米通信事業者のT-Mobileは、SprintからMNPしてくる新規顧客に対して、$200をキャッシュバックすると発表しました。
転出前のキャリアで解約金が発生するのが通例ですが、これを乗り換え先のキャリアが$200のキャッシュバックで負担することで、新規顧客を獲得する狙いがあります。
家族4人で乗り換えればキャッシュバック額は$800、10人で乗り換えれば$2000であるとアピールしています。
SoftBankの買収した米Sprintは、他社から顧客を巻き取るべく、他社と同等のプランを用意した上で、SprintにMNPすれば料金を安くするというキャンペーンを打ち出していました。T-Mobileの施策はこれに対抗する狙いがあるものと思われます。
一時期、日本のiPhoneの販売競争で見られたような、「一括0円・通信料金からの割引も特盛り・さらに現金数十万円キャッシュバック」という常軌を逸した光景を見ると、さすがに嫌悪感がわいてしまうのもわかりますが、しかしながら一般論として、余剰資金を新規顧客獲得という投資に回す経営判断自体は、営利企業として普通のことです。
日本の場合は、携帯会社が端末をばら撒いても自社でしか使えなかったので、現金の飛び交うキャッシュバック合戦に歯止めが効かなかったという側面もあります。総務省がSIMロックを是正させるために強く行動するのが遅すぎたというのも一因でしょう。
今後、米国でのMNP競争がどのような推移を見せるのか、注目していきたいところです。