500のような、どこの企業はAA-、どこはB-で投資不適格、みたいなのがありますよね。現状格付け会社はIR、公開情報に基づいてレーティングしているんですが、一般ユーザーの方がシェアした情報を加味して評価することも出来るんじゃないかと。

 あとは、Numzonでシェアされた数字の中でアクセス数の高いもの、注目されているのもはKPI(Key Performance Indicators、重要業績評価指標)として見なせるんではないかと。するとKPIが自然に浮かび上がってきますので、「あ、自動車業界って今こういうのがKPIなんだ」とかですね。そういうものをインデックスとして、投資会社などに広く使って貰うと。実際すでに米国の機関投資家さんなんかが凄く興味を示してくれています。

——大分先の計画までもう考えていらっしゃるんですね。

土生氏: はい、2019年くらいまで考えてあります。

Numzon誕生のきっかけ

——ちなみにNumzon誕生のきっかけはどこにあるんでしょうか?

土生氏: この会社をスタートする前、11年ほどとある調査会社で普通にサラリーマンやっていました。お客様はある通信系グループ企業一社。その特別なお客様一社のために、いろんな調査をしてパワポに数字をまとめて納品して、という仕事を10年くらいやってたんですね。で、調べてくださいと言われた内容というのはやっぱり見つからないんですよね。本にも載ってなければネット探しても出てこないし、それこそ1つの数字を調べるのに1日Googleとにらめっこだったり。

 でも、頑張って探すと出てくるんですよね。これは凄い数字だな、というのが。でも当時はそれをCD-Rに焼いて納品して終わり。こんなにコストかけてサービス残業して発掘した数字を、もっと世の中に広くシェアすればもっとみんなの役に立つんじゃないかと。それがきっかけですね。もちろん、当社はお客様やお客様の仕事に関する情報の取り扱いについては、間違いのないように万全の体制で取り組んでいます。

——苦労して調べたデータだからこそ、シェアすることに意味があると。そう感じるようになったのはいつぐらいからなんでしょう?

土生氏: いやもう、調査の仕事1年目からですね。Googleは特別数字の検索をサポートしている訳では無いので、簡単には出てこないんですよね。ネット上の文章のどこかに埋まってたりするんですけど、そこだけ綺麗に返してくれるわけじゃない。検索した結果総務省の統計局のExcelファイルなんかが引っかかったりするんですが、1000x1000とかの巨大なマスなんですよね。その中から1個の情報を探したり・・・誰かが欲しいと思った情報は他の人も欲しいはずなので、何度も何度も別の人が同じ事を繰り返すのは非効率だなというのはありました。

——SIX VOICEはNumzonのために起業されたんですか?

土生氏: そうです。ただちょっとランニングとかいろいろあって、他のお仕事を受けながらやっています。言うのも恥ずかしいですけど、お客様の仕事があるので、24時からの仕事がNumzon、という感じですね。

——本当にお話しを伺えば伺うほど頭の下がるサービスですね。では最後に、すまほん!!の読者の方に一言お願い致します。

岩田氏: そうですね、とにかく使ってみて欲しいですね。「数字に困ったらNumzon」と思って頂けるようにしたいです。

土生氏: ここまで走ってきましたが、「お金があれば何か出来る」ということではないのかな、という事を感じるようになりました。実際我々もビジネスとしてもう少しきっちりやっていきたいという想いもあるんですけど、それ以前に実際世の中に役立っていると。直接レスポンスを頂ける環境で仕事をすることが凄く我々の励みになっているので、CGMという部分だけは崩さずに、続けていきたいと思っています。

 また、数字を調べるのに調査会社に数百万ポンと払えちゃうような大企業さんよりも、少人数でベンチャーで頑張っていて、調べる時間もお金もない、といった企業さんの力になりたいと思っています。Stay hungryですね。我々は難しいお題ほど燃えますので、どしどし質問して下さい。それが我々のスキルや力になっていきます。 

取材を終えて

 筆者も試しに質問を投稿してみたのですが、翌日には回答が来ました。人力検索と言うことでGoogleのような即時性はもちろんありませんが、文章で質問でき、エキスパートが無料で回答してくれるのは本当に凄いことだと思います。今は質問と回答が紐付いて表示されない欠点がありますが、現在対応中とのこと。スマホ版も余裕が出来たら対応したいそうです。また、将来的には特定のタグ(企業名とか)をフォローし、新しい情報が追加されたら自動で通知してくれる機能も付く模様。

 利用者からの難しい質問あってこそ鍛えられるサービスだと思います。興味を持った方、是非利用してみてください。

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